今晩は。今日は渋谷駿さん率いる『幻想奇術空間シンビーボックス』様の旗揚げ公演『黒いメルヒェン~つむじ風街の月光楼~』の千秋楽を観劇して参りました。






 完全に心奪われましたね、はい。まさに心此処に在らずと言った感じです。今は。


 もっとちゃんとした感想を先に……と思っていましたが、観賞後に拝読させて頂いたパンフレット。此方が自分の中で鑑賞中には分からなかった「疑問」「謎」に対する興味深い言及となっていたので、考察が捗りました。


 という訳で、衝動の沸き上がるまま、この舞台に残された「謎」について書いてみたいと思います。


【注意】ここから先はあくまで私個人の大分斜め上な考察なので、「そういう考え方もあるんだなぁ」程度の気持ちで読んで頂けると幸いです。


月光楼の謎・その①:探偵は何処へ行った?


 さて、この舞台の粗筋ですが、どうも可笑しいのです。と言うのも、事前にポスター等で公開されていたものと、パンフレットに書かれていたもので内容が全く異なるのです


 ポスターでの粗筋は、


「マジシャン兼探偵の主人公が、消息を絶った少女を追って月光楼にやって来る」


 というものでしたが、パンフレットでは、


「浅草に"つむじ風街"と呼ばれる街があり、社交場として名高い"月光楼"という名の秘密の館がある」


 と、事前のポスターとはほぼ異なる粗筋が書かれていました。(月光楼がどの様な場所か、明確に記されているのが特徴)


 そして、実際のステージでも、探偵らしき人物は劇中に全く登場しないのです。あくまで主要な人物として扱われているのは、怪しげな招待状を受け取って月光楼にやって来た一人の少女。


 パンフレットによると、どうやらこの月光楼は会員制の超一流の者が集まる場所で、立ち入る事を許されているのは会員である観客と、館の主人、そして選ばれた出演者のみとの事。選ばれた者達は皆、二度と帰る事は出来ないようです。


 そして、怪しい招待状を受け取ったヒロインは、何故か探偵に助けを求める事なく、抵抗する素振りも見せず、どんどん月光楼に魅了され、最終的には心身共にいじくられて洗脳(?)状態に。それから文字通り変貌していくのです。


 此処で自分は考えました。このポスターとパンフレットで粗筋に差異が生じているのは、


「ポスターの粗筋は月光楼の"表面上"の情報でしかなく、パンフレットに書かれているのは月光楼の"裏側"たる実態だから」


 なのかなぁ…と思いました。


 ポスターでは、恐らく月光楼に閉じ込められた少女達が探偵に助けを求めている様な記述がありました。しかし、実際のパフォーマンスを観て、一つの解釈が生まれました


「奇術師兼探偵の主人公(渋谷さん)は、物語が始まる前は単純に探偵だったが、月光楼に取り込まれてから探偵である事を忘れ、館の主人として覚醒してしまった」


 いや、考えすぎか…。


月光楼の謎・その②:月光楼の「楼」


 「楼」って何だっけ?と思って調べた所…


「楼」という言葉は、訓読みで「たかどの(高殿)」「やぐら」。

二階建て以上の高い建物で、見晴らしの良い高層タワー、物見やぐら(見世物小屋?)、歓楽や飲食の為の建物(茶屋、遊郭等)を指すそうです。


 夜な夜なサーカスの様なマジックショーを繰り広げており、恐らく「見世物小屋」としての側面が強い館なのでしょう。 


 また、浅草九劇=月光楼となると、二階建てなので「楼」は物理的な意味でも強ち間違いではない。


 因みに「楼」の画数は13画。13という数字は不吉として有名。そしてこの舞台の初日の日程は「13日の金曜日」。やはり、狙っていた様です。


 他にも色々と発見がありましたが、長くなりそうなのでまた今度書こうと思います。


 シンビーボックスの皆様、有り難う御座いました!