陸上自衛隊 水陸両用戦闘部隊 | タクティカル コム

陸上自衛隊 水陸両用戦闘部隊

安倍政権は、年末までに「防衛計画の大綱」を改定すべく作業を進めています。
これは、中国の尖閣列島侵略が続いていており、島嶼防衛強化のために計画されていることです。
こちら産経新聞のURLです。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130727/plc13072703140005-n1.htm

水陸両用部隊、、、要するにアメリカ海兵隊のように、敵の前面に上陸作戦を強行する部隊です。

何も、そんな部隊を作らなくても、陸上自衛隊にある既存の普通科連隊などを派遣すればいいじゃないか!!と思う人も多いかもしれません。

しかし、そうは簡単にいかないのが戦(いくさ)というもの。
鉄砲もって、迷彩服を着てれば、いつでも、どこでも、どんな戦いでもできるかと言えば、そんなことはありません。

射撃でさえ、市街戦を想定した環境と、森林や平原の野戦を想定した環境では、技術が異なってきます。
鉄砲撃てるだけでは、戦には勝てません。
敵の動きの見極め、遮蔽の取り方、姿勢の取り方、照準などは、周囲の状況によって細かく変わってきます。
射撃でさえ、こうですから、班、小隊、中隊、連隊というように部隊における移動、展開、戦闘、などとなれば、状況によってすべてが変わってきます。

本当に高い戦力を求めるのであれば、、、戦って勝つことを考えるのであれば、さまざまな環境で、実体験した訓練が重要です。
やったことがない、体験したことがないというのは、何とか任務をこなす、というのであれば、実行可能でしょう。
例えば、敵が攻撃してこない災害派遣であれば、まだ何とかなると思います。
失敗しても自分の部隊に損害が出ることは少ないですから。。。。
しかし、敵がいて、明確にこちらを攻撃してくる戦闘では、そうは行きません。
そこには、勝つか負けるか、という現実が待っています。
体験したことがない事を突然やっても、実行はできるでしょう。
しかし、そこには味方の多大な損害という犠牲が付いて回ります。
味方の損害が多ければ、それは戦の敗北を意味することになります。
味方の損害を減らすためには、戦技、戦術を高めるしかありません。
そのためには、様々な状況で実体験する訓練を積み上げていくことしかないのです。

軍の任務、職種というのは、そうした実体験の訓練を積み上げによる専門技術、知識の分類であり、それぞれが職人、プロフェッショナルの集団なわけです。

水陸両用部隊となれば、より多くの環境に対応できる装備、訓練が必要になります。
水で浸った小銃の取り扱い、上陸の方法、展開方法、攻撃手順、支援の受け方、、、
数多くの戦技、戦術が必要になります。

これは、通常の普通科連隊では、ほとんど訓練していないことで、いきなりやってみろ、と言われてできることではありません。

ちなみに、、、自分が現役のころの話ではありますが、、、、
通常の普通科部隊では、水泳をすることも多くありません。
夏に、3t半のトラック移動で、普通に海で泳ぐくらいです。
空挺は、海面への落下傘降下がありますから、専用プールがあります。
無論、陸上自衛隊で離島防衛を専門とする西部方面普通科連隊は、水泳を重視しております。

さて、、、、
現在、政府主導で進められている水陸両用戦闘部隊ですが、海兵隊、とも言われていますが、アメリカの海兵隊とは規模も運用も異なる部隊になります。
アメリカの海兵隊は、4軍の一つを形成する、戦闘機、戦車、も保有するような大規模部隊です。
海兵隊には独自の特殊部隊すら存在します。
こちらは、甲板上で至近距離射撃訓練を行うMASOC(海兵隊特殊作戦コマンド)の特殊部隊員。
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無論、日本には、そんな大規模部隊を作れる人員の余裕も、予算もありません。
先ほど言ったように、専門職種を作るというのは、人員を育成しなくてはなりません。
それには、多大な費用と時間がかかります。

部隊をつくるというと、一般的に、明日予算つけて明後日できる、みたいに思われてる事もありますが、、、、時間と金がかかるんです。

陸上自衛隊の中に作るわけですから、ある意味こじんまりとした、小回りの利く部隊になろうかと思います。
ここで、重要なのは、小回りの利く、、、というところではないでしょうか?

主力となる歩兵連隊が、島嶼において、地雷原、化学兵器に遭遇したとき、別の施設部隊を呼んだり、特殊武器防護隊を呼んでいたのでは、時間がかかります。
また、上陸作戦という特殊な環境での活動に、通常の施設部隊や化学防護部隊は、迅速、正確に対応できない場合が多くなります。

そうならないように、水陸両用部隊に、専門支援部隊を付属させるのは、大事ではなかろうかと、、、、。
空挺団は、様々な支援部隊を持っていますが、それよりも遥かに専門的な支援部隊が必要だと思います。

そして、、、装備。
今、水陸両用戦闘車両の調達が、メディアで言われてますが、、、、これ、ヤバいらしいです。
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海兵隊の人たちが、最も嫌うのが、この水陸両用戦闘車両だそうです。
なぜ??
エンジン止まると沈んじゃうし、、、、転覆しやすい、、、とか。。。。
ま、見てればわかりますよね。
鉄の塊が、波が激しい海岸をすすむわけですから、、、、そりゃ不安定な代物でしょう。
沈んだら、全員確実に死亡ですからね、嫌われます。

現在の上陸作戦は、水平線の向こうからやってきて、一気に敵中に戦力を投下することがもとめられるそうで、、、
そんな要求の中で、水陸両用戦闘車両で、ドンブラコと、進撃している場合じゃない、そうであります。
つまり、、、ヘリ、もしくはオスプレイ等で一気に先遣部隊を上陸させ上陸地点を確保し、その後LCAC等で大量の人員装備を投入するのだとか。。。。
で、、、、アメリカの次期上陸用装甲車両は、軒並み開発中止となっております。

では、なぜ自衛隊が水陸両用戦闘車両を欲しがっているか??
水陸両用戦闘車両の構造、仕組みは、結構、長い間の技術蓄積がないとできない部分が多いのだそうで、、、、
日本の製造会社が、そのノウハウを欲しがってるんじゃないですかねえ。。。。

ということで、、、、
新しい水陸両用部隊には、本来なら、日本の島すべてで上陸作戦を積ませてあげる位の予算と、調整ができれば、いいのですが、、、、。
なかなか、そこまでは理解されないでしょうね。。。(ーー;)
まあ、すべて、これから、、、であります!!