ハードワーク?当たり前だ!トッテナム4-2-3-1 イングランドプレミアリーグ第14節 | 相手の守備を見ればサッカーは100倍上手くなる、ジャイアントキリングの教科書  〜最新サッカー戦術考察ブログ〜

相手の守備を見ればサッカーは100倍上手くなる、ジャイアントキリングの教科書  〜最新サッカー戦術考察ブログ〜

技術があるのに上達しない?相手の守備を見れていないことが原因です。年間300試合は観るサッカー観戦大好き指導者が、M・シティの試合を中心に、各チームがどのように挑むのか、そしてどのようにプレスを剥がすのかを分析します。サッカーが上達するヒント満載です。

ハードワーク?当たり前だ!トッテナム4-2-3-1 イングランドプレミアリーグ第14節



 ポステコグルー監督率いるトッテナムは開幕10試合、負けなしで一時は首位にも立ちましたが最近の結果はあまり奮っておりません。攻撃的なサッカーを貫くそのチームスタイル、得点力が高いのも事実ですが、リスクを負っているためヒヤヒヤする場面や失点が多いのも事実です。しかし、横浜FM、セルティックと各国で結果を残してきているオーストラリア人監督です。日本をとても信頼してくれているポステコグルー監督には、是非とも頑張って欲しいところです!トッテナムの勇敢な戦い方を見ていきましょう!

目次
・トッテナム布陣
・シティ布陣
・トッテナムハイプレス
・シティプレス回避
・トッテナム特徴  両偽SB
・トッテナムプレス回避
・総括



・トッテナム布陣

トッテナムは4-2-3-1、キャプテン、ソンフンミンです。パクチソンもソンフンミンもファンフィチャンも皆そうですが、韓国の選手はサッカーにおいて求められる能力が高いですよね。細やかなテクニック、というよりはダイナミックなプレーでチームに利益をもたらしてくれます。



・シティ布陣


シティは攻撃時3-2-5守備時4-4-2です。
守備時はGKに対してFWが行くのではなくB.シウバが中央アンカーのパスコースを消しながら飛び出て行くシーンが見られました。


このようにB.シウバが2度追い3度追いして守備のスイッチを入れサイドにボールを追い込むのも1つの特徴です




・トッテナムハイプレス

さぁ、それではトッテナムのプレスを見ていきましょう!シティの3-2-5に対してトッテナムは4-2-3-1なので、噛み合わせ的にはシティの中盤、ロドリ、アカンジのどちらかが浮きます。



これに対し、ハイプレスで前から行く場合はダブルボランチの一角が出て行くため、結果的に4-1-4-1みたいな形になる場面が見受けられます。



ソンが2度追いでGKにプレスをかけると、残りのフィールドプレーヤーはシティ10人に対しトッテナムは9人になりますから、シティは必ず1人、フリーの選手がいることになります。


ソンフンミンがプレスをかけた背後のルベンディアスは一時的にフリーとなる





トッテナムはそのフリーの選手にパスが出ないように、あるいはパスが出ても二の矢、三の矢とプレスがかけられるように人が出て行きます。


ソンのチェイシングをスイッチにボールを奪いに行く




2度追い、3度追いと全員が献身的な守備でボールを果敢に奪いに行きます。


前半27分のボールを奪ったシーンです。

ソンの2度追い


全体のプレス発動


B.シウバが落ちて保持しようとした所を四角から飛び出して行く


インターセプト




次に、後半68分のカウンターでの得点に繋がる守備です。

ソンのチェイシング


剥がそうとするシティ


ハーランドへのパスをインターセプト。カウンターで貴重な同点弾



このように、ハイプレスでボールを奪い、シティゴールに迫るシーンが複数回ありましたので、高い献身性からなる組織的な守備は一定の効果があったと言えます。

もちろん、全てがハマるわけではないのでプレス回避されてしまった場合は素早く自陣に戻り、4-4-のブロックを敷きます。



・シティプレス回避

トッテナムのプレスに対してシティのプレス回避も鮮やかです。

前半11分、GKエデルソンからのロングボールで剥がします。


グバルディオルが高い位置を取り、空いたスペースにアカンジが落ちるローテーション


ズレが生まれたことにより、マークに迷いが生じる


サイドで数的優位を作られて自陣後退を余儀なくされる


前からハメにくるトッテナムに対しグバルディオルが高い位置を取りサイドで2対1の数的優位を作っています。サイドバックはウイングのドクに留められているため出て行けません。プレスを回避されて帰陣を余儀なくされます。


・トッテナム特徴 両偽SB
トッテナムは攻撃時、両SBが2列目ハーフスペースに駆け上がる可変システムです。



ですので、2-3-5、あるいは2-2-6のような超攻撃的な形になるのですが、こうすることによってまずWGへのパスコースが開けます。



WGへのパスコースが空く



相手は、サイドでマークの受け渡しをせずに、人について行くと背後のスペースを空けてしまいます。


受け渡しをせずにマンマークでついていくとスペースを空けてしまう




中央を閉じて受け渡しを行うと、WGの足元に容易にボールを繋がれてしまいます。


中央のパスコースを閉じるとサイドに起点を作られてしまう



このように相手サイドハーフ、サイドバックに迷いを生じさせることによって突破を図ります。



・トッテナムプレス回避


トッテナムプレス回避の一例です。先に述べたように偽SBによりWGへのパスコースを空け、そのまま背後に飛び出す、シンプルですが有効な形です。


WGへのパスコースを空ける


ワンタッチで背後のスペースへ


・総括
互いにハイプレスを仕掛けるチームということもあり、スコアは3-3という打ち合いになりました。しかしその大部分はボールを奪ってからのカウンターです。サッカーのデータ分析によると、得点のうち30%〜40%はカウンターということですから、守備を整備して少ない手数でゴールに迫るのは最も効率的に点を取る手段と言えます。同時に、カウンターのためのハイプレスをかけるにはディフェンスラインを高く保つ必要があるため、背後にボールを蹴られても対応できる高い能力のディフェンダーがチーム内に存在することが求められます。走り勝つ、デュエルで勝つ、などアスリート能力の高さは凄く求められているなぁというのを強く感じますし、そういったディフェンダーがチーム内にいる場合は、ハイプレスで戦うスタイルを試してみる価値があるのではないでしょうか。

今回学んだジャイアントキリングのための教訓

・走る、跳ぶ、競り勝つなどのアスリート能力の高さは必須。

・技術で劣るなら少ない手数でゴールに迫ることをまず考える。

・ただボールを回すな、ゴールに迫れ!

・可変システムで自チームをプレスから解放せよ。