202372日 日曜日。

待ってました、佐野元春 & THE COYOTE BAND @ フェスティバルホール大阪。

昨年神戸で拝見したライブ、そして連続リリースされた二枚のアルバムの出来、特にコンセプト・アルバムとして発表された『今、何処』は、佐野元春史上、最高傑作だと思っている。

それをいよいよ体感できる。


ところが、開演前の館内アナウンスは、僕の心の中の盛り上がりに水を差すどころか、カチンと頭にくるものだった。


携帯電話等に関する諸注意の後に告げられたポイントは、

①「新型コロナの〜は終了したが、ライブ中の声出しはできるだけ控えていただき

②「静かな曲の場合は、席に座って

③「バンド演奏のグルーヴを楽しんでいただくために、曲中の手拍子は、なるべくお控えください」

というもの。


まず、①の「できるだけ」って、何やねん?他のバンドであったけど、せめて「連続の声出しはお控えください」とか、もうちょっと(具体的な)言い方あるやろ。

②こちとら、静かな曲なら座ったり、静かな曲とて座っていられない時もあったり、そこは自分の感性のままにで動いてる。正直、アナウンスで言われるのは大きなお世話。

③②と同様の理由。そんなアナウンスで「乗り方」の強制なんて、初めてだ。


これら佐野さんはOKしたんか?

預かり知らぬことか?

いや③でわざわざグルーヴなんて言葉を使うのは、フェスティバルホールの発想では無いんじゃないか?つまり、佐野さんサイドの要求?


そんな風にイラつきながら、開演時間が迫る。


で。


「あれれ⁈」

たいていの場合、開演直前には館内BGMの音量はガツンと上がり、ホール全体での手拍子が沸き起こり、メンバーの登場を熱く迎える。


だが、手拍子は起こっているが、この夜のBGMはゆったりした「あの」歌。


「ちょ。いまの会場の手拍子、まるで曲に合ってないぞ


そして、メンバー登場と流れるSE。(どちらが先か忘れた)


館内は割れんばかりの拍手と喝采


「待ってくれ!このSEからの空気感、拍手が邪魔!音に聴き入りたい!」


そして一曲目。


僕が座っていたのは二階席の壁寄りだったせいか、「手拍子」がうるさ過ぎて、演奏がかき消される


「そう言うことか!」


開演前のアナウンス、①②はともかく、③って佐野さんサイドの声かもな


一曲目が終わったのに、手拍子だけが少し続いた。

「みんな、演奏を聴いてる?」

僕は今まで、佐野さんのオーディエンスは「ノリ」が良く、音に柔軟に合わせられると思ってきた。

でも、この夜は、何かが違う。

みんな、「熱狂」しすぎ。

アルバムの完成度、久しぶりのライブ、佐野さんの快復ぶり。

熱くなるのはわからないでもない。

でも、音と噛み合っていない。


さて。


ロックのLIVEに手拍子は不可欠か?

音に合わせて自然に身体が動くとて、別に手拍子でなければならないことはないという、「当たり前」のことに気づく。と言うか、僕の身体が手拍子をしようとしなかった。


もちろん、手拍子を全否定するものではない。

楽曲によっては手拍子したくなったり、その手拍子ですら組み込んで、ライブ・パフォーマンスとして成立する楽曲だってある。


その夜、こう感じたのは、僕だけじゃないのかもしれない。なぜなら館内のオーディエンスの「ノリ」に変化が


佐野さんの歌声、バンドのパフォーマンス、素晴らしかった!

音量的にはもうちょい上げてもよいかな?とは思ったが、音のバランスも良かった。

背後のスクリーンに映る映像も良かった。決して演奏を邪魔するようにしゃしゃり出ることもなく、演奏に意味を添えていた。また、スクリーンの下の方に、メンバーの「影」が映るのも良かった。

舞台監督さんを中とした、チーム・コヨーテ、GJ


繰り返しになるが、僕は手拍子を全否定するわけじゃない。


ただ、オーディエンスとしての、惰性は要らない。その時、その場の「音」に、誠実に向かい合いたい。

それが僕にとっての、音を楽しむということ。

そして、そういう楽しみ方をさせてくれる、佐野元春 and THE COYOTE BAND に感謝。


#佐野元春


随分、久しぶりの投稿となる。


実は昨年の七月に転勤し、新しい職場での習熟に追われていた矢先、九月に叔父が亡くなって、その件で忙殺されている間にメンタルがやられた。


SNSで書き込んだ様に、秋からもいくつかの顔を出したのだが、それらは事前にチケットを買っていたものだ。


あれ以降、新規に買って、顔を出したのは、映画『スラムダンク』くらいか。


ところで、1月20日に、佐野元春さんがアルバム「今、何処」から、三作目の動画として『さよならメンランコリア』をシェアした。


そのインタビューに、僕を刺激する言葉があった。

「虚無に陥るな」







浮かれるな。

いまは静かにこの状況を利用しようとする奴らを見張れ。

そして僕は、遺された人の友人の心に想いを馳せる。

ただそれだけだ。

なぜなら、大切なことは、何も変わりはしない。

昨日までも。

明日からも。