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真鍋優次郎のワインレポート

趣味はワイン収集と食べ歩きの東京住まい30代コンサル男子☀️フランスワイン専門です✨

 

木樽(フュ・ド・シェーヌ)と名付けられたシャンパーニュ。
その木樽とはアルゴンヌの森の樫の木で作られる特別な木樽のことだ。アルゴンヌの森は、ロレーヌ地方とシャンパーニュ地方の間(北西~南東)に約40キロにわたって広がる丘陵地で、ブナやカシなどの樹木で覆われている。
現行の「フュ・ド・シェーヌ」はノン・ヴィンテージのみ生産されており、2002年以降のヴィンテージには「アルゴヌ」として日本で先行販売されたことが話題となった。

 

 

 

 

ドメーヌ・アンリ・ジローは1950年代から使用する木樽は100%アルゴンヌ産としており、その当時から既に木樽への哲学は確立されていた。現在ではさらに、アルゴンヌ産の樫の木を樹齢350年、高さ35メートル、直径5メートルを超えるもののみに厳選している。厳選されたアルゴンヌ産の木樽はシャンパーニュに繊細さ、しなやかさ、奥深く複雑なアロマをもたらすそうだ。

 

 

 

デゴルジュマンは記載されていないが、14年前のヴィンテージである。アジアンスパイス、アーモンド、南国果実のコンフィ、豊富なミネラル、複雑なアロマがスケールの大きさを物語っている。空気に触れささなくても十分なくらいグラスから芳醇なアロマが溢れ出す。かなりボリュームがあるが、口当たりは柔らかく、若くしても酸が際立たなく熟れている特徴は「アンリオ アンシャン・テルール」に類似している。ラグシュアリー、エレガント等の言葉がよく似合い、コース料理に1本で通せるシャンパーニュだ。
アル村の生命力に満ち溢れたピノ・ノワールが、アルゴンヌ産の木樽で発酵されることにより、この上なくエレガントに熟成されている。
アイとアルゴンヌ、生命を感じる素晴らしい融合であった。

 
 
 

アンリ・ジロー フュ・ド・シェーヌ 2000
参考価格:19,000円
(※現在は5万円~8万円まで高騰 2022年12月追記)
個人評価:95点

 
 
 

王は王である。クリュッグのヴィンテージにはいつもそう思わされる。さまざまな1998年のシャンパーニュを飲んできた私としては1998年はみずみずしいイメージが強い。悪く言えば95年、96年、99年に比べると水っぽく力強さに欠けている。8月の猛暑、9月上旬の大雨など気候の移り変わりが激しかったのが原因ではないだろうか。だが、そんな厳しい気候に見事耐え抜き、9月下旬には太陽の恵みを受けることができたようだ。今回は1998年のクリュッグ。

 

 

 

色は淡い黄金色に近く、永遠を思わせる泡と、みずみずしく華やかで奥深い香り、口当たりはムースを思わせるほどのクリーミーさ。やはり今まで飲んできたクリュッグとは性質が異なるが、とてもエレガントにまとまっている。クリュッグの為せる業と言えよう。クリュッグの95年、96年は熟成させないともったいないと思ったが、98年に関しては今飲んでも十分に美味しいと言える。やはり王は王であった
 

 

クリュッグ 1998
参考価格:16,000円
(※現在は6万円~10万円まで高騰 2022年12月追記)
個人評価:93点

 
 
