【お薦めシングルレビュー 35】 オジさん(?)とカップルの人生模様を鋭い視点で切り取った秀作! | 歌謡曲(J-POP)のススメ

歌謡曲(J-POP)のススメ

音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 12月なんだから当然のこととはいえ、毎日寒いですねぇ。こういう季節は、日本酒を熱燗でちょいとひっかけるとか、鍋物か何かで身体の芯から温まる、な~んてのが私の理想ですが、皆さんはどのような“寒さ対策”で冬場を凌いでますか

 私の幼い頃は、この季節になると東京あたりでも、日暮れ時にオジさんの ♪ い~しや~きぃもぉ~ な~んて声がどこからか聞こえてきたもんですが、最近はとんと耳にしなくなりました
。ああいった“風物詩”が消えてゆくのは何だか淋しいものですね

 ・・・そんなこんなで、今日はせめて「石焼いも」の雰囲気だけでも味わってもらうべく、“あたたか気分のおすそ分け”と洒落込んでみましょうか
。タイトルもそのものズバリ、この曲で~す()。


「石焼イモ」(ブリーフ&トランクス)
作詞:マリモラッコ、作曲:マリモラッコ、伊藤多賀之、編曲:中町俊自、NITTA-MAN
[2000.1.21発売; オリコン最高位91位; 売り上げ枚数0.2万枚]
[歌手メジャー度★★; 作品メジャー度★★; オススメ度★★★★]



 「・・・んこの“ブリーフ&トランクス”って連中は、確か以前にこのブログでショーもないコミックソングを紹介してなかったっけ・・・」とお気づきの諸兄はビンゴです(昨年7月に「ペチャパイ」という作品で記事を1本書きました)。以前にも書いた通り、彼ら(2人組)の作風はほぼコミックソングばかりと言ってしまって差し支えないのですが、その中にあって今回の「石焼イモ」という曲は、コミック風味は最小限に抑えて人生の大テーマ(=恋愛)を鋭い視点で上手に切り取っていて、ひときわ光り輝く作品に仕上がっていると思います。「俺たちだって真面目にやりゃこのくらい出来るんだ」ということを証明した恰好にもなってますね(←「じゃ最初から真面目にやりゃ良かったじゃん」という厳しいツッコミは勘弁ね)。ま、とにかくYouTubeを聴いてみて下さいよ



 この曲の歌詞には、高校生カップルが愛を育んでやがて結婚するのだが
・・・(その後の展開は皆さんがYouTubeで歌詞を追って確認して下さいというプロセスが時系列的に、そして、実にリアルに描かれています折にふれて登場する石焼イモのオジさんの声とカップルの人生の“からみ合いの妙”を、ぜひ味わってみて下さい歌詞の最初の方だけ、ちょこっと書き下しておきますね。ちなみに、作詞のクレジットにある“マリモラッコ”というのは、’90年代初頭にソロで歌手活動をしていた鈴木彩子(私の中では、どうも川村カオリとイメージがかぶるんだよな・・・)のペンネームです

  ♪ 星空木々のざわめき 初めて知った君の香り
    制服姿の二人 待ちわびたこの時も
    「好きだよ」 ずっと言えなかった言葉
    いまなら何度でも言えるさ
    目を閉じた君の前髪が 風に揺れてる
    高鳴るこの胸 くちびる潤し近づいたその時
    石焼いも~ おいも おいも おいもだよ~
    夜の空を駆け抜けてく おいもの美味しそうな匂い
    ふふっと照れ笑い 何だかいびつな16の夜

 この上なく切なくノスタルジックなメロディラインも、歌詞の内容と見事に調和していて素晴らしいですよね~。曲のラストがグランドピアノの悲しい響きで唐突に幕を閉じるおかげで、カップルの“その後”がどうも気になって、後ろ髪引かれる思いに駆られてしまうのは、きっと私だけではないはずです。

 あ、そうそう。今回ご紹介したYouTubeは、「石焼イモ」のプロモーションビデオなんですが、ブリトラの2人が男女のカップルを演じているせいでちょっと変態っぽい仕上がりになっている
もんで、あえて画面を見ずに曲だけを味わうのが良いのではないかと。せっかく曲の方で頑張ったのに、どうしてこうなるかなぁ。ホントに2人とも照れ屋なんだから・・・(ま、気持ちは分かる)。

 今日のところはこんなところでおしまい
。それでは、またお逢いしましょう~