ブログはもう書かないとしましたが、書くネタがありましたので再開します。企業法の論文の点が全く上がらないという人はちょっと読んでいただければと思います。

 今仕事をしながら、企業法の採点講師をやっています。そこで採点していて思うことを書きます。

 まだ本試験まで時間があるこの時期ですから、初回受験生や上級生、短答合格組、論文科目合格組、また勉強の進捗度合もそれぞれでしょうから答案によってかなりのレベルの差があります。上級生でもひどい答案があれば、初回受験生でも素晴らしい答案があり、企業法は他の科目と比べて勉強量よりも勉強方法が良い点を取るために比較的重要になるのかと思っています。私は法律の専門家ではありませんから、あまり具体的なことはいえませんが、企業法の答案を書く上で基本的かつ最低限のルールを守っていない以下のような答案が散見されます。


1.問いに対して答えていない。 → 答案全体の20%程度

2.根拠条文があがっていない。 → 答案全体の40%程度


 「問いに対して答えていない」:これは企業法の答案で1番やってはいけないことだと私は思っています。聞かれた事に答えない人間が高度な職業的専門家たる公認会計士としての職務遂行が出来るとは考えられないからです。しかしこの手の答案が全体の20%程度あるのは驚きですが、大体パターンがあります。まず完全な勉強不足から読書感想文的な文章を書いて、結論が問いに答えていないパターンですが、これはそもそも問題外です。次に上級生にありがちで本人的には書けたつもりになるという最も危険なパターンで、問いと直接的に関係の無いどこかで暗記した論証を吐き出して、結果として問いに答えていないものです。原因として個人的に思うのは、勉強方法が誤っているか、答案構成をじっくりやっていないか、です。


 次に「根拠条文があがっていない」:これは企業法の答案で2番目にやってはいけない事だと思っています。なぜなら企業法(会社法)の論文は法律論文であり、問いに対して会社法の条文をあてはめ答えを導くことを目的にしており、論証の根拠となる会社法の条文があれば、それを根拠にしている旨条文をあげなければならず、なんら根拠となる条文をあげなければ、ただ自分の考えを述べているだけに過ぎないと見なされるからです。結構問いに直結する条文をあげていない答案を見ますが、採点者からみれば’なんかもっともらしいことを書いているけど、一番重要な条文をあげないとは本当にわかっていないな’と思われ、大幅減点をくらいかねません。一方問いに間接的に関わる条文をあげていないのは、致命傷にはならないと思います。


 上記2点をやらないようにすれば、企業法で足切りをくらうようなことは無いと思いますし、さらにしっかり勉強していれば、必ず合格点が取れると思っています。企業法の論文の点数が全くとれないという人の参考になればと思っています。