阪神大震災 ある女の子の話② | 更紗の喜怒哀楽(´∀`人)ヾ(*`Д´*)⊃(′;ω;`)(*^ω^*)


迫ってくる火事にお母さんをたすけられるのは自分しかいないとかなしい決断を女の子はした。
お母さんを呼びつづけ、一生懸命に倒れた家具をどけ、かわらをほうりなげて、一歩一歩お母さんに近づいていった。
やっとの思いで、お母さんの手をさがしあてた。でも姿は見えなかった。お母さんの手をみつけたとたん、女の子はその手をにぎりしめた。その時、女の子は手が血でどろどろになっているのに気がついた。
「お母さん、お母さん、お母さん。」
 手をにぎりしめ、泣きながら叫びつづけることしか女の子にはできなかった。
 火事は間近にせまっていた。火事の音が聞こえ、まわりがだんだんあつくなってきた。お母さんに一生懸命話しかけた。お母さんは小さな声で女の子に返事をすることしかできなかった。
「お母さん、お母さん。」
と叫びつづける女の子に、お母さんが女の子の名前を呼ぶ声が少しだけ聞こえた。
「ありがとう。もうにげなさい。」
お母さんは言って、女の子の手をはなした。あつかった。こわかった。女の子はしかたなく夢中で逃げた。すぐにお母さんを下敷きにしたまま家は燃えてしまった。燃えてしまう自分の家を女の子はいつまでもいつまでも立って、みつづけていた。声もでなかった。涙もでなかった。

③へ続く