吉川英治「宮本武蔵」
これほど夢中になって読んだ本はないかもしれない。
まさに寝食を忘れて読んだ。
なにより登場人物が豊かである。
その関連性、展開の仕方が見事で、全く飽きさせない。
時々、「そんなに世間は狭いか?」と思うほど関連しあっている。(笑)
言うまでもなく武蔵は剣の達人である。
京都の名門吉岡道場の道場主清十郎を片輪にし、弟の伝七郎を切り殺し、
一条寺下がり松では、吉岡の70人を相手に一人で戦った。
巌流島での佐々木小次郎との決闘は有名だが、
元吉岡道場門徒で鎖鎌の達人宍戸梅件との対決もすごかった。
特に2度目の戦いでは武蔵は絶体絶命だったが夢想権之助に助けられた。
権之助は7人、武蔵は5人倒したが、権之助の助太刀がなかったらどうなっていたか。
という風にこれは宮本武蔵の武勇の話と思われるかもしれないが、それは違う。
はっきり言おう。
これは恋物語である。
武蔵とお通との切ない切ないラブストーリーだ。
涙なしには読めないかもしれない。
実は「宮本武蔵」を読む前に吉川英治の「三国志」を読んでいた。
日本人は三国志が好きだからね~
こちらは難しい漢字や言葉が多くて読むのに苦労した。
宮本武蔵も苦労するかなと思っていたが全くそうではなかった。
平易な言葉でとても読みやすかった。
戦前(昭和10年)に書かれたものとは思われない。
全く古臭さが感じられない。
だから80年以上経った今でも読み継がれているのだろう。
絶対にお勧めの一冊です。