ビールガンジの朝は真っ赤!
特に乾季のインドや南ネパールは美しい

遠く地平線がしじらんで

空の藍と大地の漆黒が
やがて深紅にシルエットを見させ
黄道光が天に登る.....

その袂が橙に光出し
さらに黄色から閃光の一点を見出す



シルエットが立体的になって
一面の真紅に包まれる....

生きとし生けるもの.....
戯れていたスズメもカラスもイヌも
泥浴びしていた親子豚も
その片隅に唄うカエルも水鳥も
野良牛も猿も草むらで恋を謳う虫も
この瞬間だけは夢中と思考が消える.....

時間が止まった...
全てがニュートラル.....

聴覚はしじまの流れの源を
視覚はその光の一点を
ただただすがすがしくフォーカスし
真っ赤な我が身を開放して......
彩色をもたらす光線を受け入れて.....

始まりと魂の輝きの弥栄を得て.....
身体に本来の色と
新しい流動が満ちはじめる......

その光の底縁が
地平線をあがりきると...
私も風を感じて個に還る.....



いつもの朝の街並みにも
裏手の穀倉地帯にも
その奥のヒマールまでにも
時間が還って来た.....


バジェーも瞑想を済ませて沐浴に向かった
みんなそれぞれの朝が始まった.....
ワンネスからの朝の空間.....
悠久に続いて変わらないながれ......


カルカッタ行きの列車は今日の深夜23:40
200m先のイミグレーションは18時クローズ
夕方までにインド入国手続きをして
インド側のラクソウルで夕食予定

バジェーの朝チャイをみんなでして
私は宿で爆睡...15時過ぎに起きる....

ラクソウル駅までは宿の若者
ニガムが一緒に来てくれるそうだ

ガンガの家族と会話が終わらない
特にお母さんの長話に困りながらも出発...
ガンガはお気に入りのビスケットをくれた.....
ネパールのビスケットは本当に美味い!
5歳の養女は笑顔でバイバイ...
後ろ歩きにニガムとイミグレーションへ!


このイミグレーションの黒山羊!
いつも私に力比べを挑んでくる.....
両角を鷲掴みにして押し合うのだが....
今日は引き分けってことにしてハグ!
国境を渡りラクソウルに.....

ラクソウルの夕方はいつもながら喧騒だ!
風とヒーリングの空間から一気に
スピーカーから音の割れた
流行り映画のダンスミュージック!
クラクションの鳴り響く異世界に...

ガンガの家からほんの7〜800m!
流石インドではある!

インドはホーンプリーズで
人混みに入る車両は
クラクションを鳴らさないと違反になる
バイクなんかバッテリーないのが通ると
速度が落ちるとライトも消えて音も下がる....

裸電球のバザールの人混み
ニガムは友達の宿を休憩場所に
借りていてくれた!

ホテル スラジ
ネパール入国には何度か
朝まで泊まったホテルだが
まさか知り合いとは....
まぁ私みたいに国境越えの人は便利だろうし
向こうコッチで儲かるだろうし.....

ニガムと夕食がてらに街へ
バターチキンの美味い店でたらふく食べて
ガンガと5歳の養子に服を買い
バジェーにチャイの鍋を買いニガムに渡す....
バジェーのモノ持ちの良さも
ヤケドする程取手がないんじゃねぇ.....

23:40定刻 ラクソウル ジャンクションST
ニガムの見送りの列車は
カルカッタのハウラー駅に向かい
約17時間の旅路を出発!

部族のおばさまの息子のいるだろう
ビハール州パトナーまで南に4時間余.....
うたた寝しながらも心地よい線路に揺られて
ひと山脈越えてガンジス河を渡って少し...

炊事煙りの立つ早朝のパトナーで
車窓からチャイと菓子を買い
パトナーからガンジス河沿いを東に揺れる.....
朝のガンジスはどこも沐浴してる人々が
現れては消え現れては消え右から左........

イスラムモスクからはコーランの
朝の曲が流れ
ドップラー効果にてフェードアウト.....

私の車両は2等なので
椅子こそ木ではないがサンシェード無し!
向き合いの窓開きコンバーチブル!

窓が開かないと買い物も出来ないので
これがリーズナブル!

代わりに相席のサラリーマンや通学学生
親子連れから外人まで様々が入れ替わる.....
でもインド人は
なかなか話すまでにはならない
目は瞬きしないでじっとこちらを見ては
まるで草食動物な動きで周りを眺めている...

