いきなり無駄話ですが、よく外国のスポーツ選手インタビューの見出しなどで「◯◯初優勝『とっても幸せ』」とかありますけど、あれ気になりませんか?要は"very happy"とか言ったんでしょうね。でも英語の"happy"なんてフツーのOK的な感じにも使われるので、「幸せ」はちょっと違和感があリます。皆さん如何でしょうか?

 

あと、海外の監督や同僚が、現地で活躍する日本人スポーツ選手について語る時もそうですよね。「そこまで褒めてるかぁ?」と思うものが時々あります。彼らがdiplomaticだと言うのもありますが、そもそも英語のギトギトした形容詞を、おでんの出汁みたいな日本語の薄味形容詞に直訳すること自体に無理があるんじゃないか、なんて思ったりします。

 

さて、訳しにくい日本語概念の続きです。今回はなるべくあっさりやりたいと思います。

 

まず「検討する」ですが、"consider"の使い過ぎに注意した方が良いかなと日頃感じています。「検討」がかなり漠然としたことにも使えるのに対して、"consider"は基本的に目的語を取るので、ある程度の具体性が必要だと思います(具体的に何をconsiderするのか)。例えば「検討」は具体性がなくとも「ガバナンス強化策についてはまだ検討中だ」などと言えてしまいますが、これを"we are considering how to enhance our govenance"というとやや違和感があります(具体的に何をconsiderする?)。それがもし"We are considering several options for governance enhancement"ならスッと入ります。

 

次に「きれいごと」。いい言葉ですよね〜。当然Beautifulとか使えないので、落ち着いて別の日本語に置き換えましょう。多くの場合「うわべだけ」「非現実的」「理想主義的」といった感じのミックスだと思うので、言葉としては"unrealistic",とか"naive"(本当は"i"の上が2つ点になる、「世間知らず」という意味のネガティブ語)あたりが使いやすいかなと思います。場合によっては"politically correct"とか"optics (見た目、見え方)may be good but..."みたいのがフィットすることもあるかもしれませんね。

 

次に「理想」。ポピュラーな日本語なので、1:1訳"ideal"がよく使われてますが(それで間違いじゃないですが)、英語人からはそこまで頻繁に"ideal"を聞かないように思います。おそらく、"ideal"が少々「空想」の方に寄ってるからではないかと個人的には思っています。なので、ある程度現実的な可能性のある文脈で「それが理想だよね」と言う場合は、"that would be perfect"あたりを使ってみるのも手ですね。

 

最後に「掲げる」。これ、頻度は低めかもしれませんが、出てきた時には結構詰まったりしませんか?。直訳系では"uphold"があり、これは理念的な大げさなものであれば結構有用です。「法の支配を掲げる」="uphold the rule of law"とか。ただ、もう少し生活感のある言葉になると、emphasizeあたりを使うのが一番しっくりくるように思います。「今期は従業員のスキルアップを目標に掲げている」なら"a significant emphasis is placed on employees' skill development" とか。

 

それではまた次回。別のテーマで書きたいと思います。