シャンパーニュの王様はドン・ペリニヨンとクリュッグである。ただ、ドン・ペリニヨンに関しては間違った評価をしてしまう方々が多い。原因としては主に2点あげられる。

1点目はスパークリング・ワインの過大なキャッチコピーである。よく見かけるのが「ドンペリに勝った」「ドンペリと同評価」などのキャッチコピーだ。私自身が確信して世間に発して言えることは、シャンパーニュ以外のスパークリング・ワインがドンペリに勝つことは絶対にありえないということ。
2点目はドンペリの状態および飲む環境が悪かったこと。実際にドンペリを飲んだ方々が「ドンペリはたいして美味しくなかった」「値段の価値はない」などと評価しているブログをよく目にする。
そういったブログの画像や本文などを見ていると、購入先や飲む環境が明らかに悪いと判断できてしまう。現在デパートやディスカウントショップなどで夏も冬も常温保管され、戸棚の上に飾っているドンペリをよく見かけるが、そんな状態のドンペリはほぼ劣化している。
また、通販などで最安などを謳っているお店が多数ある。だが、ちゃんと管理しているお店と、適当に扱っているお店が混在しているのが現状だ。
環境の問題としてはグラスが重要である。安易な考えで選んだグラスでワインを提供している飲食店も多い。そんな劣化した状態や、グラスにこだわりもない飲食店でドンペリを飲んでも香り、味わい、口当たり全てが壊れてしまう。
高級なワインを飲むのであれば、それなりの知識と経験をもった方の同席が必要であることを知ってもらいたい。そういった方はこういった状態や環境を絶対に選ばないだろう。

前置きはこの辺にして、今回はドン・ペリニヨンの1985年である。私自身が生まれた年でもあり、また、シャンパーニュとしても成功を収めたヴィンテージである。
1985年は暑い年であったため収穫量が少ないぶん果実の濃度が増した年だ。黄金色の液面には綺麗なエンジェルリングがつくられ、グラスからは熟成香が溢れている。
気品に満ち溢れたピノ・ノワールの温かみ・優しさを感じる。やはり20年以上熟成したシャンパーニュは「大人」である。飲みくちは極めて濃厚。ハチミツ、カリン、様々なフルーツのニュアンスが口にいっぱいに広がる。
あまりの美味しさに数えきれないほどのため息ついつい出てしまう。ドン・ペリニヨンは若くても熟成しても美味しい。
今夜は
優しさに満ち溢れた夜であった。

モエ・エ・シャンドン ドン・ペリニヨン 1985
参考価格:28,000円
個人評価:97点


前回の続きである。
今後ユリス・コランはますます入手困難となるだろう。プレミア価格でさえすぐに売り切れてしまう状況である。その要因としてはもちろんスタンダードである「レ・ピエリエール」の素晴らしさが一番にあげられる。だが、この「マイヨン」に魅せられた方々もきっと多いのではないだろうか。この「マイヨン」は特異質なブラン・ド・ノワールである。グラン・クリュでもプルミエ・クリュでもない、格付け85%のコンジー村で、これほどのブラン・ド・ノワールを生産できることを証明してくれた。
  
チャーミングで小粒のベリー系、ふくらみがあるブリュオッシュ香。酸は強めだが果実に温かみがあり、内に秘めた情熱を感じる。ただ、問題なのはこの価格でる。同価格帯のブラン・ド・ノワールでは、エグリ・ウーリエやデュヴァル・ルロワのような完成された
ブラン・ド・ノワールと同じ土俵にあがるにはまだまだな印象である。
  
前回の「ロワーズ」と、今回の「マイヨン」は今飲むのにはあまりにも早すぎた。本質はまったく掴めず、シャンパーニュに対する完全なる冒涜と言えよう。ともに飲んだ友人には2本ともまったく反応がなかったのがいい例ではないだろうか。

今後ユリス・コランはどこへ向かい、
どのように私達を驚かせてくれるのか楽しみである。

ユリス・コラン マイヨン(デゴルジュ後1年半)
参考価格:12,000円
(※現在は4万円~7万円まで高騰 2022年12月追記)
個人評価:89点

シャンパーニュはデゴルジュ後に数年寝かせたほうが確実に美味しくなる。これは上質なシャンパーニュであれば尚更のことだ。ただ、それをわかったうえでコルクを抜いてしまうことがある。今回の「ロワーズ」と、次回の「マイヨン」もそうであった。
 

 
ユリス・コランはアンセルム・セロスの元で学んだオリヴィエ・コラン氏によって2003年に創設された。翌年の2004年がファースト・ヴィンテージである。アンセルム・セロスの弟子とされる生産者の中で、近年最も評価と価格が高騰している生産者と言える。ジェローム・プレヴォー(ロゼ:ファク・シミールは除く)や、ヴェット・エ・ソルベは手に入りやすいが、今回のユリス・コランは入手困難な状況だ。ユリス・コランのスタンダードである「ブラン・ド・ブラン」は当初リュー・ディ(小区画)を明示していなかったが、近年はラベルに「レ・ピエリエール」と明記している。
 

