私の脳梗塞療養7年にわたる長期の目覚ましい回復実感
患者、家族にとっては、
「維持期,慢性期」とは
誠に罪深い、残酷な呼び方です。
私自身入院中は、
回復期とされる6ヶ月まで、
あと何日と、
回復打ち止めのカウントダウンを
されているようで、
なかなか思うように回復しない
左腕、左手を見ながら、焦燥と、
ともすれば頭をもたげてくる
絶望と闘っていました。
回復期と言われる半年間は回復が顕著である
のは確かであるので、
患者のリハビリへのモチベーションには
役立つ面もあるでしょうが、
弊害の方が多いと思います。
少なくとも私にとってはそうでした。
「回復期、維持期,慢性期」という呼称が
独り歩きする分だけ 、
どれだけ患者、家族の希望を奪い、
諦めを産むでしょうか。
それが全体的に回復の成績を低下させ、
ひいては、
長期的に見て国全体の医療費、
介護関連費用の増大を生むはずです。
さすがに回復期が過ぎたら
ほとんど改善しないと思っている
医療関係者は少ないと思われますが、
神奈川リハビリテーション病院を
退院して薬をもらうため
急性期の病院に戻った時に、
面談した内科医(初対面、この時だけ)は
「回復期を過ぎたら
後は残った機能の維持に努めて」
と言い放ちました(-_-;)。
議論は時間の無駄と無視しましたが。
こちらは回復する気満々なのに。
悪意はないと思われますが
医師は専門外の患者の病気、症状について
軽々に物を言わないことです。
今も定期的に診察していただいている
主治医は別の方です(誤解なきよう)。
数年前、
5年かけて劇的に回復した人に会いました。
外来リハビリ受けている当時も、
OTさんと話していると、
退院後、6ヶ月を過ぎ日常生活の中で、
どんどん回復する人が多い
ということでした。
私も、上肢の回復は、むしろ
6ヶ月を過ぎてから
加速した感じがします。
同じ脳卒中の方々のブログ等の
闘病記を見ても、しかり。
決してレアケースではありません。
「維持期」「慢性期」呼称に対する主な批判
以下の点が、維持期(慢性期、生活期)の呼称
に対する主な批判として挙げられています。
(1) 「維持期」が回復の可能性を過小評価する
批判の内容: 「維持期」という呼称は、機能が「維持される」だけで新たな回復が期待できないという印象を与えます。これが、患者や医療者のモチベーションを下げ、積極的なリハビリテーションの継続を妨げる可能性があります。
従来(2000年代初頭まで)、発症後6ヶ月以降は自然回復がほぼ停滞すると考えられ、「維持期」は機能の維持やQOL向上に焦点を当てた時期と定義(例:Skilbeck et al., 1983)。
2000年代中盤以降の研究(例:EXCITE試験, Wolf et al., 2006; Ward et al., 2019)で、慢性期でも集中的なリハビリテーション(例:強制使用療法、CIMT)により運動機能やADLの改善が可能なことが示されました。
これにより「維持期」という呼称が、実際の回復可能性を過小評価しているとの批判が強まりました。
(2) 「慢性期」が病態の進行を連想させる
批判の内容: 「慢性期(chronic phase)」は、医学的に「慢性の疾患」や「進行性の障害」を連想させ、脳卒中の後遺症が「固定された」「悪化する」印象を与えます。これは、患者の心理的負担を増やし、積極的な介入の機会を減らす可能性があります。
脳卒中では、慢性期でも神経可塑性による機能向上が可能な場合があります(例:Kawahira et al., 2010)。
患者や家族が「慢性期」を「回復不可能」と誤解することで、リハビリへの参加意欲が低下するケースが報告されています(例:日本リハビリテーション医学会のディスカッション, 2022)。
(3) ガイドラインのエビデンス基準との不一致
「維持期」や「慢性期」の呼称は、ガイドラインが急性期・回復期に比べ、慢性期のリハビリ介入のエビデンスを過小評価しているとの批判があります。
特に、日本独自のリハビリ手法(例:促通反復療法)がガイドラインで十分に評価されていないため、呼称が保守的な印象を与えます。
日本脳卒中学会ガイドライン2021〔改訂2023〕では、促通反復療法のような日本発の手法はエビデンス不足(大規模RCTの欠如)により明示されません。
