テレビを捨てようかと思っていたところ、NHKから契約を迫る封書が届きました。私にとってテレビというのは、世間の人たちが何を考えているか、世間で何が起きているのか、どのようにメディアが大衆を煽動しているのかといった情報収集をする為のもので、それは小説を書く為でもありました。しかし仕事をしていると小説を書く暇はなくなるし、また書いたところでどうにかなるわけでもないので、テレビが不要なものになってしまった。捨てようかどうか検討中です。

 SNSに関しても恵まれた人たちの活動を目にしなければならず、それがストレス源になっているので、そのようなものからも離れようかと思っています。



 下記は私が書いた小説です。本当の幸福とは何かを探し求めた内容となっています。


 

 本日は「成功者の法則」の紹介です。



内容
「定量化できない成功についての法則を科学的に分析したもの」


 著者は理論物理学者です。定量化を数値化と置き換えても差し支えないと思います。


冒頭
「著者の経歴と本の簡潔な内容が記述されている」

 成功に関して、エビデンスが提示された書籍が存在するとは思いもしなかった。

 この書籍を読めば、実力や善人であるかどうかなどは関係がないことが分かります。薄々、気づいていたことですが、やはりそうでした。それが分かっただけでも一読の価値があった。



成功の第一の法則
「パフォーマンスが成功を促す。パフォーマンスが測定できない時には、ネットワークが成功を促す」

「ある本がベストセラーになるか、バーゲンコーナー行きになるかはパフォーマンスとネットワーク次第」



 作品の良し悪しに関しては、さほど関係がないらしい。パフォーマンスによって多くの人が騙されてしまうからです。ネットワークとは人との繋がりのことを指します。


他人からの評価
「国際音楽コンクールのルールが欠点だらけで、その多くが優勝者を抽選で決めているようなものだと教えてくれる」


「ワインやクラシック音楽やフィギュアスケートの専門家であるはずの審査員が、私やあなたと対して変わらない素人同然であることもわかる」


「いつも遅刻するくせに、内部の打ち合わせで、でかい顔をし、それ以外の場所では碌に発言をしない同僚が、いつの間にか出世して上司になっている理由も教えてくれる」


「クラウドファンディングでは、最初の資金提供の約束がプロジェクトに弾みをつける」


「とんでもなくひどい歌が何故か大ヒットする現象も解き明かす」


 他人の評価がいかに当てにならないか、このブログでも再三に亘って書いてきました。所詮は人間なので何らかのバイアスに掛かっている。ロボットのように正確に判断することはできないのです。


著者の成功に至る経歴
 この著者である物理学者が成功を収めたきっかけとなった出来事は、高校生の頃、抜き打ちテストで高得点を叩き出した事です。テストの前日に両親の友人のエンジニアがたまたま家に泊まりに来ていて、宿題を手伝ってくれたからという理由で高得点を叩き出している。
 それが成功体験となって、物理学の道を歩み始めたということです。この体験がなければ、この著者は物理学の道を歩んではいなかったでしょう。

 世の中こんなものです。たまたま良い家庭に生まれた。あの時、あの人に出会ったから幸運を手に入れることができた。もしくは人生が破壊された。人生とは運の連続が積み重なったものです。

 どうしても人生は運に左右されてしまいますが、この運は自分ではどうにもならないことが殆ど。

  
 医療の学校に通っていた頃の話ですが、犯罪行為を生徒に薦めていた人間のクズと言っても良い担任と副担任がいました。退学に追い込まれた人たちは、これらの人間に遭遇しなかったら、人生に狂いが生じることはなかった。

 また天◯院と言う独立系書店には、口のうまい嘘つきの店主と、有名な出版社の編集長を何十年も勤めていたベテランがいたが、両者とも完全なる偽物だった。この2人はセミナーを開いて、思考停止した受講生から長期的に搾取をして生活していたが、受講生たちは時間と金を奪われただけで、何も身に付かなかった。本を1冊読めば、遥かに深い知識を得ることができるのに、本物のフリをした偽物たちから浅い情報を提示されただけで喜んでいた。しかも10万以上も支払って。この人たちは、きちんとした人に出会っていたら、才能を開花させていたかもしれない。

