【独偏ベストテン 37-2】 村下孝蔵のシングル作品 (1~5位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

歌謡曲(J-POP)のススメ

音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 村下孝蔵さんのシングルを対象に、私が独断と偏見によってセレクトしたベストテンをお送りしております前回記事に対してコメントを下さった皆さん、本当にありがとうございました 私なんぞが余計な心配をする必要なんかないくらい、村下さんの支持者は沢山いらっしゃるんですね~ 何だかホッとしました・・・。そして、彼の素晴らしい作品群が世間にしっかりと浸透していることが図らずも分かったのが、私にとっては何よりも嬉しかったです

 で、欲張りな私としては、次にこの“宝物”をいかに後世に伝えるかを考えたいところ。そうは言っても、私も本業がありますゆえ、やりたいことが沢山あってもなかなかままなりませぬ・・・。 まずは、この“アホなオヤヂの脱線しまくりブログ”を、一人でも多くの若い世代に覗いてもらうのが、私としちゃ一番楽だし手っ取り早いんですけどねぇ
。その辺は、もともと私がブログを開設した動機と深く関係するので、またおいおい考えることにします・・・

 それでは、お待たせいたしました
。上位5作品の発表にうつりたいと思います。例によって第5位から第1位まで、一気にいってみましょう~


第5位 陽だまり 【オススメ度★★★】
作詞:村下孝蔵、作曲:村下孝蔵、編曲:水谷公生
[1987.9.21発売; オリコン最高位61位; 売り上げ枚数1.5万枚]

 ベスト5の一角を占めたのは、ソロとしては11作目のシングルで、「めぞん一刻」の主題歌にもなった「陽だまり」でした~
 当時、「めぞん・・・」の大ファンだった私は、村下さんの曲が採用されることは嬉しかったけれど、両者のイメージが頭の中でどうもうまく重ならなくて(いや、実は「めぞん」だって“アパートの管理人さん”だとか、時代設定が古いっちゃ古いのですが)、曲を聴くまでは結構ハラハラしたことを覚えてます。・・・「めぞん」のファンは熱狂的な分だけ、注文もうるさいですからネ

 ところが、そんな心配は杞憂でした
村下さんはこの作品を作る際に、間違いなく「めぞん・・・」のことを下調べして、イメージを膨らませてから作品を書いてますね(失礼ながら、最初から「めぞん」のファンだったとは思えないし・・・)。彼にしては珍しくメジャーコード先行のメロディも、「めぞん」の明るいイメージに合わせたものでしょう。歌詞の方でも、♪ 早く逢いたい たったひと言 心から叫びたいよ きっといつかはめぐり逢い 結ばれると信じていたと~ の部分は、“響子さん”に対する“裕作”の心情そのものですし、♪ ひらひら 花びらの舞う 春の午後には 祈りを誓いに変えるよ~ の部分は、明らかに「めぞん」のラストシーンを意識したものになっています

 ちなみにこの頃は、“おニャン子クラブ”関連のシングルが、次から次へとテレビ番組の主題歌にタイアップされたのですが、肝心の番組の内容と主題歌があまりに無関係だったため、その強引で節操のないやり方が非難を浴びていた
時期に当たります。村下さんの「陽だまり」は、そうした風潮に抵抗を感じた制作サイド(いわゆる“良心”ですな)が、おニャン子へのアンチテーゼとしてかなり意識的に仕掛けたものだったのではないかと、私はいまだに思っているのです。



第4位 ゆうこ 【オススメ度★★★★】
作詞:村下孝蔵、作曲:村下孝蔵、編曲:水谷公生、町支寛二
[1982.4.21発売; オリコン最高位23位; 売り上げ枚数15.3万枚]


 村下孝蔵のシングルでは、2番目の売り上げ枚数を誇る4作目のシングル「ゆうこ」が第4位にランクインしました~。私としては、ピアノをフィーチャーした沢山の作品の中でもトップクラスの“名曲”だよなぁ・・・と感心してしまうのですが、意外なことに、最初はシングル候補ではなく、アルバム内の一作品に過ぎなかったそうです

 他の多くの村下作品でも見られるのですが、村下さんはマイナー・コードをメインにして、所々にちょこちょこっとメジャー・コードを混ぜてくるのがとても上手
なんですよね~。これが、まるで希望の光が射してくるような効果と、作品全体に変化と厚みを加える効果を同時に生み出しているのです



第3位 春雨 【オススメ度★★★★】

作詞:村下孝蔵、作曲:村下孝蔵、編曲:水谷公生
[1981.1.21発売; オリコン最高位58位; 売り上げ枚数4.2万枚]

 第3位に入ったのは、2作目のシングル「春雨」でした~。これは、フォーク、歌謡曲、演歌、ニューミュージック・・・当時として考え得る音楽ジャンルをあれこれ持ち出しても、どの枠にも納まらない不思議なテイストを持った作品ですね。制作プロデューサーも、「都はるみの『北の宿から』のような、歌謡曲らしくない歌謡曲を作りたかった・・・」と述べているので、まさに狙い通りの作品に仕上がったということでしょう