促通反復療法研究所(2023)は、「維持期」という呼称が、日本のリハビリ実践の進歩を反映せず、欧米のエビデンス基準に偏っていると批判。
批判に対するガイドラインや学会の対応
日本脳卒中学会ガイドライン2021〔改訂2023〕:
「維持期」「生活期」の呼称を維持しつつ、慢性期でもリハビリ継続による機能向上が可能と明記(推奨レベルA)。
「維持」という言葉のネガティブな印象を軽減するため、「生活期」の使用を推奨し、QOLや社会参加を強調しています。
国際ガイドライン:
National Clinical Guideline for Stroke (UK, 2023): 「chronic phase」を使用するが、患者向け資料では「living with stroke」や「long-term rehabilitation」を採用し、回復の継続性を強調。
「維持期」呼称が「回復の終わり」を連想、希望やリハビリ継続意欲を損なう
私が退院後リハビリでお世話になった、
促通反復療法(川平法)のリハビリ専門家や患者団体は、
「維持期」という言葉が「回復の終わり」を連想させ、
患者の希望やリハビリ継続意欲を損なう
と指摘しています。
(促通反復療法研究所コメント, 2023)
医療の専門家、国内外の臨床現場や研究者コミュニティ
でも批判や議論は存在するようです。
従来(2000年代初頭まで)、
発症後6ヶ月以降は自然回復がほぼ停滞
すると考えられ、
「維持期」は機能の維持やQOL向上に焦点を
当てた時期と定義されていました
(例:Skilbeck et al., 1983)。
慢性期でも運動機能やADLの改善可能
しかし、2000年代以降の研究
(例:EXCITE試験, Wolf et al., 2006; Ward et al., 2019)
で、慢性期でも集中的なリハビリテーション
(例:強制使用療法、CIMT)により
運動機能やADLの改善が可能なことが示されました。
これにより、「維持期」という呼称が、
実際の回復可能性を過小評価している
との批判が強まりました。
学会での「維持期」の呼称変更する提案、議論
代替呼称の提案とその背景
批判を受けて、
以下のような代替呼称が提案されています。
長期回復期(Long-term Recovery Phase)
慢性期でも回復可能性があることを強調。
神経可塑性の研究(例:Nudo et al., 2006)
に基づく。
生活期(Living with Stroke Phase)
日本や英国で、
患者の生活や社会参加を重視する文脈で使用。
患者中心のケアを反映。
継続リハビリ期(Continued Rehabilitation Phase)
リハビリの継続性を強調し、
モチベーション低下を防ぐ意図。
これらの提案は、
患者や医療者の心理的影響を考慮し、
回復可能性やQOL向上を強調する狙いがあります。
学会の議論動向
国際的には、米国や英国の研究者から
「chronic phase」が「停滞期」の印象
を与えるとの声があり、
「post-acute phase」や
「long-term recovery phase」
などの代替呼称が提案されているようです。
英国の患者支援団体(Stroke Association, 2023)は、
「chronic phase」よりも
「living with stroke(脳卒中と共に生きる)」
という表現を推奨し、
患者の生活や回復の継続性を強調。
日本リハビリテーション医学会(2022~2023)や
日本理学療法士学会では、
「維持期」の呼称を
「長期回復期(long-term recovery phase)」
や「社会復帰期」に変更する提案
が議論されていますが、
2025年時点で公式な変更には
至っていないようです。
おわりに~一人ひとりに価値ある回復のドラマ
いずれにしても回復期、維持期という
呼び方が誤解を生みやすいので
何とかしてほしいということです。
全ての人が思い通りに良くなる
というものではないと思います。
しかし人それぞれ違った
素晴らしい人生があるように、
一人ひとり症状や回復の道筋、
到達点は違っても、
希望と努力を捨てない限り、
それぞれに価値ある回復のドラマ
があると考えます。
最後まで記事をご覧いただき、
誠にありがとうございました。