 崇めているセミナーの受講生たちに対して、どうしてこの人たちは気づかないのかと、ただただ驚くばかりだったが、人間とはそういうものだと気づいた今となっては、大した驚きはありません。

 この人たちとカルト信者との違いは、どこかの宗教団体に所属している否かの違いでしかないのです。


レッドバロン
「戦時中に敵を80機も撃墜した英雄。しかし他にも同程度撃墜した人は存在しており、レッドバロンは上位の1.6%に入っているに過ぎない」

公民権運動の母
「ローザパークスが白人にバスの席を譲らなかったことで逮捕された。しかしそれ以前に白人の乗客にバスの席を移らなかった人物は存在している」

エジソン
「レントゲン、写真や映画、蓄音機、白熱電球について功績を見て生まれたのは常にエジソン。しかし、それらを発明したのは、エジソン以外の科学者や発明家である」

ライト兄弟
「動力飛行機を発明したのはライト兄弟とされるが、その9ヶ月も前にニュージーランド人のリチャードピアスが既に飛行に成功していた」



成功するために重要なこと
「あなたのパフォーマンスが重要なのではない。重要なのは社会であり、社会があなたのパフォーマンスをどう捉えるかである」

 実際にどうであるかが重要なのではなく、相手にどう思わせるかが大事になってくるということです。だから人を欺くために肩書きや経歴などの装飾が必要となってくるのでしょう。それらがあれば人なんて簡単に騙すことができるからです。

 世の中に溢れる偽物たちは全員同じ行動を取っています。


 本の受賞作品でも、大して面白くもない本が受賞することがある。ただ受賞した作品と言うだけで、星5つが並ぶことも珍しくはない。

 年々、この傾向に拍車が掛かっているように思えます。以前と比べるとマーケティング戦略が精錬されたのと、騙されやすい人の数が増えたからかもしれません。

 インターネットやハードディスクの普及で人間は記憶する必要がなくなった。そして今度はAIの普及で考える必要もなくなる。YouTube動画などの普及も貢献していると思います。自身で物事を考えない人間が増えている。

 テレビで自称専門家が言っていたから。有名人が言っていたから。政治家が言っていたから。みんなも言っているから。このような馬鹿げた理由で疑いもなく信じてしまう。


 
パフォーマンスとネットワークが成功を促す
「成績と研究論文の良し悪しには関連がない」


「テニス選手の収入。勝つ負けるに関わらず露出度(パフォーマンス)が重要だった」

 メディアに数多く出ていれば、実力がなくても金儲けをすることができます。

 
「名門大学と二流大学の卒業後の収入も関連がない」
 重要なのはパフォーマンスと野心。
  


 この著者の身の回りには、著者よりも優れているのにも関わらず、成功を収めずに社会に埋もれたままでいる人たちがいる。何故かと言うと、ネットワークを築いていなければ、パフォーマンスも発揮していないからです。



