2025年11月 鑑賞映画ひとことレビュー
11月の鑑賞本数は26本。「エイリアン・アース」と「IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。」を観始めたら時間が無くなりました。「エイリアン…」はこれじゃない感、「…デリー」は思いのほかキング節全開で楽しいです。
大期待の「ストレンジャーシングス」は完結してから一気見しようかと。楽しみ。
かなり独特な映画。個性的ではあるけれど、だからといって面白いとは限らないというか…もう少し完成度が高く、ブラックな方向にいければよかったなあと。
【55】
この手のメディアミックスアニメって単体だとほんとにキツイなあと。
【60】
□「爆弾」
正直あまり興味は無かったので予備知識もほとんど無く、時間があったので鑑賞。
いや結構な拾い物でした(失礼)。
酔った勢いで自販機と店員に暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。やがてその言葉通りに都内で爆発が起こり、スズキはこの後も1時間おきに3回爆発すると言う。スズキは尋問をのらりくらりとかわしながら、爆弾に関する謎めいたクイズを出し、刑事たちを翻弄していくが…(映画.comより)
まあとにかくこのタゴサクさんのキャラが全て。パッとしない外見と卑屈な態度で、いかにもうさんくさい能力低めの底辺男かと思いきや、人の心理を巧みに操り、圧倒的な口上で警察を翻弄していくさまはお見事。個人的には悪ノリした時の佐藤二朗(福田組の時とか)があんまり好きじゃあないのですが、今回はお見事。大袈裟で仰々しい舞台的演技(これは評価の分かれるところかなあとは思いますが)でタゴサクさんの存在感を増幅、超絶長台詞もかっちりこなしつつ、随所に人を絶妙にイラつかせる細かい所作などを組み込んでいるところなどは佐藤二朗の真骨頂。役者としてはめちゃくちゃおいしい役なので、やっぱり気合んも入り方も半端じゃあなかったのでしょう。系列的にはジョーカー系のヴィランなんでしょうが、そのジョーカーの日本翻訳版としてはこのタゴサクさん、最高の出来ではないでしょうか。
お話的にはかなり無理というかツッコミどころ満載だし、小説なら問題ないけれど、映画でここまで真相を複雑にする必要があるのか(そのため後半駆け足になってしまってる)、も疑問。山田君のキャラもちょっと作りすぎかなあとも感じますし(山田君自体は頑張ってました)、現場の刑事シークエンスは不要と言えば不要。とまあ言い出したら色々あるのですが、リアルタイムサスペンスとしては非常に楽しめるエンタメ映画でした。
【75】
■「ハウス・オブ・ダイナマイト(NETFLXオリジナル映画)」
ビグロー姉御のなんと8年ぶりの新作はNETFLXオリジナルのポリティカルスリラー。
アメリカに向けて発射された出所不明の一発のミサイルが引きおこす政府以下の様々な混乱を描いたわけですが、そのミサイルが着弾するまでの60分弱を、視点を変えて3回リピートするのが今作の構成。圧倒的なリアリティで極限化の人間たちの壮絶なドラマを窒息するような緊張感で描くのが姉御のスタイルですが、今回はそこのところがやや弱め。3部構成にする事で展開されるそれぞれのドラマの深みが浅く(時間軸の関連性も含めそこまで面白い構成でも無いのがなんとも)、また時間が戻る事によって緊張感が分断され、全体として姉御独特の狂気孕んだサスペンスが弱くなってしまってます。という訳でこのお話をやるなら姉御じゃあ無いし、姉御がやるならこの構成じゃあないなあというのが正直な感想です。
【70】
1980年代のギラギラしまくった香港の闇が垣間見えてそれだけでワクワク。悪党達の欲望まみれのギラギラ感と友情が、1970年代のアメリカB級アクション映画のノリ+魔都香港って感じで良かったです。完成度は低めだけどそれが良い。
【65】
□「プレデター:バッドランド」