良い風に空を見渡し...
私はウオークマンを取り出して
ガンジスと穀倉地帯に身を任せウトウト.....

ガンジス河を離れ
南に進路が向いた昼過ぎの頃
ビハール州から西ベンガル州に入り
貿易風で斜めに生える椰子林が現れだして
レンガ色の大地に見渡す大平原....
ただ中をつん裂き暴走列車は行く....

空きだした車両で一人のスーツ姿の
チャイニーズが相席に座って
カルゥ(カルカッタ)の事を
色々聞いて来た.....

出張先がカルゥで初めてのインドだと云う...

私はカルゥの定番!
中華料理店のハウハーとホンコンを...
呑むならオリパブがオススメって...などなど
彼はお国の話から会社の僻みまで色々......
しかし....しか〜し.......!

引っかかる言葉にこの若者....
事あるごとにサンキューと丁寧なのだが
中国訛りなのかすべてのサンキューが
ファッキューに聞こえてならないのだ
.....

ハウラー駅からは少し高いけど
タクシーで橋を渡って国立博物館位迄は
行った方が安全ですよ!

本当ですか!ファッキュー!

私も博物館裏の400m位に宿がありますから
その辺りまで一緒にまいりませんか?

それは有り難いです!ファッキュー!
ご一緒させていただきます!
ファッキュー!ファッキュー!

ってインド人はチャイニーズ嫌いだから
何かあっても困ると思い
喧騒地帯を安全地帯までって話す先から
あからさまにファッキュー!って.....

カルゥの彼の前途は
難有りを予感してならないのだが....
まぁ想像はフィクションって事で.....

インドの列車移動にしては珍しく
定刻17時前にハウラー駅に到着!


私と彼はデカい駅構内を抜け改札を通り
ぼったくりタクシーに半額値切りで乗り込み
渋滞の中をハウラー橋〜ブラボーン道路〜
セントラル アベニューを南に..
やっとでインドミュージアム手前で降りた...

彼にはミュージアム裏の
ブルースカイカフェを紹介した.....


ここなら外人も沢山来るから
何かあっても助けてくれるだろう!
ついでに昼抜き腹のチャイ休憩をした.....

ファッキューフォーヘルピングツダイ!
ファッキュー!ファッキュー!
両手握手をしながら
ドン メンション イッ!ファッキュッ!
ボンボヤージュ.....うつっちまった.....

別路についたが.....大丈夫かなぁ......


.........んまぁ...

インドは大概フィクションフィクション!
魔法の国だよフィクションフィクション!

私の宿  ホテル パラゴンにチェックイン!


ニガムの同級生が働いていただけに
カルゥの長期滞在から色々な衣食も
殆どのがここの入れ知恵ではある.....
今は同級生の彼は結婚して
ネパールに帰ってしまったが
色々感謝してる友人である...

オーナーにニガムの話も早速にと
私はオリパブに向かった!


ここのステーキは牛肉!
インドではまず珍しい!しかも美味い!
こぶし大の牛肉が二枚と温野菜
それにラッシーとウイスキーの水割り
これで¥850位!
ステーキ¥350って日本なら
牛丼並位だからびっくり!

ヒンドゥーは牛は神様で食べない!
代わりに角が下向きのバッファローを食べる
バフも美味しいけどたまには牛も食べたい!
アクティブな動きには肉は大切!
バジェーが見たらびっくりだろうけど.....

帰り道を遠まわりしてマザーの家に.....

明日は挨拶とボランティア申し込み用紙提出
明後日からは3日通って1日か2日休みの
通勤場所になる...

通勤路を帰りながらイスラム居住区で
タマネギのラム肉巻炒め数本とパン
ミネラルウオーターを買って帰る...
カバーブと言うがケバブやシャワルマとは
また別物でいける!
これはハラールしてあるから大丈夫......

宿に戻って部屋に入って
瞑想場所を確保...しばしニュートラル.....
窓際に机を置いてノートを開いて...
外の喧騒を遠くに.....
車窓から買った菓子と
ガンガのくれたビスケットをかじりながら......
カト(カトマンズ)からカルゥまでの道のりを
ここに記す...

1999  9/12  21:24〜 カルゥ 宿パラゴンにて 〜