 
「レ・ピエリエール」は口当たりは柔らかく、乳酸が特徴的であったが、同じブラン・ド・ブランでもこの「ロワーズ」はまったくの別物であった。驚かされたのはその激しいミネラル質である。鉱物や鋼鉄を噛んでいるかのようなミネラルを感じることができた。それゆえに少し塩や鉄のニュアンスも感じる。優雅さはない終始攻撃的なシャルドネ。まだまだ発展途上の段階であるがゆえに完成されていない印象。5年ほど寝かせた「ロワーズ」をもう一度飲んでみたい。心から素晴らしいと言えるシャンパーニュであった。
  

ユリス・コラン ロワーズ(デゴルジュ後1年半)
参考価格:14,000円
(※現在は4万円~7万円まで高騰 2022年12月追記)
個人評価:91点

 

 

シャンパーニュを飲んでいると、巨大な星を飲んでいる感覚に襲われることがある。そこに引力が働きグラスに吸い込まれそうになる。1年に何十本ものヴィンテージやフラッグ・シップを飲んでいても、そういったシャンパーニュに出会うことなど数年に1度くらいだろう。まさに今回は、そんな稀にみる貴重な経験だった。

輝く黄金色の中に無数の星々が元気に舞い上がっている。溢れんばかりの熟成香がインスピレーションを与える。巨大な星だ。グラスに吸い込まれそうになる。ピノ・ノワールのパワフルさが極限にまで高まっている。それを支えるかのようにシャルドネがうまくバランスを整えている。拍手喝采の見事な熟成としか言えない。ヴーヴ・クリコにあまりよいイメージはなかったが、熟成したラ・グランダムは別格だ。

このラ・グランダム(偉大な女性)は1962年 マダム・クリコへのオマージュとしてリリースれた。8つのグランクリュから、ピノ・ノワール約60%、シャルドネ約40%でアッサンブラージュされている。マダム・クリコの功績として有名なのが、「ルミアージュ」だろう。19世紀初頭までのシャンパーニュは澱が混ざり濁っていたが、ボトルを毎日8分の1ずつ回転させる作業「ルミアージュ」により今日のように透明な液体に変わった。
翌日にブルゴーニュ・グラスに注いでみると泡は飛んでいたが、熟成したモンラッシェにまったく引けを取らない最高の白ワインとなっていた。

シャンパーニュは20年で偉大なる進化を遂げる。

ヴーヴ クリコ  ラ・グランダム 1989
参考価格:16,000円
個人評価:98点

シャンパーニュの「本質」とは?アヴィズの「本質」とは?シャルドネの「本質」とは?
このシュブスタンスを飲む時には必ず考えさせられる。


   
オリジン(旧シュブスタンス)

 シュブスタンスはアンセルム・セロス独自のソレラ・システムで造られたフラッグシップである。このソレラには1980年代中頃のワインから毎年ヴィンテージワインを注ぎ足してブレンドを繰り返している。論理的は何十年経過しようと歴代のワインがなくなることはないシステムである。

過去に3度飲む機会があった。デゴルジュ後3年、4年、12年である。
圧倒的なミネラル感、ブリオッシュ香に熟成したシェリー香、濃厚でエレガントな味わいはワインそのもののスケール感を物語っていた。

  
       シュブスタンス                           


デゴルジュ後12年を飲んだ時のことだったが、シュブスタンスに関してはデゴルジュ後4年経過した頃から何年置いても劇的に旨くはならないのではないかと感じた。ソレラ・システムによって歴代のワインがブレンドされ続けてきたからかもしれない。デゴルジュ後3年以降に若くして飲んでも既に完成された旨さを持っている。