かの「プレデター」シリーズ最新作。結構な力の入れようで大規模公開でしたが、結果世界的にはシリーズ最高収益。日本でもシリーズ最高成績だたそうで、とりあえず良かったなあと。この手の映画でこれだけ力を入れてコケた日にはもう本当に映画館でこう言う映画がある程度の規模で公開される事がなくなるんじゃあ無いかって結構ヒヤヒヤしてましたので。そこも含めてほっとしたと言うのが正直なところでして。
で、映画を観ればわかるのですが、今回、非常に売れ線です。血気盛んな若者プレデターを主人公に、可愛い系のアンドロイドが相棒、その二人が命をかけてそれぞれの敵と戦ううちに成長していく…なんてストーリー的には至極王道、真っ当すぎる直球ストレート。でもそこがいいし、それでいい。ぶっちゃけみんなのお目当ては異世界で暴れまくる残虐プレデターと、めちゃくちゃ可愛はすっぱ上半身アンドロイドのファニング様なので、それの邪魔にならないのは王道。なので非常に観やすいしわかりやすい。今回についてはそれが正解。実際、よくある成長者をただプレデターに置き換えただけで、プレデターである意味は無いに等しいのだけれど、それはまあ売れる映画のためにはしょうがないところだし、そこに目を瞑ればアートワーク、アクション演出、ドラマ演出、そしてエイリアンシリーズとの絡みも含めて(とりあえずパワー…は大興奮笑)満足できるレベルだし、結構興奮、満足できる映画ではありました。ただ、やっぱりただ人間をプレデターに置き換えただけ感が強すぎるのも事実。どうやらいろんなクランがいる、戦国時代か昔のヨーロッパとかのイメージっぽいけれど、宇宙船で宇宙を飛び回り。高度な科学技術を持つ民族なのにそこのところの未熟っぷりはどうなの?ってSF好きにはちょっと違和感があったりもしたりしました(うるさいオタク)。まあそんなこんなはエル・ファニング様の神の如きキュートさに全てどうでも良くなってしまってる自分もいましたが笑。
【70】
キーラ・ナイトレイ主演のサスペンススリラー。小品だけど普通に楽しめます。まあ小品ですが。
【60】
■「ウルフマン(2025)」
これ公開されないなあと気になっていたのですが、いつのまにかひっそりと配信スルー。観て納得。とにかく何もかもつまらないというある意味奇跡のような駄作。リー・ワネルをもってしてもこの体たらくって事は狼男ってもう無理なんじゃないかという気がします(透明人間とフランケンシュタインとドラキュラはあんなに上手くバージョンアップ出来たのにね)。
【50】
■「FPS」
作ってる方々の楽しさはほんとに伝わってきました。それだけ。
【50】
□「視える」
アイルランド産の超常サスペンスホラー。
ある夜、郊外の屋敷で女性ダニーが惨殺される。容疑者は現場に現れた精神科病院の患者とされたが、事件は多くの謎を残したまま幕を閉じた。1年後、ダニーの双子の妹で盲目の霊能力者ダーシーは、不気味な木製マネキンを携えて、ダニーが殺された屋敷を訪れる。そこには、ダニーの元夫テッドと、その恋人ヤナが暮らしていた。ダーシーは姉の死の真相を探ろうとするが、そんな彼女を待ち受けていたのは、思いもよらぬ真実と恐怖だった…(映画.comより)
結構直球なオカルトミステリー。お話自体はそれほど目新しくは無いけれど、しっかり作り込んだ異様な雰囲気と練られたシナリオできっちり見せ切る力量はなかなか。主人公をはじめ、役者陣のキャスティングがなかなかに絶妙で、いかがわしさと不穏さがある盲目の主人公や、誠実な雰囲気の元夫など、それぞれが物語を語る上でしっかり機能しているので、観ていて違和感がないのは良。まあ所々で語り口が違う気がするところもあるけれど(ドッキリ描写はちょっと下手)、それでもラストの展開も含め真面目にオカルトミステリをやろうとしているのは好感度大でした。
【70】
非常に知的なブラックコメディだとは思うし、なかなか良く出来たお話だなあとは思うけれども、だからこそ物語を主演二人の話にしたのが勿体ないかと。あと、日本人キャストなのに日本語が奇妙なのは何故?
