ご無沙汰しております。いやぁ、この時期はだいたい毎年仕事が立て込むのが常なのですが、今回はいくら何でもちょっと異常な感じでしたねぇ・・・
。まぁ、「小人閑居して不善を為す」なーんて耳の痛い“謂い”もあったりするので
、私のような”アレ”な人間はヒマよりも忙しい方がいいのかも知れませんが
。
さて、そんなこんなで、ブログの更新スケジュールがすっかり狂ってしまった今日この頃ですが、気を取り直して、今回はちょっと目先の変わったこんな作品をご紹介したいと思いま~す(
)。一応ね、歌謡曲のカテゴリーに入ると思いますよ
。
「さよなら恋人(日本語版)」(ボビー・ソロ)
作詞:藤本卓也、作曲:藤本卓也、編曲:藤本卓也
[1971.5.?発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]
[歌手メジャー度★; 作品メジャー度★; オススメ度★★★]
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140204/01/wishy--washy/e7/dc/j/t02200222_0800080712834750512.jpg?caw=800)
ボビー・ソロ・・・おそらく40歳代以下の方にはさっぱり馴染みのない名前だと思います。ボビー・ソロといえば、1964年に初めて出場したサンレモ音楽祭で「ほほにかかる涙」を歌って見事に入賞
を果たし、イタリアで初めてミリオンセラーを達成して一躍スターの仲間入りをしたポップス歌手
です。彼はその後も「君に涙とほほえみを」(1965年)、「涙のさだめ」(1969年)と、サンレモ音楽祭で2回も優勝を飾っているすごいお方
なんですよね~
。これらの曲は日本でもシングルリリースされているので、現在50~70代で当時音楽好きだった方には意外とお馴染み・・・かも知れません(「涙の・・・」は、ボビー・ソロにとって唯一のオリコン100位以内チャートイン作品(最高位82位、売り上げ枚数0.4万枚)です
)。ちなみに、当時まだ幼児だった私はさすがに記憶がないんですよねぇ
。
で、そんなイタリアの有名歌手が、な~んとあの藤本卓也センセの作品を歌ったシングルがあるというのですよ
。藤本センセの曲を少しでもご存知の方ならば、その組み合わせの意外性に思わず「え~っ!?」と感じるはずなのですが・・・。むむっ
、何にも感じないって・・・
そうかぁ、藤本卓也センセはこのブログでは初登場なのでありました
。だとすると、少し詳しい解説が必要ですかね
。
藤本センセは、もともとはロカビリー・ブームのさなかにジャズ喫茶を中心に歌手活動を展開していた方ですが、1963年頃に職業作曲家に転向。藤本センセが職業作曲家としてコンスタントに作品を提供していたのは’60年代中盤から’70年代中盤にかけてで、その間にリリースされた作品は、シングルA面だけでも70曲近くに達します
(wishy-washy調べ)。単純計算してみると、ほぼ1.5~2ヶ月に1枚というかなりのハイペースで、10年間もの長きにわたってシングルA面がリリースされ続けた
ということになるんですね
。
ここで、ヒットした藤本作品を少しばかり挙げてみますと、
「愛の旅路を」(内山田洋とクールファイブ)(1970.4.5発売、オリコン最高位4位、売り上げ枚数37.0万枚)
「待っている女」(五木ひろし)(1972.5.10発売、オリコン最高位6位、売り上げ枚数27.8万枚)
「あなたのブルース」(矢吹健)(1968.6.5発売、オリコン最高位27位、売り上げ枚数13.9万枚)
あたりになりましょうか。
それ以外の楽曲提供アーティストを眺めても、いわゆる“演歌系”のメンツが圧倒的に多いですし、タイトルも「~~ブルース」というパターンが目立ちます。そのため、「藤本作品=演歌」と決めつけてしまう向きもあるのですが、作品をいろいろ聴いてみると、歌詞は“演歌”の一言で片付けてしまうにはあまりに情念が過剰で濃厚な表現のオンパレードですし、サウンド面でも、R&Bあり、ロックあり、そして、むせび泣くようなクイーカ(要は、“ゴン太くんの声に使われていた効果音”ですね
)の多用などなど、単純に“演歌”のカテゴリーに押し込んでしまうのが憚られる“ソウルフルで独特な世界”が構築されている
ことが分かるはずです。これはプログレ演歌・・・いや、プログレ歌謡とでも表現すべきモノなのかも・・・
。いずれにせよ、好き嫌いはさすがにはっきり分かれると思いますが、高いオリジナリティを誇る作品群であることは間違いないですネ
。
「手っ取り早く藤本卓也ワールドに浸ってみたい」という方は、「まぼろしのブルース」(佐久間浩二)、「幻のブルース」(華ばら)、「君が欲しい」(林和也)あたりのYouTubeを下にアップしておきますので、ぜひお聴きになってみて下さい
。だけどあまりの“素晴らしさ”のために、夜中に悪い夢にうなされることになっても責任は負いかねますからね~
。
「まぼろしのブルース」(佐久間浩二)(1969.8.25発売)
「幻のブルース」(華ばら(フラワーショー))(発売日不詳、「女の舞台」c/w)
「君が欲しい」(林和也)(1973.3.25発売)
閑話休題。 ドロドロワールド全開の藤本センセが、甘いマスクとソフトな歌声で大人気のイタリア人有名歌手に、いったいどんな曲を提供したのか
・・・という話でした
。んで、その「さよなら恋人」をおそるおそる聴いてみたら
、これがまったく意表を突かれた感じの、実にイイ出来になっているんですよ~
あの藤本センセのことだから、濃密でねちっこい歌詞世界が炸裂してるのかぁ・・・
と思ったら、リフレインの部分を除けば歌詞なんかたったこれだけなんですから(
)。淡泊の極みというか何というか・・・
♪ さよなら恋人 いとしい恋人
もう一度さよなら 忘れはしないよ
これが二人の さだめならば
せめてあなたの 涙を抱いていこう
Ahh・・・さよなら恋人 Ahh・・・さよなら恋人
(セリフ)
さよならを言えば またあなたに逢えそうな気がする
だからだからさよなら もう一度さよなら・・・
・・・どうです、爽やかでしょ もっともねぇ、あっさり短めの歌詞もよく見ると、「二人のさだめ」というフレーズが入っていたり、主人公の男性のセリフが心持ちシツッこい感じなのがいかにも藤本ワールドっぽい所ではありますが
、伸びやかなメロディラインをラテン系のイタリア人が爽やかに歌いあげることで、そうした“過剰さ”が不思議と絶妙なバランスに収まっています。藤本センセとボビー・ソロ・・・最初は水と油と思った組み合わせが、意外な”組み合わせの妙”を生んでいるのが笑えますね~
。
イタリア人男性といえば、どうも“女ったらしでいい加減”というイメージが付きまといがちですが、ボビー・ソロの丁寧な歌い方には、凡百のイタリア人男性とひと味違った“律儀さ”、“真面目さ”のようなものを感じますねぇ
。いやはや、彼みたいにイケメン・スマート・甘い歌声・歌上手い・律儀・・・と、ほとんど非の打ち所がない
と、ついつい男の私でも惚れてしまいそう さぞや多くの女性のハートを痺れさせた
(←死語
もいいところですが、ここはこの表現がピッタリなのではないかと
)ことでしょうね
。まったく、羨ましい限りです
。
それでは今回はこんなところでおしまい またお逢いしましょう~
。