シェヘラザード74 | 僕はここにいるよ。

僕はここにいるよ。

ホミンの小説を、好き勝手に書いてます。
きわどい内容もあるので、ご注意下さい。

《Y サイド》

チャンミナに呼び出されて、アパートに向かう。

いつもより、沈んだ声で話すあいつが、なんだか深刻な状況を予想させて、不安にさせた。

アパートに着いてドアを開けると、青い顔をしたチャンミナが顔を出す。
「おい、どうしたんだ!?
…大丈夫か?」
俺の問いには答えず、ズンズン部屋の奥へと歩いていく。
そのままストンと座り込むと、大きく息を吐いた。

そして、チャンミナが口を開いた。
親父たちが訪れた一部始終を、話し出す。

ショッキングな内容に、俺は言葉を失った。

なんて事だ…。
親父たちにバレていたのか。

いずれは、チャンミナとの事は話すつもりでいた。
だけど、こんなに早く、決着をつける日が来るなんて。
俺は頭を抱えた。

そんな俺を見て、チャンミナが意を決したように、口を開く。
「ヒョン…。
僕たち、別れましょう。」

「なっ!
何言ってるんだよ!?
そんな事、出来るわけないだろっ!」

驚いて、立ち上がる俺。

「あなたには、背負って立たないといけない未来があります。
それには、責任も伴います。
もう、学生の頃のようには、いかないんですよ。
分かって下さい…。」

俺は大きく頭を振った。

「分かんねえよ、んな事!
分かり…たくもない。」

「だけど、諦めなきゃいけない事もあるんです。
それが…人生だから…」

「ヤダよ、チャンミナ!
なんでそんな事、言うんだよ!」

いつの間にか、俺の頬を、涙が伝って流れ落ちた。
それを拭いもせず、両手でチャンミナの肩を掴んで、揺さぶる。

「なぁ、お前は平気なのかよ?
こんな…こんな簡単に、決めちゃってさぁ!」

チャンミナの顔が辛そうに歪んで、横を向いた。
それでも、決意は翻らない。

「お願い…します。
僕と、別れて下さい…」

土下座をして、必死に頼み込む姿が、あまりに痛々しい。
俺は、ただ呆然とそれを見た。

この状況が、どれだけ続いたんだろう。
しばらくして、ついに俺が、
「分かっ…たよ。
もう…いいから」
そう、言葉に出していた。