小郡に拠点を変えて、再び野宿生活を始めた2人。


その野宿生活も終わりを告げるのだった。


まず、久留米で運送会社の面接を受けた延彦はその数日後、採用担当から電話がかかってきて・・・・・・


荷受と仕分け業務のスタッフとしての採用が決まったのだった。


初出勤は6月の頭からになった。


その話を知ったホームレスの男は・・・・・・


「おめでとう!!やったじゃないか!!俺も6月から久留米市で事務だからなぁ。勤務地は決まったの??」


「勤務地、業務内容説明会の日程は追ってまた連絡するとの事でした!!」


「へー。」


「出来れば、もう小郡に来てしまってますからこの周辺がいいんですけどねー。」


など、想いを膨らませる延彦だった。


さらに、ホームレスの男が住むところをようやく見つけて、5月の下旬からそのマンションに住み始めることが決まったのだった。


そして、延彦は一緒に住ませてもらうことが決まった。


こうして、ホームレスの男は、ホームレス生活から終わりを告げた。


「おめでとうございます!!おじさん!!」


と、祝福する延彦。


「いいよ。それより、聞き忘れてたんだけど名前はなんていうの??」


「延彦です。」


「延彦君かー。俺は直樹っていうから、今度から直樹って呼んでや。」


「わかりました、直樹さん。」


こういう風に、うれしさで全開になっている2人。


しかしそのうれしさも、一瞬でどん底の闇に変わってしまった。


延彦の携帯に電話がかかってきた。


相手は、延彦の古くからの友人だった。


その友人から、とんでもない事実を知らされるのだった。


「まずいことになってるぞ、延ちゃん!!」


「どうしたんだ??」


「落ち着いて聞いてくれ。まず、お前の家族が、お前の家出が元で母親がうつ病の一歩手前になったらしいんだ。余計に心配した父親や親戚が警察にお前のことで捜索願を出したようだ。久留米市では、お前の顔写真が晒されてるんだ。」


「え・・・」


「どうしたんだ!!延彦君!!」


「さらに、お前の親戚がお前と一緒にいた男の人の特徴を覚えていて、その人を訴えようとしているらしいんだ。しかも、お前ら散々目撃されてたらしいから・・・・・・」


「・・・・・・ということは。」


「そう、要するに、居場所が割れるのは時間の問題だ。」


「そんな・・・・・・!!」


「とりあえず、俺、延ちゃんのとこ今から来るわ。あの男の人も一緒にいるんやろ??」


「そうやね。」


しばらくして、友人が来た。その時、さらに2人から電話がかかってきたのだ。


まずは、ただしからだった。


「牧さん!!大丈夫ですか??さっき、福岡のニュースで、牧さんの家族という人が、牧さんを捜してるっていうニュースが流されてました!!警察も動いてるかもしれないですから、一緒にいるっていうホームレスの人、まずくないですか??とりあえず、牧さん、今から会いに天神まで来てもいいですか??」


「少し考えさせて!!」


と、ただしに言って電話を切った延彦。


その数分後、今度は隆史から電話がかかってきた。


「延彦さん!!大変です!!ニュースも見ましたけれども、今日の夕刊の福岡の記事に、大きく延彦さんを捜しているという内容のものが掲載されてました!!一緒にいるというホームレスの男性の方、まずくないですか??警察も動いていた場合職務質問とかされてしまったらアウトですよ!!」


「今から、天神に行くかもしれないから、俺が天神行くといったら来る??」


「行きます!!会って話しましょう!!」


その後、友人と直樹と話し、天神行きが決まった3人は友人の車に乗り、ただしと隆史を拾って気がついたら佐賀の某所にたどり着いていた。


そしてこの事態を全員で直樹に話した。


「なんだと、ふざけやがって・・・・・・でも、見つかるのも時間の問題だったのか・・・・・・」


でも、一番落ち着いていたのも直樹だった。


「警察も動いてると仮定したら、俺も危なくなるというわけか、だったら短期決戦だ!!俺と延彦君の友人君2人とともに延彦君の家に乗り込んでやる!!そして、延彦君の家族のその過剰精神をへし折ってやる!!」


隆史が同調する。


「そうですね。自分も延彦さんの家族が、過剰に心配しすぎだと思いますし、現に延彦さんも嫌がっている。お話を聞く限りじゃ延彦さんのうつ病になった原因は家族にもあるみたいですしね。」


気がつけばドライブをしながら話が進み、また福岡に戻ってきていた。


その後、天神で話し合い、延彦の家に殴りこみに行くことが決まった一同。


そんな5人にさらなる援軍が来る。


「面白そうじゃないか、さっきから話を聞いてたんだけど。はじめましての人が多いね。僕は牧君と一緒にC社でインターンシップしていた上村秀夫というものです。勝手ではありますが、僕も同行させてください。僕も、牧くんの家族に言いたいことがあります!!」


秀夫がやってきたのだった。


さらに何かの巡り会わせなのか・・・・・・


「牧ちゃんー!!とその他大勢の皆さん。はじめましての人ははじめましてですね。まさかこんなときに会えるなんて!!ニュース、見たよー!!とさっきの話も聞いてたよ。俺も一緒に来ていいかい??俺も援護するよ!!」


たまたま天神に来ていた雄二もやってきたのだった。


「しっかし、むさい男ばっかだなー。」


と雄二がぼやいていると・・・・・・


紅一点がやってくるのだった。


「あ、延彦君!!ニュース見ましたよ!!お久しぶりです!!」


可奈子まで援軍にやってきたのだ。


さらには可奈子の友人も、やってきていた。


彼女はよく見ると、何度か「クリーン・クリーン」に可奈子と一緒に来ている子で延彦のことも覚えていた。


2人にも事情を話すと、可奈子たちも衝撃が走った。


「延彦君の家に乗り込むんですかー。話聞いていたら家族も酷いですよね。私たちも、一緒に延彦君の家に来てもいいですか??」


「ああ、もちろん!!」


こうして、延彦の家に乗り込んで決着をつけることが決まった。


しかし、延彦は直接乗り込んだら家族にまた酷い扱いを受けるかもしれないと懸念した直樹は・・・・・・


「ただし君、だっけ??」


「はい。」


「延彦君をただし君の家に俺たちが延彦君の家に乗り込む日、かくまってもらえるかい??」


「もちろんです!!この緊急事態ですから、牧さんは僕も守ります!!」


延彦は決戦当日はただしの家にかくまわれることになった。

決戦は5日後、ちょうど日曜日に決まった。


この、殴り込みが延彦の今後の運命を動かすのだった。


(21)に続く。


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