【60】
ザ・ボス、スプリングスティーンの若き日を描いた音楽ドラマ。「ボヘミアン・ラプソディ」の成功から、やたらこの手のミュージシャン伝記が増えたように思いますが、まあ時代の流れ。スプリングスティーンまで引っ張りだしてくるとは思っても観ませんでしたが、今作はちょっと毛色が違う感じ。音楽映画と言うよりはスプリングスティーンという一人の人間のターニングポイントを描く事に集中した、人間ドラマと言う側面が強い佳作でした。
1975年リリースのサードアルバム「明日なき暴走 BORN TO RUN」で一大センセーションを巻き起こしたスプリングスティーン。それから7年が経った1982年のニュージャージーで、彼は人生の大きなターニングポイントを迎えていた。世界の頂点に立つ直前、スプリングスティーンは成功の重圧と自らの過去に押しつぶされそうになりながらも、わずか4トラックの録音機の前で、たったひとり静かに歌いはじめる…(映画.comより)
正直そこまでスプリングスティーンのファンというか知っているわけでもないので(ザ・アメリカンヒーローな人だと思ってました)、この映画を観た後ではこの方への印象が大きく変わりました。ものすごく繊細で、完璧主義。音楽に対する想いがものすごく強く、逆に音楽がなければ自分を保てないようなそんな人。ミュージシャンというより、人間として非常に魅力的な人なんだなあと。映画はそんな人間スプリングスティーンを時に熱く、そして時に淡々と描いて行きます。もちろん気合い入りまくりの演奏シーンもいっぱいで十分楽しめるのですが、それよりも創作に苦悩し、人との関係をうまく築けない、そんな人間臭い描写に映画は力を注いでいて、今までの伝記映画とは異なり、非常に感情移入しやすい男になっているのがこの映画の良いところ。そういう意味でスプリングスティーンを演じた の役割が非常に大きいのですが、その期待に応える熱演(実際あんまり似ていなくても違和感が無いのはこれがそういうドラマだからでしょう)。スプリングスティーンを知らなくても一人の男のドラマとして見応え十分な映画でした。
「バッドランズ」の引用がやたら多くて長かったのがなんだかでしたが笑
【70】
■「シャーク・ド・フランス」
フランス初のサメ映画‼って結構真面目な作りにびっくり。旦那さんの献身ぶりがジュテームの国って感じで良い。
【55】
□「KILL 超覚醒」
ノンストップで疾走する寝台列車の中で、凶悪強盗団と特殊部隊員の男が繰り広げる死闘を描いたインド製の濃すぎるバイオレンスアクション。
ストーリーも含め、とにかくザ・インド映画。とにかく何もかもが濃厚・濃縮。ギトギトの油ぎった背脂満載の天下一品のような観ているだけでニキビができそうなキャラたちが展開する物語はその残虐非道さも含め超特濃。ハリウッド的な計算された美しさを遥かに凌駕する、人の命がめちゃくちゃ軽そうなやりすぎアクションがこれまた濃厚すぎて胸焼け必至。インド映画特有のカッコ良すぎるスローモーションと歌舞伎ばりの見栄の連発で、本当にノンストップな濃厚天一ラーメンわんこそばな104分でした。
流石に毎日背脂ラーメンを食べられるハズもなく、最初からノンストップで延々アクションと濃すぎるイチャイチャシーンが続くので正直慣れてきたなあと思った所に衝撃すぎる展開が!そしてドーンとタイトルが出た時には、なるほどこれはうまいなあとちょっと興奮したのですが、そこからの展開がゴア度マシマシなバイオレンススプラッターアクションホラーになったのがなんとも微笑ましいというか、サービス増しましというか。いかにもインド映画っぽくて最高
とはいえ「RRR」のような派手さと爽快さは皆無なのでその辺りは女子ウケしなそうなのは残念かと。
