先日親会社マネジメントとの戦略会議のようなものがあったので、そこから思いついた話題を2回に渡って取り上げたいと思います。両方とも将来のVisionや計画を語る時に際の表現です。お読み頂いてる方々もよく出くわす場面かと思います。

 

1回目の今回は「変化」の系統です。日本語では「変わる」という柔軟な大和言葉を、フォーマルな文脈でも幅広く使うので、どうしても"change"が頭の中を支配しがちですが、これに"transform"とか"transition"といったバライエティをつけていきましょう。

 

例えば「今後はモノを売るのではなく、ソリューションを提供する会社に変わっていかないと」の場合、"change"でも悪くはないですが、やはり"transform"を使った方が断然大人っぽい感じがします。なぜでしょうか。。。多分"change"は日常的な言葉なのでインパクトに欠ける一方、"transform"はなにせ"trans"の「移動(移行)する感じ」と"form"の「型」ですから、ドンピシャ感が強いのでしょう。

 

感覚なので鵜呑みにする必要ないですが、私は"change"に「連続した(時間をかけた)変化」のイメージを持っていて、一方の"transformation"には「別のものへの非連続な変化(変革?)」というイメージを持っています。よって「ビジネスモデルの変革」には"We need to transform our business model"のように"transform"がフィットするわけです。

 

一方で人間の方は急に変われないので、"We need to change our mindset to achieve the business model transformation"と、"change"がフィットすると思います。ここに"transform"を使ってしまうと"mindset"が機械のようなものに感じられるのではないでしょうか。同様に「私たち、変わらなきゃ」を、"we need to get transformed"とか言ってしまうと、みんなでアンパンマンにでもなるかのようなイメージかもしれません(と言うのは言い過ぎでしょうか)。

 

"Transition"(名詞も動詞も同じ)も押さえておきたいところです。あるステージ(状態)から次のステージ(状態)に「だんだんに移行」する感じ。これは変化前と変化後という2つが強調された"transformation"には無い感覚かと思います。「SAPを使った業務プロセスの変化(変更、移行)」であれば"transition into the new operating model around SAP"がフィットすると思います。"Transformation"と組み合わせるなら、"We need to transform our entire operating model into the one that facilitates future degitalization. Transitioning into SAP-based processes is the first step."(将来のデジタル化に適応した業務モデルへの変革が必要だ。SAPベースのプロセスへの移行はその第一歩だ。)てな具合でしょうか。

 

ちなみに"facilitate"を使いましたが、これは重要な勝負英語ですので、お使いでない方は是非ともそのニュアンスのまま賞味してやみつきになってください。ここでは「適応した」と訳しましたが、要は「何かをしやすくする」ことです。「加速する」「(良い意味で)助長する」とか。会議の「ファシリテーター」のあれです。

 

最後に手短に"shift"ですが、これは昔の「王シフト」(王選手の打球の方向がライト寄りなので、野手足しがズズッとライト寄り=一塁寄りにズレる)のように、ちょっと、ズズッと動く感じです。もう一つイメージ挙げれば、「ギヤを変える」が"shift"だってことでしょうか。「王シフト」と「ギヤ」のイメージで行きましょう(かなり強引ですみません!)

 

ちょっと尻切れ感が有りますが、今回はここまでにさせて頂きます。

 

蛇足ですが、最近MUJIの店で「お値段見直しました」という札を見ます。これは非常に厄介な日本語ですね。もちろん「値下げ」を意味するわけですが、文字通りとれば「見直した結果、価格据え置き」もあり得ます。前職でも「見直し」(「変更」の意味で使っていた)が"review"と訳されていて海外で混乱をきたしているのを見ましたが、グローバル環境では「曖昧な日本語を使わない」というが実は非常に大切かもしれません。