アンセルム・セロスが導き出したシュブスタンス「本質」の答えがここにある。

ジャック・セロス シュブスタンス(デゴルジュ後3年)
参考価格:24,000円
(※現在は12万円~15万円まで高騰 2022年12月追記)
個人評価:94点

ジャック・セロス シュブスタンス(デゴルジュ後4年)
参考価格:21,000円
(※現在は12万円~15万円まで高騰 2022年12月追記)
個人評価:95点

ジャック・セロス シュブスタンス(デゴルジュ後12年)
個人評価:95点

昨年運良く3度アラン・ロベールを飲む機会があった。手持ちにアラン・ロベールがないため、都内レストランのリストに良心的な価格で載っているとついつい頼んでしまう。アラン・ロベールが引退したため、もうこのワインが生産されることはない。そのため価格高騰は避けられない状況である。実際に昨年何度か「レゼルヴ」のマグナムが市場に出回ったのを見たが、恐ろしい価格(2年前の3倍)であったため自分では買う気にはなれなかった。それでも即完売となっていた。
アラン・ロベール1アラン・ロベール2

アラン・ロベールは消え行く伝統を重んじる職人である。「セレクション」NVでさえ10近く熟成させ、デゴルジュ後2~4年ほど寝かせる。「トラディション」ともなれば20年近く熟成をさせる。当時の価格を知った時はあまりの安さに驚き、経営としてはとてもナンセンスだと思った。それでも「本物のシャンパーニュを造るため当たり前のことをしている」いうインタビュー記事を読んだことがある。

アラン・ロベール4アラン・ロベール5アラン・ロベール5
             レゼルヴ 1990                    セレクション
昨年飲んだ3本のうち「セレクション」のハーフボトルだけはピークを過ぎていた。

ハーフゆえの儚さだろう。泡はなくなっていたが、上質なモンラッシェを思わせる白ワインとなっていた。
残りの2本「セレクション」「レゼルヴ 1990」はどちらもレベルの高さを物語る古酒由来のトリュフ香、と
ろけるような優しいハチミツのニュアンス、そして、林檎を噛んだかと思うほどのみずみずしい香りが口いっぱいに広がる。
複雑さと優美さを持った素晴らしいシャンパーニュであった。


伝統と至高を貫き通した職人アラン・ロベール。
私が生きているうちに間違いなく伝説となるだろう。

 
 
 

Alain Robert Menil Selection (375ml)
アラン・ロベール メニル セレクション (375ml)
個人評価:92点

Alain Robert Menil Selection
アラン・ロベール メニル セレクション
個人評価:95点

Alain Robert Menil Reserve 1990
アラン・ロベール メニル レゼルヴ 1990
個人評価:96点

参考価格:マグナムは現在は35万円~45万円まで高騰 ※2022年12月追記

数年前にデゴルジュ後2・3年の若いエクスキューズを飲んだ記憶がある。
生命力に満ち溢れ、可愛らしいフルーツの香りがとても心地良かった。

エクスキューズ3エクスキューズ4
    エクスキューズ( 現行ラベル)

レストランからの要望で作られたエクスキューズ。イニシャル(旧ブラン・ド・ブラン)よりも比較的若いワインをアッサンブラージュしている。だが、コース料理に一本で通すには若すぎるとその時は感じた。これを長期寝かせたらどうなるのだろうか・・・好奇心が芽生えた。それ以来ずっとエクスキューズのことが気にかかっていたが、ある日デゴルジュ後10年以上経過したエクスキューズを飲む機会に恵まれた。
エクスキューズ1エクスキューズ2エクスキューズ2

     エクスキューズ( 旧ラベル)               Disgorgement 2002

もしかしたらピークを過ぎているかもしれない不安があったのだが、グラスに注いだ瞬間、その不安は歓喜へと変わった。あの可愛らしい香りはパッションフルーツや官能的な香りへと成長を遂げ、デゴルジュ後10年にて食事との相性がピークを迎えていた。

これ以上熟成させることはもちろん可能である。
だが、アンセルム・セロスが求めた食事との相性に亀裂が入るだろう。

スワリングする度に出るのは言葉ではなくため息だ・・・待ち続けて本当によかった。
コース料理とエクスキューズの絶妙なハーモニー。
セックだがセックらしくない絶妙な甘さが夢心地へと誘う。


ジャック・セロス エクスキューズ(デゴルジュ後2~3年)
参考価格:16,000円(※
現在は10万円~15万円まで高騰 2022年12月追記)
個人評価:92点

ジャック・セロス エクスキューズ(デゴルジュ後11年)
個人評価:99点