つまらなくは無いし、この独特のギトギト濃厚さに耐えられるのであれば楽しいアクション映画です。まあ正直ほんとに胸焼けはしますけれど笑
【70】
お話自体はままありがちなのだけれど、シドニー・スウィーニーの常軌を逸した熱演でプラス5点。
【65】
■「世界の終わり」
よくあるお話ではあるけれど非常に真面目な映画。だからこそ面白味が足りず。
【55】
□「果てしなきスカーレット」
さて。賛否両論渦巻く今年最大の問題作になってしまったこの映画。とりあえず「未来のミライ」から様子がおかしくなった細田守の化けの皮がついに世間的にも剥がれたなあと個人的には思ったりもしたのですが、スカスカな初日の劇場や大コケ具合を知るにつれ、ここまで拒否反応があるとは正直意外でした。これ昨今の映画マニア以外のライトな観客たちのパヤオ・新海・細田の3大日本アニメ監督や、鬼滅やコナンなんかの大ヒットコンテンツに対する安直な妄信から来る拒否反応で、ちょっとその安定路線から外れたものが出てくると無条件でソッポを向く、そんな浅はかな流れが出来ているんだろうなあとコアでマニアな映画オタクは思ってしまいます(別にそれが悪いとは言わないけれど、しょうがないとは言いたくないです)。
とまあ一人のアニメ作家の息の根を止めてしまった感のある本作ですが。いや正直これは酷い出来です。
父を殺して王位を奪った叔父クローディアスへの復讐に失敗した王女スカーレットは、「死者の国」で目を覚ます。そこは、略奪と暴力がはびこり、力のなき者や傷ついた者は「虚無」となって存在が消えてしまう世界だった。この地にクローディアスもいることを知ったスカーレットは、改めて復讐を胸に誓う。そんな中、彼女は現代日本からやってきた看護師・聖と出会う。戦いを望まず、敵味方の区別なく誰にでも優しく接する聖の人柄に触れ、スカーレットの心は徐々に和らいでいく。一方で、クローディアスは死者の国で誰もが夢見る「見果てぬ場所」を見つけ出し、我がものにしようともくろんでいた…(映画.comより)
ベースは「ハムレット」。それは良いんです。シェイクスピアをベースにした映画なんてそれこそ星の数ほどあるし傑作・名作もyまのようにありますので。
そんな事より何よりとにかくシナリオがあまりにも雑というか稚拙。愛をテーマにした映画で、やたら愛という言葉がセリフで語られるのは本当に恥ずかしいし、そんな台詞回しも含め、世界観の構築やキャラの設定、ストーリーの流れや行動の意味合いや心情の変化の原因など、映画として全て下手すぎ。これ、煉獄のイメージなんだろうけれど、時間と場所が無い世界で、聖という現代人がいるのにも関わらず、他の現代人や現代の武器や登場しないのは何故?とか、通貨が流通していたりとか、そういう細かい所の設定があまりにおざなりというか良い加減だし(こういうお話だからこそ細部って本当に大事)、こういう世界観なら現代人を出す必要性(特にこの聖というキャラのブレっぷりや作り込みが酷い)をきちんと構築しないと置けないはずなのに、なんだか観念で誤魔化そうとするその安直さが見ていて本当にイライラしました。実際パヤオの「君たちはどう生きるか」もこういう感じの映画だけれど、パヤオの場合は演出力と語り口のうまさで世界観はきっちりと構築されているし、何よりも伝えるために安直な手抜きはしないという確固たる信念があるけれど、この監督は自分が見せたい、聞かせたい事を伝える努力というか、観客に対する姿勢がなんというか上から目線。自分が大事だと思う所にはものすごく力を入れるけれど、それ以外はどうでもいい的な軽さが今回ものすごく悪い方向へ出てしまった感(渋谷のダンスシーンのみっともなさと言ったらもう恥ずかしいレベルですわ)。奥寺佐和子を切り、自社スタジオで王様になった途端、映画がどんどん雑になっているのがなんともわかりやすいというか、この監督の才能の限界なんだろうなあと今回改めて感じた次第です。まあ色々逆張りも含め賛否ありますが、単純に下手くそすぎてつまらないというのが本当のところかと。
