1993(平成5)年刊行の単行本です。収録されているのは「寂寥郊野」と「うわさ」の2作で,「寂寥郊野」が1993年上半期の芥川賞受賞作です。なかなかいい小説でした。こういうシリアスな社会問題をテーマにした作品が芥川賞を受賞したのはしばらくぶりだったんじゃないでしょうか。帯に引用された秋山駿さんの解説は,「吉目木晴彦の「寂寥郊野」は,アメリカのルイジアナ州を舞台に朝鮮戦争で来日したことのある夫と,彼と結婚した日本人妻との,深刻な光景を描く。 夫は七十歳弱,妻の幸恵は六十四歳。もう三十年もその地で暮らしていて,既に息子二人は独立している。 半年前から,幸恵が,夫の友人も街の人も「黄色い肌をした人間が嫌いなのよ」と口走るようになった。そういう心の傷を抑圧してきたための鬱病の出発かもしれない。……妻の崩壊の過程,これに対応するアメリカ人の夫の生の態度が,実によく描かれている。生の厳しさ,周囲から孤立することの恐怖,などが伝えられてくる。」となっています。
戦後,日本からアメリカに嫁いだ戦争花嫁さんたちが話題になったことは何度かあったような気がします。それなりに幸せになった女性もいれば,遠い異国の生活に馴染めずに離婚して帰国した女性も何人もいたように聞いています。戦後の戦争花嫁さんには,ポツダム占領軍として日本にやってきたアメリカ軍人と結婚した女性と,朝鮮戦争の際に来日したアメリカ軍人と結婚した女性がいるみたいですが,この物語の幸恵さんは後者のようです。いずれにしても結婚したアメリカ人がどの程度本気で日本人女性を妻にしようとしたのかで,その後の人生は大きく変わってしまったでしょうね。中にはただ単に慰安婦的に扱われてしまった女性もいたんじゃないでしょうか。この小説の中のアメリカ人は日本人女性をちゃんと女性として愛して結婚し,アメリカに連れて行ったわけですが,それでもやっぱり越えられない壁はあったということなんでしょうね。今では忘れられてしまったような女性たちの物語ですが,なかなか読み応えのあるいい小説でした。
今日は本当にいいお天気ですね。今日は午前中はchocoの1週間後検診ということで,ホームセンター内にあるペットクリニックに行きました。特に悪いところもなく順調に成長しているということで安心しました。その後,ペットショップで首輪やリードなどを買って来ましたが,先週奥さんと娘が買ってきたchocoの洋服はもうほとんど着せられなくなりました。子犬の成長は本当に早いですねぇ。それにしても一度も着せられないっていうのはもったいないなぁって思いますよね。
今日は睡蓮の花が3つ一度に咲きました。まだまだ蕾はたくさんあるので楽しみです。
それでは,また。


