歩兵部隊にとってのCQB | タクティカル コム

歩兵部隊にとってのCQB

CQBというは、特殊部隊が実施する人質救出に必要な極めて高速高精度の総合戦術である、というのは以前アップしたとおりです。

http://ameblo.jp/wintac/entry-11259144611.html

さて、近年、アメリカ軍では、このCQBの基本的な部分、、、至近距離射撃などを、歩兵部隊にも普及させています。
これは、どのような意味合いがあるのでしょうか?

冷戦が終結してからの戦闘は多くが非対称戦争であり、前線と後方という区別がつきにくい状況が多くなっています。
一般市民が点在する中での戦闘、建物などが多い市街地での戦闘などが、多く行われています。

アメリカ軍は、冷戦終了後、軍の組織を大きく変更してきたそうです。
それは、冷戦のように大規模戦闘だけを想定するのではなく、非対称戦争のような小規模、非正規戦闘にも対応できるように組織を変革してきたとか。

こうした非対称戦争においての作戦実施の中心は、特殊部隊が担うことも多くなっています。
アメリカ軍では、こうした特殊部隊の支援を歩兵部隊他の部隊が行う、という連携が緊密に取られ始めているのです。

そのためには、歩兵部隊は、特殊部隊が何をどうするのか、ある程度知らなければ支援の使用がありません。
そのために、基本的なCQBも学んでいるのだそうです。

加えて、歩兵部隊が、一般市民が点在する中での戦闘、建物などが多い市街地での戦闘に遭遇する可能性が高くなっている状況から、至近距離射撃を含む基本的なCQBを訓練する必要が出てきたとのこと。

こうして、歩兵のM4カービンは、一昔前の特殊部隊用SOPMODのようにアクセサリーがガッチリ付いたカスタムとなって行ったというわけです。


さて、、、、、

こんな世情の流れを横目に、我が自衛隊の普通科では、最近市街地戦闘訓練などが精力的に行われている様子がありません。。。。(ーー;)
つい、5,6年前までは、市街地戦闘を主たる任務とする師団では、数多く市街戦の訓練展示等が行われていました。
しかし、現在、そうした展示はあまり見られなくなりました。。。。

まあ、これについては、様々な理由があるのですが、、、、
アップできる話の一つに、、、、、

陸自にCQBが間違って伝わった可能性もあったかもしれません。

当時、多くの駐屯地が実施した訓練は、CQB訓練と呼ばれたこともありました。
特に、各駐屯地では独自の技術研究を行って様々な戦術を研究していたそうです。
どうやら、そのなかでアメリカから間違った情報を得たケースもあったようなのです。

当時の訓練風景を見てみると、殆どが、アメリカの警察が犯人を捜すときに実施する捜索侵入の動きです。
よく見るのは、車の下から射撃するときは、、、身体を横倒しにして、、、、などという非常に窮屈そうな姿勢で訓練している写真。
ホンモノのCQBで、苦しくなるような無理な姿勢は取りません。
だって、そんなところで無理な姿勢をしても、苦しくて、照準定まりません。
色々な技術が有りますが、どれも合理的で、シンプルです。
見てても、妙な姿勢というのは、、、、やっぱり無いんですよね。

これは、格闘でも同じだと思います。
アメリカに行くと、何の流派だか判らない格闘技がよく有ります。
大抵が、自分で本を読んで勝手に作ったものなのですが。。。。(ーー;)
そういう格闘技に限って、妙な理屈をつけて、ありえないフォームを本物のように使っています。
絶対ありえん、、、というスタイルもしばしば見ることができます。

一時期、自衛隊の普通科で普及した技術の一部には、そうした「ありえん」と言う射撃技術も見受けられたようです。

実際に、当時アメリカの歩兵部隊との市街地戦闘訓練で、捜索侵入のように静かにゆっくり動く自衛隊と、部屋に模擬手榴弾投げ込んで音など気にしないで素早く進むアメリカ軍と、まったく違う動きがみられたそうです。
音を気にしてゆっくり進む自衛官に、アメリカ兵が、、、、
「警察官じゃないんだから、、、、。戦闘だよこれ。。。」と、言ったとか、言わなかったとか。。。(ーー;)

なんとも、、、、
警察官の捜索侵入はスロー&デリバリーと呼ばれるもので、これをCQBだ!!といって伝えた人がいるんでしょうねぇ、、、、。

まあ、一昔まえの専門誌を見ると、これまた現在ではまったく使われなくなった89式小銃のエアガンの記事に、、、、、
「CQBという言葉はなくなる。ルームエントリーなどというのが正しい!!」
と、自信たっぷりに書いてある記事がありました。
CQB、、、、なくなりません~(T_T)。

専門誌のライターには、自分が権利を持っているモデルガンやエアガンの販売を促進するために、「アメリカでは、これがホンモノだ!!」と書く人たちもいらっしゃるようです。
だれとは言いませんが。。。。(ーー;)

さて、話を元に戻すと、、、、
全国的に、アメリカの警察戦術が間違ってCQBと伝えられていたのですが、そのうちにイラクの派遣など色々なことがあって、ホンモノのCQBがこれとはどうやら違うようだ、と言う事がわかってきたのだそうです。
ところが、CQBは専門部隊の伝家の宝刀として、ほかでは一切の訓練が行われなくなってしまった、、、とか。

しかし、ここで、大問題が!!
普通科部隊で実施していたのは、捜索侵入技術であって、CQBではありません。
間違ってCQBと伝わっていましたので、CQBは、ダメ!!と、なってしまった可能性も無くもないのかなあ、、、、と。

自衛隊には、既に近接戦闘というカテゴリーがあり、たしか400m位の交戦距離での戦闘のことだと思います。
ということで、CQBは閉所戦闘というカテゴリーになっています。

しかし、歩兵部隊が行っているのは、CQBではなく、至近距離戦闘です。

離島防衛を含めて、非対称戦争を想定しなければならない自衛隊の普通科部隊は、野戦でも市街戦も戦わなくてはならないのではないでしょうか。

  タクティカル コム
  交戦シミュレーションシステム、バトラーで訓練する隊員。
  普通科の主たる戦術訓練は、野戦です。

  タクティカル コム
  市街戦訓練を実施する隊員。
  独自の、戦術、戦技が必要になって活きているかも知れません。

そうなると、日本の普通科には、アメリカ歩兵が行っている至近距離戦闘技術に加えたオリジナルの戦闘技術が必要になって来るかもしれません。

特に狭く込み入った地形が多く、市街地が点在する日本では、射撃だけでなく、格闘技術も必要となります。
相手を視認しての戦闘は、精神力が勝敗を分ける重要なカギとなります。
相手と戦って勝つ!という気持ちは、射撃技術、だけでなく、格闘技術によって磨かれてい雲のだと思います。

至近距離射撃と、戦闘格闘技という戦技を中心とした、班、小隊の戦術を、これから作っていかなくてはならないのかも、しれません。

その時には、なんとか『ホンモノ』の至近距離射撃と、戦闘格闘の技術情報を提供できれば良いのですが!!

頑張りましょう!!

参考までの訓練映像です。