- ボクシングマガジン 2008年 08月号 [雑誌]
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37歳の定年を間近にして世界戦に挑んだ嶋田選手
現在世界最高ともいうべき強打者バレロの前に7RKOで惜しくも敗退した。
試合は7Rだが、勝負は4Rに決まっていたという。
4R終了直前、嶋田は勝負に出た。
バレロが放とうとする左ストレートに右クロスを被せた、はずだった。
しかし顔面に伸びてくると確信していた王者の左は、同じモーションから軌道を変、
嶋田の右わき腹をえぐった。・・・嘘だろ。
のたうちまわらずにおれない激痛が全身を突き抜けた。
瞬時にして力の入らなくなった腹にそれでも力を込め、
負ったダメージを必死に押し隠した。
「そう、男と男の勝負はできた。あの瞬間に右をうったことも後悔したくない。
タイミングは絶妙だった。
もし、バレロが打ったのがストレートだったら、彼が倒れていたかもしれない。」
一瞬の中に潜む何と言うドラマだろうか?
その瞬間のその感覚を知っているのは、二人の選手のみだ。
そう、人生もそういうものなのだと思う。
生きていてい自分にしか分らない、感覚、運不運、喜怒哀楽、そういうものが存在する。
いや、そういうものを如何に感じることが出来るかが、
人生の充実感と大きく関係しているのでは無いだろうか?
人と比べてどういう人生かではない。
自分がどう自分の力を出し切り、
そこにしか味わえない感覚を得ることが出来るかが大切なのだと思う。
「ボクシングを始めた時、僕は一人ぼっちでした。
でもあのリングを降りるとき、武道館が揺れるほどの嶋田コールで送られた。
・・・・・俺はなんて幸せ者かと。」
たゆまない努力の上に、やっと掴んだ世界戦
そこで勝負し、王者に跳ね返された定年間近のボクサー
戦いから下りるつもりはないそうだ。