いつ見ても胸が痛み、「ハントリ-伯爵夫人」を見た時の

“感激の涙”

とは異なり、

“悲しみの涙”

がとまらなくなってしまうのが、ミレイによる、この作品です。。。

(こうして書いているだけでも涙が。。。うぅ。)



A Huguenot, on St. Bartholomew’s Day, refusing to shield himself from danger by wearing the Roman Catholic badge
by Sir John Everett Millais 1851-52
Courtesy of Christie's Images


1572年8月24日、『聖バ-ソロミュ-の日の虐殺』の前日、‘ヒュ-ゲノッツ(ユグノ-)’という、15世紀に発足したフランスのプロテスタント教徒の恋人に、この白い布を腕に巻けば、カソリック教徒からの迫害を防げられるからと懇願している、カソリック教徒の乙女...。

恋人はこの乙女を優しく抱擁しながらも、自らの宗教を貫かんと片手でそれをそっと拒み、足元に散乱した真っ赤な花は、彼の免れられぬ死を象徴しているという、何ともいたたまれなく悲しい作品です。。。。。。。

乙女の白い顔には、涙は描かれていませんが、オリジナルでよく見ると、目の周りが薄く赤くなっていて、その絶望的な悲しみが痛いほどこちらに伝わってきます。。。

この乙女を見つめる恋人の、何とも優しくも哀しいまなざし。。。

愛する者より宗教を選ぶなんて、ひどいよ。。。。。。。


オリジナルでは、この恋人の着ているジャケットの、目の覚めるような、とても美しい青い色を見る事ができました。

そして足元に散った花の、何と鮮明な赤い色をしていた事か...。


これは彼が22才の秋から冬にかけて制作された作品で、その頃書かれた彼の日記に、面白いものがありました♪


10月17日
納屋の屋根や、家々の前の緑地には霜が降り、美しい朝だ。
朝食のあと子供達と遊び、9時頃から絵を描き始める。
10時頃から赤ん坊が泣き出す。(赤ん坊が泣くという行為は)それが悪魔のようで、人間というものは、罪のもとに生まれたのだという事を痛感する。ずっと泣き続け、時々少し間をおきながら(そうしてエネルギ-の補給をするかのごとく)、更に大きな声で泣き続ける。
ラヴィニアは悪戯したので、ぶたれて、反省するまで庭にある物干し棒の下に縛り付けられてしまった。それが随分長い間縛り付けられたままだったので、僕は彼女の涙に濡れた両目にキスして、自由にしてあげ、絵を描いている間、僕の横に座らせておいた。しばらくの間おとなしくしていたのだけど、急におしゃべりになってしまった。
『まだベッツィ-(仔豚)を殺ちてないのよ~♪』
彼女は仔豚達全部を自分のものにしたいようだ。
『結婚ちたら、アン(女中)はあたちたちの女中ちゃんになって、あたちはおいちいお料理ちゅくるね~♪』
と言うので、料理はできるのかと聞くと、
『コックちゃんみたくは上手くないけど、、、。』
5時に絵を描くのをあきらめる。
ものすごく寒い。
子供達がまた叫び泣きしだした、、、。

(↑はじめ日記の部分をイタリック(斜体)にしたのですが、読み辛いようでしたので、色をつけてみました☆それとラヴィニアちゃんのとこにつけたハ-ト・マ-クがチカチカすっごく目障りなので替えました♪)


ミレイと同じくラファエル前派の創設者の一人であるハントに、

「こういう宗教的な題材は避けるべきだ!」

と強く言われたミレイですが、制作を続け、この作品が完成しロイヤル・アカデミ-に展示されると、人々はこの絵の前に、一日中釘付けにされていたそうです。

紳士の方々は何時間もの間、この絵のまわりをウロウロし、一旦去ってからもまた戻ってまで観賞していたとか...。

「ザ・ヒュ-ゲノ(聖バルトロマイの祝日のユグノー教徒)」は、まだ22才という若さのミレイを一躍有名にしたそうです。