【50】
2000年代前半らしい軽薄な作りが逆に新鮮。巨大ワニ、やっぱり燃えます。
【55】
□「落下の王国」
はるか昔に観た記憶があるのですが、今回のリバイバルを受け久々に鑑賞。なるほど、こんな感じの映画だったんですね。
内容とかはほとんど覚えていなかったのですが、とにかくやたら奇妙かつ印象的なコスチュームと可愛い女の子の印象だったのですが、これ結構切ないというか悲しいお話だったのですね。独特な強烈に美しいイメージがトレードマークのターセムさんですが、そんな彼が自主制作で作った映画と言うことでやりたい事をやりたいように思いのままに作れた夢の一本なのが観ていて本当に伝わってきました。
とにかくそのイメージは圧巻。劇中劇の復讐劇はそのシーンの全てが個性的で芸術品のようなビジュアルセンスに貫かれ、もうそれだけでこの映画を見る価値あり。世界各地の名所・宮跡でロケするなど贅沢すぎるそのシーンは本当に勿体無いくらいの使い方で、ある意味これは究極の自主映画なのでしょう。ワダエミに好きなようにやらせまくった衣装の効果も絶大なのはもちろん、その衣装を違和感無く使いこなす監督のセンスはお見事としか言いようがありません。
ただ、1本の劇映画としてはやっぱり残念な作り。ストーリーも含め、全体に稚拙というか下手くそなのは変わらずで、物語を上手に伝える語り口がやっぱり今ひとつ。圧倒的なビジュアルセンスの割にいつも今ひとつ評価が低いのはこの監督に演出のセンスがあんまり無いからなのでしょう。0
そこも含め、良くも悪くもターセムの真骨頂な映画です。
【70】
□「ブラックフォン2」
かの佳作ホラー「ブラックフォン」のまさかの続編。実際、1作目で綺麗に物語は完結しているので、2作目ってどうするのって思ってたら、なるほどこっち方面に行ったのねという驚き&なるほどな変化球続編でした。
子どもの失踪事件が多発するコロラド州の町で、連続殺人鬼グラバーに誘拐され地下室に監禁された少年フィニーは、断線した黒電話に届く「死者からのメッセージ」と、妹グウェンの不思議な力に助けられ生還を果たした。4年後、フィニーは17歳になった現在も事件のトラウマに苦しんでおり、グウェンは意志の強い15歳の少女へと成長していた。3人の子どもが殺される悪夢を見るようになったグウェンは兄を説得し、現場となったウィンターキャンプの地へ向かう。そこで彼らが突き止めたのは、殺人鬼グラバーと自分たちの家族を結びつける、あまりにもおぞましい真実だった…(映画.comより)
と言うわけで今回はグラバーエピソード0。1作目では正直ただの殺人鬼だったグラバーさんが、続編で実はとんでもない怪物だった事が判明するというのはちょっと卑怯な気もしますが笑そこはそれ。前作の重要な要素だった死者との交信という超常現象により深くフォーカス、その心霊現象を前作の登場人物二人とうまく結びつける事で、美しい家族の絆を描いた感動ホラーにまで昇華させたのはお見事。ストーリーも含め非常にまとまっていて、完成度的にはさすがな感じでした。前作の二人がそのまま続投しているので、その成長度合い(フィニー役の子は出世街道爆進中ですねえ)に合わせたストーリー展開にも違和感が無いし(妹さんの成長度合いには完全に親目線でした)、手慣れたホラー演出も含め、さすが職人デリクソンの面目躍如といった感じでした。
まあグラバーが完全にフレディだったのはご愛嬌笑(まさかのオマージュかも?)