SAMOのディアスとバスキア
「ディアスは表に出たがらない人物で自分をアピールしなかったが、バスキアは有名人に近付いて仲良くなり、名を売る活動を続けた」


 バスキアは有名になる前、ディアスと2人で活動していた。バスキアが有名になったのは、狡猾に有名人たちに取り入ったからです。結局、ネットワークが大事ということです。

 作品なんて見たところで、その価値を理解し、正しく評価できる人は存在しない。訳の分からない蘊蓄を垂れて、分かった振りをしているだけです。



絵画
「絵は変わらずにいるのにも関わらず、有名画家の作品と判明すると高額になり、有名画家の弟子が描いたと判明すると誰も見向きもしなくなる」

モナリザ
「15世紀は王宮の管理人が見ている程度の扱いであり、誰も注目していなかった。有名になったのは盗難に遭ってから。それから注目されて値が跳ね上がった」

アンディー・ウォーホル
「アーティストとして成功する為には、作品は良いギャラリーに展示してもらわなくてはならない」と発言した。


 作品の良し悪しが分かる人間はいないので、成功するか否かは有名なギャラリーで展示してもらえるかが鍵となる。そのことをアンディーウォーホルはよく知っていた。
 この本を読んで、私がポップアートに全くと言って良いほど感銘を受けなかった理由がハッキリと分かった。胡散くささが滲み出ていることを感じ取ったからだと思う。行動の一つ一つが計算に満ち溢れているところが好きにはなれない。


良いギャラリーで展示しなかったが、有名になった作品
「一つのギャラリーに拘らず、多くの人たちと繋がりネットワークを築き上げた」

ワインの品評会
「厳正に厳正を重ねて評価しているはずだったが、調べてみると全く違っていた。同じワインを提示したにも関わらず、異なるワインと判断して、1度目は高得点をつけたものを、2度目は低い点をつけた」


 著者は「ワイン品評会で賞を取るかどうかは運次第」と結論付けている。これは賞が与えられる全ての作品、食品、商品にも該当するはずです。
「優れた評価を下した人も次の年にはデタラメだったりと安定しない。審査結果は全くのランダムだ」と言い切っていた。



100メートル走
「ベル型曲線に従っている。将来の予測も可能」

 人間の限界は8.28秒らしい。


ピアノコンクール
「演奏ではなく、パフォーマンスに優れた人が評価や人気を得る」


 受賞はどれだけ厳格に行っても、バイアスが生じる。女性は低評価を下されがちだし、初日に演奏した人より後半に演奏した人の方が有利です。フィギュアスケートも重要なのは順番だった。

 広島のベートーヴェンが良い例だと思います。この偽ベートーヴェンを大絶賛した評論家がどれだけいたことか。受賞なんてものは、所詮こんなものです。実力なんて全く関係がない。パフォーマンスが全てなのです。


順位について
「上位に来る人の実力は優劣が付けられない。最終的に順位が決められるのは、運とバイアス」



成功の第二の法則
「パフォーマンスは上限があるが、成功には上限はない。成功は、べき乗則で説明がつく」

 富、論文の引用回数、知名度、読者数、ファンの数など、世の中の多くのものが、この「べき乗則」に則っています。成功には際限がないそうです。
 


「成功しているように見える者は、パフォーマンスに関係なく、ますます成功を引き寄せる」


 持っている者は益々与えられて豊かになる。これはマタイ効果と呼ばれるものです。

 引き寄せの法則はスピリチュアルなものを除けば、完全否定することはできません。それは、このマタイ効果があるからです。

 成功している振りをした偽物が富を得ることなんてザラにある。思考停止した人たちを言葉巧みに騙して引き寄せているからです。



スティーブン・キングとハリーポッターの作家の実験
「偽名を使って小説を売ったところ、殆ど売れなかった。本人だと判明してからは爆発的に売れた」


 音楽での実験でも、楽曲の良し悪しと売り上げには相関がないことが証明されていた。作品の良し悪しなんて本当に関係がない。良い作品だと思わせるかどうかが鍵となる。

 村上春樹の本も上手く大衆を騙すことができている間は売れていた。しかし批判的な声が増えてきてからは化けの皮が剥がれたのか売れなくなってしまった。村上春樹のファンに何度も会ったことがあるが、「村上春樹ってすごいんですよー」と言った程度の理解度しかなく、何が凄いのか語ることができる人はいなかった。そう思わせることができた時代だったということです。



