「愛って何だと思う?」
妻は私にそう問うた。
でも私はそれどころじゃなかった。
「この部屋寒いよ、暖房入れよう?」
そんな私の願いを無視して妻は言った。
「愛ってのはね、この中に入っているの」
手に持った鍋を机の上に置き、妻はまた私に尋ねた。
「愛って何だと思う?」
「分からない。寒いよ」
「違うわ」
鍋のふたを開けながら彼女は答えた。
「愛は冷めないものよ」
鍋を覗き込むと、中は空っぽだった。
「何で?」
「あなたの稼ぎが少ないから」
妻はそのまま家を出ていってしまった。