【70】
■「処刑!血のしたたり」
かのサム・ライミ一派スコット・スピ―ゲル監督作。はらわたでノリにっノッテる頃の映画なので、爆発力はあります。
ゴアシーンの出来もグー。
【55】
■「アンダー・ザ・プラネット」
「ザ・コア」のC級版なのにこっちの方が面白いという…(泣)
【55】
アメリカ公開時からめちゃくちゃ期待していた本作。未公開になる不安もありましたが晴れて日本公開。いやー期待を裏切らない昨今稀に見傑作ホラーでした。
舞台は静かな郊外の町。ある水曜日の深夜2時17分、子どもたち17人が突然ベッドを抜け出し、暗闇の中へ走り出したまま姿を消す。消息を絶ったのは、ある学校の教室の生徒たちだけだった。なぜ彼らは、同じ時刻に突如として姿を消したのか。疑いの目が向けられた担任教師ガンディは、残された手がかりをもとに集団失踪事件の真相に迫ろうとするが、この日を境に不可解な事件が町で相次ぎ、やがて町全体が狂気に包まれていく…(映画.comより)
とにかく物語が秀逸。ある日の夜同じ時間に17人の子供が突然失踪(あの走り方は発明ですね)するという謎でまず強烈に惹きつけ、その謎を関係者5人の視点で描きながら、それぞれの複雑な関係を人間ドラマ推して徐々に謎解きをしつつ、やがて恐ろしすぎるクライマックスへ辿り着く。時間軸をいじりながらも登場人物を限定・深く描くことで混乱を避け、それでいてミスディレクションを入れつつ伏線もしっかり回収するという離れ業。最近の映画の中でも1・2に入る最高のシナリオだと思います。とにかく最初の大きな謎から、物語が進むにつれ謎が謎呼ぶ展開は、サスペンスものとして屈指の完成度。アメリカの考察合戦はイマイチわからないけれど(考察するほどほったらかしな謎はほとんど無い)、ここまで知的好奇心を満たす映画は本当稀だと思います。
(ここからネタバレ)
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そんなつかみに対して真相自体はなんだか?な感じは否めませんが、我々世代には永遠のヒロインであるエイミー・マディガンのノリノリ変態演技も相まってクライマックスでいきなりザ・ホラーになるのもなんとも痛快。過剰なスプラッタ描写も含め、一気に解放されるその感覚は、ホラー映画ならではの開放感を感じさせてくれます。
見事なシナリオにそれをきっちり映像化した演出、さらに過剰なサービス精神がかっちりと組みあった、昨今のボラー映画の中ではベストな傑作です。
しかしエド・ハリスとエイミー・マディガン夫妻、今年に限ればこの夫婦とはあんまり付き合いたく無いです…笑
【80】
□「笑む窓のある家」
伝説のイタリアンカルトホラー日本初公開という事で「ZEDER」とともに期待値MAXだったのですが、これはダメでした。
絵画修復師のステファノは教会のフレスコ画の修復を依頼され、北イタリアの田舎町を訪れる。その絵は「死に際を描く画家」と言われ20年前に狂死したブオノ・レニャーニによる、「聖セバスティアヌスの殉教」を模した不気味なフレスコ画だった。ステファノの友人アントニオは、町で禁忌とされるレニャーニとフレスコ画の関係をひそかに調査していたが、何者かに殺害されてしまう。すべての謎を解く鍵は、アントニオが殺される前に口にした「笑む窓のある家」に隠されていた…(映画.comより)
