いつか鉄橋の近くを歩いていた。

波型屋根の鉄道車庫 私たちは機関車が何台か停っているのを鉄柵ごしに眺めながら、しばらくそれに沿って歩いた。

それから車庫裏の暗いカフェで休んだ。

店内は古めかしい飾り付けの、鉄道員相手らしい質素な店で、椅子なども重く、頑丈にできていた。

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私は前から、噴水のある広場のゴシック式のアーケードの下の書店で、何枚かの複製の細密画の絵はがきが並べてあるのに気がついていた……

-辻邦生「夏の砦」