自己実現的予言
「ランダムに選んだ生徒を『IQに優れた生徒』と生徒たちに説明して数年後を観察すると、上位の成績を収めた」



成功の第三の法則
「過去の成功×適応度=将来の成功」

適応度
「競合を打ち破って、購買者や読者、ファンを獲得する。その製品特有の能力を指す」

 小難しい説明で分かりづらいが、適応とは、顧客が好む製品に適応させているかどうかと言うことす。
 


「社会的影響を排除して、適応度順のランキングに置き換えたら、ダウンロード数が上がった」


 ダウンロードとは楽曲のダウンロードのことです。ファンが好む適切なランキング形式に変更したらダウンロード数が増えたようです。

 

「ハリーポッターは十二社から断られ、出版社が決まってからも500冊しか売れなかった。そのうちの300冊は図書館へ寄贈されたもの」


「パフォーマンスが測定可能か識別可能な時に、パフォーマンスは成功を促す。適応度は人気と一緒になって働くことで、長期に亘って選択を導く」


 適応させても人気が無ければ無駄に終わることが殆どです。

 


成功するには多様性と絆

「引用回数の多い論文は1人の天才ではなく、チームによって書かれたものだった」

「リーダーがこなす作業が多ければ多いほど、プロジェクトは成功する」


 スキルの高い人材を集めても、足の引っ張り合いや争いごとが生じて上手くいかない。

 この書籍には記述していなかったが、日本ではスキルの高い振りをした偽物が残ることが往々にしてあるので、能力の高い人間は自ずと去ることになる。

 実力のある人間より、卑怯な手を使っている人間の方が評価されてしまうものなのです。



チームのパフォーマンス
「一見無駄に見える無駄話がコミュニケーション能力と関係性を深める。チーム内の活動とチーム外との活動バランスが上手く取れているチームは、より創造的になる」


 そもそも仲が悪かったら、必要最低限の話しかしなくなる。そのようなチームのパフォーマンスが下がるのは当然でしょう。

ノーベル賞
「その分野でさほど貢献したわけでもないのに受賞し、名を馳せた人物がいる。その反面、受賞するに相応しい実際があるのにも関わらず、無名で終わる人物もいる」


 これも世間に対して、パフォーマンスを見せつけたかどうかの違いでした。



成功の第四の法則
「功績が認められるのは1人だけ」

「すでに功績のある人の功績が認められやすい」
「女性は共同制作されたもので評価されることは少ない」

 要領が悪ければ功績は第三者に奪われてしまいます。

論文
「天才は39歳までに歴史に刻んでいる」
「その他の者は生産性があるかどうかにより、その後の活躍が決まる」
「経験の浅い研究者が画期的な論文を発表するのは、生産性が高いから」
「歳を取った人が栄光を掴めないのは、生産性が下がるから」


 ここで言っている生産性とは、論文の数のことです。数打てば当たります。



成功の第五の法則
「不屈の精神があれば、成功はいつでもやって来る。生産性こそがものをいう。粘り強く努力し続ける人に有利に働く」

S=Qr
・Sは世界に与える影響力の強さ。
・Qはアイデアを発見に転換する能力。粘り強さと持って生まれた才能。
・rはアイデアの値

「Qファクターに関しては生涯変わらないことが分かった。創造的な仕事に就く人のQファクターは、時を経ても変化しない」


 本人の努力で成長するのかと思えば、そうではないらしい。アイデアを発見に転換する能力、粘り強さ、持って生まれた才能。これらの能力は磨くことができない。



 パフォーマンスが大事だとしても、そこに偽りがあってはいけない。世の中には人を騙す為に良い人物を演じている人が無数に存在します。しかし所詮は偽りなので、発覚した場合は大変な目に遭います。成功するか地獄を見るかは運次第。

 YouTuberの大半が、自分を偽ったパフォーマンスに興じている。それが成功の秘訣というのだから、やっていられないが、冷静に考えるとそのような人たちばかりが成功を収めているのも事実です。

 そのような馬鹿げたパフォーマンスから離れたいと思うのであれば、地位・名声・金といった外的な報酬(成功)から、いかに離れることができるかを探らなければならない。

 心の充実をそのようなところに求めなくても構わないはずです。