あらすじだけ見れば物凄く面白そうなのです。不気味すぎるフレスコ画!笑い死した画家!秘密を抱いた不気味な田舎町!笑む窓がある家!なんて超パワーワードが溢れまくるあらすじなのに、映画はものすごくのんびり、まったり。昔のイタリア映画らしく作りは雑、テンポはゆるゆる、役者は大根、ただヒロインだけはめちゃくちゃ可愛い(ヒロインの場面だけ気合いの入り方が違うイタリア気質苦笑)。それでもその不気味でおどろおどろしい雰囲気だけは決して消える事が無く画面全体に充満しているのもまたかの時代のイタリア映画。いやほんとこの時代のイタリ映画らしいイタリア映画でした。
で、なぜにこんなにカルトになっていうかというと、もうひとえにラストのびっくりドッキリ展開のため。いや反則だらけで唖然茫然で、ある意味変な笑いが漏れましたが、このバカすぎる展開を思いつき、やり遂げてしまうその懐の深さもまた陽気なイタリアンでした。
【55】
□「ZEDER/死霊の復活祭」
で、こちら。
小説家のステファノは、妻アレッサンドラから中古のタイプライターを贈られる。中に残されたインクリボンには、「Kゾーン」という謎の言葉が刻印されていた。専門家のケージ教授によると、Kゾーンとは一見すると普通の土地だが、死者と接触できる場所と信じられていたという。その地を発見したパオロ・ゼダーはバチカン市国・秘密文書保管所に出入りする謎の人物だったが、失踪して行方がわからなくなっていた。やがてステファノは、Kゾーンとゼダーをめぐる国際的な陰謀に巻き込まれていく…(映画.comより)
先の「笑む窓」と比べてこちらの方が完成度的には上。お話もスッキリ整理されていて、いかにもBなストーリーが結構真面目かつ丁寧に語られます。ヒロインへの力の入れようは相変わらずで微笑ましいですが、サスペンスの盛り上げ方やミステリとしてもなかなか。盛り上がりもあるしドキドキもあるという、普通に面白いB級オカルトホラーでした。
オチがまんま「ペットセメ…」なのが気になったのですが、両作とも1983年発表。Kの小説は発売よりだいぶ前に完成されていたらしいからはてさて…
【60】
傑作「暗戦 デッドエンド」の続編。今回はVSイーキン・チェンという事で、ラウ・チンワン扮する刑事と死闘を繰り広げます。
まあとにかくイーキンのカッコよさといったら。笑顔を絶やさず飄々としたそのキャラクターの中、に一筋縄ではいかない様々な経験を積んでいるであろう深みを感じさせるそのキャラは、イーキンの爽やかすぎる風貌と華麗にマッチ。こういうキャラに説得力を持たせるトー師匠と銀河映像の弟子たちの、映画作りに対する知性の高さを改めて感じさせます。こんなイーキンに対抗できるのはやっぱりこの人ラウ・チンワンしかいません。昭和特濃顔で態度も昭和なのに、そこはかとなく知性を感じさせる繊細な演技。さすが長い間一線を走っている方は違うなあと感じ入りました。
敵同士だけれど、丁々発止のやりとり(ここは前作と比較すると少々強引すぎる感もある)を経て、好敵手としてお互いを認め合う様はまさに昭和の王道。そんなところも含めて愛すべき佳作でした。
【70】
ここでお得なポッドキャストをご紹介!台東区の銭湯「有馬湯」をキーステーションにお送りする映画やその他社会のもろもろについて私の友人であるアラフィフ男どもが熱く激しく語りまくるポッドキャスト「セントウタイセイ.com」。かなりマニアックなものから有名どこの邦画を独特すぎる視点で時に厳しく、時に毒々しく、だけど基本は面白おかしく語りつくしておりますので、是非聞いてやってくださいませ。
よろしくお願いします‼