こんにちは。
久々の更新、今日は奈良の東大寺で8/5に行われた音楽イベントについて書きます。
事前に入手した資料によれば、そのイベントには、
「北インド古典音楽&フュージョン奉納公演
もっと知ろう、~日本に初めて来たインド人、婆羅門僧菩提僊那を継承する~」
というタイトルが付されていました。
後半の「菩提僊那」の事はともかく、
「北インド古典音楽&フュージョン」に惹かれて、ともかく行ってみようと思いました。
19:00~19:30オープニングセレモニー(点灯式)
19:30~20:30奉納公演
この日から始まった奈良の夏の風物詩(集客イベント)「燈花会」と時を合わせての開催、
入場も無料との事だったので、さぞや賑わうのだろうと思い、早めに到着しました。
17:30過ぎ。
大仏殿中門前ではすでに今日公演してくれるアーティストらしき4人組が、
リハーサルをしていました。
>

僕は、大仏殿前の池の畔のベンチに腰掛けて、その練習に聴き入っていました。
どうやら、フュージョンと言うだけあって、その源は古典音楽に根差した曲であるけれど、
それを奏でる楽器は、ヴァイオリン、ギターとヴォーカル、キーボード、
タブラ(パーカッション?)という、今風なものでした。
お寺の前の広場で聴くという環境のせいもあり、その東洋の精神性を感じさせ、
なおかつ古臭さを感じない美しい旋律に、すっかり聴き入っていました。
名前は知らないけれど、聴けば分かります。この人たち、相当な実力者!
知ってる人から見れば、こんなところで無料で聴けるようなアーティストでは
ないんだろうな・・・とも感じました。
18時頃から折りたたみ椅子が用意され、約200席程度の観客席が作られました。
200・・・?これは、来賓や関係者専用の席?
しかし、どうやら指定席は前方の2列ぐらいで、あとはご自由にどうぞ的な雰囲気です。
案内が無いのではっきりしませんが、雰囲気で察するにそんな感じです。
19時を過ぎました。
まだセレモニーは始まりません。席もそれほど埋まっていません。
椅子席から少し離れたベンチに腰掛けていた僕も、これではあまりにもったいないので、
椅子席に移動しました。
一応遠慮気味に、後ろの端の方。
主宰者やお寺の関係者が集まり、かなり遅れてセレモニーが始まりました。
客席の埋まりは、半分程度。つまり、100人位。
しかも、前方ごく少数の関係者の他は、この音楽会を目当てにやって来たというよりは、
単なる通りがかりの中国人や燈花会ついでの日本人・・・という感じでした。
菩提僊那とは、日本の遣唐使の要請で仏教の教えを日本に伝えるために渡ってこられた
インドのお坊さんで、当時、大安寺というお寺で仏教の教えを日本の僧侶に伝え、
「僧正」という非常に高い位に就きました。
そして、聖武上皇の願いにより、天平勝宝4年(752年)に執り行われた東大寺の
廬舎那仏(大仏)の開眼法会において、上皇になり代わり、
「開眼導師」を務められた方です。
盛大な開眼のイベントは、現代で比較すると、
今盛りのオリンピックの何倍にも当たるほどのものだったと言われます。
そんな菩提僊那僧正は、東大寺においては、聖武天皇、行基、初代別当・良弁と並ぶ
「四聖」と呼ばれ称えられているとの事です。
なので、今回で5年目を迎える今日のイベントは、音楽を楽しむというよりは、
そんな偉人を称えるのが目的の様でした。
しかし・・・
「御魂」の入っていない(どう見ても安っぽい)菩提僊那像を前にして、
菩提僊那僧正にまつわるうんちく話がだらだらと続きます。
時間が押しているのも気にせず、横にいるアーティストへの配慮もなされぬまま。
そのアーティストは、インド政府機関ICCR(インド文化関係評議会)とインド大使館から
派遣された方々。
対して日本の窓口はと言えば、東大寺とNPO法人「日印交流を盛り上げる会」とか。
これって、インド側の本気度に比べれば、
日本側の態勢、不十分過ぎるのでは・・・という印象を受けるのですが。

ヴァイオリン:Anupriya Deotale(アヌプリヤ・デオターレ)
ギター&ヴォーカル:Jivesh Singh
タブラ:Ustad Akhtar Hasan
キーボード:Vishal Dixit
かなり遅れて始まったその演奏は本当に素晴らしいものでした。
情熱的に、情緒的に、心に響いてくるような演奏。
CDなどがでているのであれば、改めてじっくりと聴いてみたいくらい魅力的でした。
約1時間ほどの至福の時間でした。
演奏が進むにつれて、それに引き込まれるように空いた席に座る客、
後ろから前に移動する客・・・そんな客のほとんどは、白人の方でした。
初め前の方に座っていたお義理で来ただけの関係者は、
冒頭のお偉いさんの話だけしか興味が無かったのか、徐々に抜けて立ち去ります。
えーい、見苦しい!そんなんだったら、初めから来るな!と言いたい。
イベント全体の印象としては、非常に残念なものだったと言わざる負えません。
NPOの会長さんは、得意げにイベント開催を誇っていましたが、
手前味噌、独りよがりもいいところ。
日本とインドの懸け橋となった菩提僊那を称えるのはけっこうな事です。
しかし、そのインドからはるばるやって来てくれたこの素晴らしい4人のアーティストへの
リスペクトは全く感じられませんでした。
それにこの集客の少なさ、体たらく、本当に演奏してくれた4人に失礼な話だと思いました。
ましてや、なら燈花会とも重なる時期のこのイベント、
この演奏のクオリティであれば、多少の参加費をいただいても、
この日の10倍位の聴衆を集める事は出来るのではないかと思いました。
のんびりしてるのが奈良のいいところとか言う人もいるけれど、
せっかくの歴史や文化遺産に恵まれながら、それに安住してしまって、
あまり危機感や真剣さややる気が感じられないのが奈良の悪いところです。
こんな調子だから、いつまでも奈良は京都よりも格下のような印象を与えるのでしょう。
法要をしたいのなら関係者と熱心な信奉者だけですればいい。
でも、一般人を前にして、しかも音楽の公演を前面に謳ってするのなら、
もっとそれなりの準備、配慮、集客、盛り上げの努力をするべきだと思いました。
NPO、東大寺関係者の猛省を望みます。
また次回もやるのなら、もっと真剣に取り組めと!