11/22、国立がん研究センターの希少がんセンターにて、「希少がん Meet the Expert」という勉強会初の副腎がんの回に参加してきました。



参加者は約25人。

国立がん研究センター中央病院 乳腺・腫瘍内科 希少がんセンターの下井辰徳先生が副腎皮質がんについて講義をし、その後参加者のアンケートに基づいて質問に答えるというものでした。



その資料からいくつかポイントを。

副腎皮質がんの年間発症数は日本では100万人あたり0.3人程度(米国では100万人あたり0.72人程度)。

米国のデータでは診断年齢の中央値は40-50歳、発症は若干女性のほうが多い。

初回診断時に遠隔転移があるのが7割程度。

副腎皮質がんは特徴的な症状が乏しく、早期発見は難しい。

切除可能な副腎皮質がんは完全治癒には外科切除が必須。

2年遠隔転移再発率は
ステージ1で27%
ステージ2で46%
ステージ3で63%。

Ki-67値が高い副腎皮質がんは再発率が高くなる。

術後の再発抑制や死亡リスク抑制には、効果ははっきりしないながらも、ミトタン(オペプリム)内服が良さそう。

完全切除でステージ1・2かつKi-67値が10%以下の場合は術後ミトタンを検討。

完全切除でステージ3・4またはKi-67が10%を越える場合は術後ミトタン。

部分切除の場合は術後ミトタン+放射線治療。

高リスク副腎皮質がんについてはミトタン+EDP療法、もしくはミトタン+ストレプトゾシン療法が研究中。

ペムブロリズマブの効果が39例の副腎皮質がん患者に確認された。

2012年以後、副腎皮質がんに特化した新薬の開発はうまくいっていない。

希少がんの治療開発は、患者数が少なく臨床試験・治験の実施が困難で、原因解明が不十分で、
正確な診断と適切な治療ができる医療施設が少ないため、遅れている。
しかし、
希少がん患者全体を合計すると全がん種の15〜22%を占めており、国も希少がんの治療開発に力を入れているところである。

MASTER KEY projectに登録することで、新規薬剤の治験機会も今後考えられる可能性がある。

以上が主な要点でした。

個人的には、終了後もしくは開始前に希望者による交流会を設定してもらいたかったです。

自分以外の副腎皮質がん経験者と直接話したことがないので、仲間がいることを実感できれば心細さがかなり緩和されると思うのですが。