このボウボウ、ボサボサに高く生い茂った生け垣の向こうに、

古い、古~い木造平屋の一軒家があります。

この古いお家には、一人のおじいさんが住んでいます。


クラカウに着いた初日、ホテルへの長い道を歩いていると、ふと、このサビついたゲ-トにくっついている郵便受が目にとまりました。

『ポ-ランドでは、郵便受がゲ-トに有るのか...。珍しいなぁ。』

などと思いながら、そこを通り過ぎました。

通り過ぎる時、その古い木造の家を目にすると、何か郷愁めいたものが込み上げてきました。

何なんだろう?

どこか気がひかれる(?)お家でした。


翌朝、そこを通りかかると、一人の白髪頭のずんぐりしたおじいさんが、前庭の草花の手入れをしていました。

古い家に住む、一人のおじいさん...。

きっと奥さんが家の中でテ-ブルをワックスがけしていたり、穴のあいてしまった古着を繕っていたり(...)とかしていたかもしれないのですが、私は勝手に、このおじいさんは、寂しい一人暮らしをなさっている方と思い込んでしまいました。

そして庭の手入れをなさっているところを手伝いたい衝動にかられました。

翌朝も同じように前庭の手入れをなさっていました。

何かお友達になりたいような、おじいさんでした。


クラカウ最後の夜、KTO劇団による、あの素晴らしい屋外劇を観たあと、まだその余韻が強~く身体中を駆け巡っているなか、暗い道をホテルへと歩いていました。

そしてあのおじいさんの家が近づくと

『あ~ぁ、あのおじいさん、明日もお庭の手入れしてるのかな...。もうあのお家も通り過ぎる事なくなっちゃうのか...。』

と、少し寂しさにじんわりしながら、暗い影となったその家の方に目を向けると、その屋根の上の夜空に、大きな大きな流れ星が、まるで花火のような光を発しながら流れて行きました。

あんなに大きな流れ星なんて、見た事ありません。

何かとっても不思議な気持ちになりました。

そのすぐ後、溜息つきながら真上の夜空を見上げると、今度は線香花火のような、微かに光る流れ星が、ほんの一瞬だけ夜空に輝きました。