  ♪ 電話のたびに サヨナラ言ったのに
    どうして最後は黙っていたの 悲しすぎるわ

 夢を追うために都会に出て行った“あの人”・・・最後の電話では「サヨナラ」も言ってくれなかった・・・すべては終わりなのね・・・ひとり残された女性が悲しくつぶやく独白がこの上なく切なく胸に迫る名作
だと思います。これはちょっと涙を流さずには聴けないですよ・・・



第2位 初恋 【オススメ度★★★★】
作詞:村下孝蔵、作曲:村下孝蔵、編曲:水谷公生、町支寛二
[1983.2.25発売; オリコン最高位3位; 売り上げ枚数52.6万枚]

 5作目シングルにして言わずと知れた大ヒット作「初恋」が第2位でした~。この作品がリリースされた頃の私は、「思春期」も後半に差し掛かろうかという高校1年生。初恋はすでに経験して、“恋愛の理想”をおぼろげながら知るも、同時に“現実とのギャップ”があることも次第に分かってきて、一人で悶え苦しむ“モラトリアム期間”まっただ中・・・といった感じでしょうか。そんなところに登場したこの「初恋」は、まるで自分をモデルにしたんじゃないか(んなわきゃないと見紛うほど、共感できる度合いが深かったです・・・。私としては、恥ずかしいから気付かれないよう注意していたのに、すっかり見透かされちゃった上に、歌にして公開されちゃったよ、みたいな・・・(←ガキは自意識過剰だから、どうしても自己中心的に考えてしまうんだな)。

 ま、でもね。こんな風に自我と直面する行為というのはそれなりに苦悩と困難を伴うことなので、口当たりのいい「軽チャー路線」に乗っかって、いわゆる「現実逃避」に走った連中の気持ちも分からなくもないんです
。いま考えると、他のみんなだって、きっと私と似たり寄ったりの状況だったんじゃないかなぁって思うんですよね・・・(遠い目)。



第1位 同窓会 【オススメ度★★★★★】
作詞:村下孝蔵、作曲:村下孝蔵、編曲:須藤晃
[1998.10.31発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]

 独偏ベストテンの栄えある(
)第1位は、20作目のシングル「同窓会」でした。わぁ~、パチパチパチ 本作をリリースした翌年に村下さんが急逝されたため、図らずもラストシングルとなってしまったという曰く付きの作品ですが、ラストシングルだから1位に選んだとかそういう意図はありません

 「同窓会」が第1位になった決め手は、“歌詞もメロディもまさに村下ワールドの集大成的な作品だと思うから
というのもありますが、ホントのところは、この上なくノスタルジックで切ないサビ♪ ただひたむきに走ってた~の一連のメロディ・ラインが心の琴線に触れまくって、私が“一番たくさん涙を流した”作品だってことを、ここに白状してしまいます。もっとも、若い頃であればここまでこの作品に心が動かされることはなかったかも・・・。でも、人生経験を経た世代の方々には、それなりに共感して戴けるのではないかと確信しているのです

 最後に、歌詞のうち私が特に大好きな箇所を書き出しておきますね


  ♪ ハモニカ吹いて あのこ想った
    気持ちを言えなくて 切なさ握りしめ
    人恋しくて 一人も好きで
    雨が降れば 雨に降られ
    風が吹けば 風にまかれ

  ♪ 汗かき先生 仰げば尊し
    白いチョークと黒板 笑顔としかめっ面
    人に勝つより 自分に克てと
    夢を見れば 夢を語り
    昨日よりも 明日を見て




 ・・・さて、以上で独偏ベストテンの発表はおしまいとしますが、いかがだったでしょうか
 ここで一つお詫びしておかないといけません前回記事の最初に「私のレビューはほどほどにして・・・」と書いたクセに、特に今回の上位5位はぜんぜん“ほどほど”じゃありませんでした(字数制限のあるレポートなら、完全に落第ですな・・・いか~ん、村下さんだと思い入れが強すぎてつい語りすぎてしまった・・・と人のせいにするのはやめて、どうも失礼致しましたm(_ _ )m。そして、長い記事にお付き合い下さった皆さん、本当にどうもありがとうございましたm(_ _ )m。

 次回の記事は、【独偏ベストテン Vol.37-3】 村下孝蔵のシングル作品 (資料編) と銘打ってお送りしますので、引き続きお付き合い下さいね
。最後に、今回の独偏ベストテンを上位から順に整理してご紹介しておきます。それでは、またお逢いしましょう~


【wishy-washyの独偏ベストテン 村下孝蔵のシングル】
第1位 同窓会 【オススメ度★★★★★】
第2位 初恋 【オススメ度★★★★】
第3位 春雨 【オススメ度★★★★】
第4位 ゆうこ 【オススメ度★★★★】
第5位 陽だまり 【オススメ度★★★】
第6位 踊り子 【オススメ度★★★】
第7位 月あかり 【オススメ度★★★】
第8位 帰郷 【オススメ度★★★】
第9位 ねがい 【オススメ度★★】
第10位 ソネット 【オススメ度★★】