ワインコマンダリー博多誕生から遡ること半年前から有志でワインの勉強会をしておりました。
ソムリエ藤田忠邦さんの講義内容を記します。5000文字制約の為、第8回目の後半です。

ドイツワインの代表的産地(その2)

ラインファルツ地域 Reinpfalz
ラインファルツはラインヘッセンの丁度南側に位置し、ドイツ最大のぶどう栽培地域。気候的にも穏やかで田園地帯の観をなす。フランスアルザス地方の国境の町シュヴィゲンのドイツワイン門をくぐると北へ一直線ボッケンハイム村(ヴォルムス市の西約10km)に至る約80kmをドイツワイン街道が貫く。ぶどう栽培面積は約20000ha ぶどう品種はミュラー・トウルガウが23%、リースリングが14%、他にシルヴァネールとケルナーが10%、ボルトギーザーが7%など。ベライヒは2ヶ所。
(ベライヒ・ズートリュッフ・ヴァインシュトラーゼ)Bereich Sudliche Weinstrasse
シュヴァイゲンからノイシュタットに至る南半分の地区で土壌は黄土が中心。特に有名産地は無いがマインカー、エーデンコーベン、ラインズヴァイラーなどが主な所。
(ベライヒ・ミッテルハート)Bereich Mittelheardt
ノイシュタットからボッケンハイムまでの北半分でローム質と石灰質の土壌が多いが中央部のヴァッヘンハイムとダイデスハイムの間の玄武岩質土壌からはリースリング種による評判高いワインがつくられている。主な村は、キルヒハイム、フラインスハイム、カルシュタット、バード・デュルクハイム、フォルスト、ヴァッフェンハイム、ダイデスハイム、ルッペルツベルグ、マインカマーなど。

ナーエ地域 Nahe
ナーエ河とその支流グラーン、アルゼンツ川に沿って広がるナーエ地域は非常にヴァラエティーに富んだワインを生み出す。ミューラ・トゥルガウ、シルヴァーナ、リースリングの主要3品種で全体の75%を占めるが他の栽培品種が多種多様でしかも土壌が火成岩、変成岩の風化土壌と風積土が複雑に混じり合い性格の全く異なるワインがつくられることからこの地域のことをドイツワインの試飲小部屋と呼ぶ人もいる。栽培面積4200ha
(ベライヒ・クロイツナッハ)Bereich Kreuznach
バート・クロイツナッハの町を中心に広がる地域でリースリング種が約半分。有名産地はブレッツエンハイム、ラウベンハイム、ミュンスター・ザルムスハイムなど
(ベライヒ・シュロス・ベッケルハイム)Bereich Schloss Bockelheim
シュロス・ベッケルハイム、ニーダハウゼン、トライゼン、リューデスハイムなどが有名。

バーデン地域 Baden
ライン河の最上流地域のスイスとドイツの国境にあるボーデン湖畔からハイデルベルクの北に至るライン河の東に広がる丘陵地帯で栽培面積は14000ha 生み出されるワインは大きく性格を異にするので7つのベライヒに分けられている。
(ベライヒ・ボーデンゼー)Bereich Bodensee
(ベライヒ・マルクグレーフラーラント)B, Markgraflerland
(ベライヒ・カイザースツール・トゥ二ベルク)B, Kaiserstuhl-Tuniberg
(ベライヒ・ブライスガウ)B, Breisgau
(ベライヒ・オルテナウ)B, Ortenau
(ベライヒ・バーディッシュ・ベルクシュトラーセ/クライヒガウ)B,Bardische Bergstrasse/Kraichgau
(ベライヒ・バーデッシェス・フランケンラント)B, Bardixches Frankenland

フランケン地域 Franken
ドイツのぶどう栽培地域の中で最も東に位置し大陸性の厳しい気候の影響を受けて男性的なやや堅い感じの辛口ワインとなる。東部は赤色粘土、中部は貝殻石灰土、西部は雑色砂岩の土壌で主なぶどう品種はミューラ・トゥルガウ、シルヴァネール。栽培面積は約4000ha この地域の良質なワインはボックスボイテル型のボトルに入っているのが特徴。
(ベライヒ・シュタイガーヴァルト)B, Steigerwald
(ベライヒ・マイントライエック)B, Maindreieck
(ベライヒ・マインフィアエック)B, Mainviereck

ヘシッシェ・ベルクシュトラーセ地域 Hessische Bergstrasse
ネッカー川がライン河に注ぎ込むオーデンヴァルトの丘に沿って広がるドイツで最も小さなぶどう栽培地域。面積は370ha エレガントでフルーティー。
(ベライヒ・ウムシュタット)B, Umstadt
(ベライヒ・シュタルケンブルク)B, Starkenburg

ヴェルテンベルク地域 Wurttemberg
ネッカー川上流に広がるドイツ最大の赤ワイン産地。ロゼも有名。
ぶどう品種は赤ワイン用のトロリンガーを主にボルトギザーなど。面積8500ha

アール地域 Ahr
モーゼル地域の背中合わせの位置にある小さな栽培地域で面積350ha 全生産量の6割が赤ワインで気軽に飲める。

ミッテルライン地域 Mittelrein
ナーエ川とライン河の合流点からボン市付近に至る135kmにわたる最北端部の栽培地域で酸味の強いリースリングワインが主。面積700ha

(藤田忠邦氏 1987年12月13日(日)講義資料1-19,1-20より)