巨人・坂本勇人が長嶋さんを知ったのは幼少期「おじいちゃんに似てない?」 尊敬する大先輩から託された思いを胸に


まだ野球選手どころか、芸能人の名前もほとんど知らなかった3、4歳の幼少期。ある日、勇人少年はテレビで流れたCMで「セコム、してますか?」と話す長嶋さんを指さし、「この人、おじいちゃんに似てない?」と父・喜代三さんに問いかけた。



おじいちゃんとは、兵庫・伊丹市の実家で一緒に暮らしていた父方の祖父・忠喜(ただき)さん。喜代三さんは「僕らも思ってたんですよ。だから『お前もそう思うか?』ってね」と思い返す。坂本も「髪形とか雰囲気がなんとなく」と、ミスターに祖父を重ねたことがあったそうだ。


そこで父から偉大な野球界のスターであることを教わった。のちにプロ野球界の大先輩、伝統球団の大先輩となる長嶋さんは、坂本にとって最初に覚えた野球人だった。


ミスターと同じドラフト1位で巨人に入団し、プロ2年目の2008年の春季キャンプでは、長嶋さんに「ゴッドハンド」で胸や肩を触られ、その言い伝え通りに同年から不動の正遊撃手となった。昨年、長嶋さんのお別れの会では「初めてお会いしたとき、本当に後光が差していると思いました。僕が人生でそう感じた人は長嶋さんだけ」と、圧倒的なオーラを感じた初対面を振り返った。


23年に不振に陥った春先には、東京ドームの一室で素振りを指導された日もある。そのときに伝えられた「お前はいつまでもジャイアンツのリーダーでいなきゃいけない」という言葉は、今でも坂本を奮い立たせている。


長嶋さんが亡くなった一昨年からは同じ三塁手に本格転向。プロ20年目の今季、9月18日の中日戦で通算安打数を「2472」に伸ばし、長嶋さんを抜いて球団歴代2位(NPB9位)に浮上した。


球団1位の王貞治(2786安打)との〝ON〟に割って入る偉業にも「(長嶋さんは)比べられないような人。全然レベルが違う。たまたま通算安打は抜けましたけど、素直にうれしい気持ちと、比べちゃいけないなという思いです」と謙虚に語った。


小さな頃から身近なようで、どれだけ記録で上回っても遠い存在。尊敬する長嶋さんから託された思いを胸に、まだまだ元気にチームを引っ張る。