《Y サイド》
チャンミナに呼び出されて、アパートに向かう。
いつもより、沈んだ声で話すあいつが、なんだか深刻な状況を予想させて、不安にさせた。
アパートに着いてドアを開けると、青い顔をしたチャンミナが顔を出す。
「おい、どうしたんだ!?
…大丈夫か?」
俺の問いには答えず、ズンズン部屋の奥へと歩いていく。
そのままストンと座り込むと、大きく息を吐いた。
そして、チャンミナが口を開いた。
親父たちが訪れた一部始終を、話し出す。
ショッキングな内容に、俺は言葉を失った。
なんて事だ…。
親父たちにバレていたのか。
いずれは、チャンミナとの事は話すつもりでいた。
だけど、こんなに早く、決着をつける日が来るなんて。
俺は頭を抱えた。
そんな俺を見て、チャンミナが意を決したように、口を開く。
「ヒョン…。
僕たち、別れましょう。」
「なっ!
何言ってるんだよ!?
そんな事、出来るわけないだろっ!」
驚いて、立ち上がる俺。
「あなたには、背負って立たないといけない未来があります。
それには、責任も伴います。
もう、学生の頃のようには、いかないんですよ。
分かって下さい…。」
俺は大きく頭を振った。
「分かんねえよ、んな事!
分かり…たくもない。」
「だけど、諦めなきゃいけない事もあるんです。
それが…人生だから…」
「ヤダよ、チャンミナ!
なんでそんな事、言うんだよ!」
いつの間にか、俺の頬を、涙が伝って流れ落ちた。
それを拭いもせず、両手でチャンミナの肩を掴んで、揺さぶる。
「なぁ、お前は平気なのかよ?
こんな…こんな簡単に、決めちゃってさぁ!」
チャンミナの顔が辛そうに歪んで、横を向いた。
それでも、決意は翻らない。
「お願い…します。
僕と、別れて下さい…」
土下座をして、必死に頼み込む姿が、あまりに痛々しい。
俺は、ただ呆然とそれを見た。
この状況が、どれだけ続いたんだろう。
しばらくして、ついに俺が、
「分かっ…たよ。
もう…いいから」
そう、言葉に出していた。