「嫉妬するのは、愛しているから」とよく言われますが、これは誤解の一つです。
それでは何故、私たちが嫉妬するのでしょうか?
嫉妬の背景に隠されているのは実は、「恐れ」の感情なのです。
自分の「愛の対象」との間に他人が割り込んできて、その愛の対象を誰かに奪われてしまったらどうしょうか、と言う恐れの感情を味わった方も多いと思います。
例えば、会社で未婚かつ仕事が出来て経済力の持つ男性が
有能な上司に「彼は仕事が出来るのに、何故会社を辞めるんだろう?」と鈍感な人間もいるでしょう。
愛は、二人の人間が「所有」という考えをまったく持たない出会い、お互いだけを見つめ、お互いに相手を品物としての価値ではなく、あるがままの姿で見つめあうときに生じる、もっとも美しい態度の中にあるからです。
また嫉妬には、物を所有し、保存したいという欲求と並んで、「別れ」に対する無意識な恐れも大きな役割を果たしているのです。
大切な人を失うかという恐れは、子供の頃、誰からも守ってもらえず、周囲からの危険にさらされていて、そこから逃れる力が自分にはない子供時代に味わう、典型的な恐れと関連があります。
従って、子供時代に愛情を充分に与えられないと、相手を失うのではないかとという恐れの感情が心に残り、
相手からの愛を所有し続けたいと願うようになるので、嫉妬の感情を持つのは「まったく普通」のことに思えてしまうのです。
愛の力によって幸せになりたいと思う人は、自分の愛に、自分の心の中から自然にわき上がってくる愛だけに、ひたすら心を向けるようにすればいいのです。
自分の心の中の愛に注意を向けることの出来る人は、「愛する能力」を発揮している人であり、「自分の愛」で幸せになれる人です。