【国宝の茶室「如庵 (ジョアン)」】

9月の下旬
名古屋に行く機会があって

かねてから行きたかった
国宝の茶室「如庵(ジョアン)」を訪ねた。

日本にある国宝の茶室は
三亭。

京都の山崎にある
「待庵(たいあん)」。

同じく京都の大徳寺にある
「密庵(みったん)」。

そして、名古屋の犬山にある
「如庵(ジョアン)」
である。

京都山崎の「待庵(たいあん)」は、日本最古の茶室建造物であると同時に、千利休(せんのりきゅう)作と信じうる唯一の現存茶室と言われている。

1582年(天正10年))、羽柴秀吉と本能寺で信長を討った明智光秀とが激突した山崎の戦いの際に、秀吉が利休に建てさせた茶室。

その後、「待庵」は山崎の妙喜庵に移築された。

「如庵(ジョアン)」は、1618年(元和4年)に、織田信長の弟・織田有楽斎によって、京都の建仁寺正伝院に建造された茶室で、1908年(明治41年)に東京の三井本邸へ、その後、大磯の三井家の別邸に移され、1972年(昭和47年)に現在の地に移築されている。

ジョアンと片仮名で書くのは、「如庵」の名が織田有楽斎のクリスチャンネームJoanから取った、という説があるため。

茶の湯の所作が部分的にキリスト教のミサの時の司祭の所作と似ていると言われており、茶の湯に対するキリスト教の影響は気になるテーマである。

「密庵(みったん)」は、大徳寺龍光院にある四畳半台目の茶室である。17世紀に建てられた、書院造りの意匠と、数奇屋造りとが融合した茶室で、特に柱や障子の桟などに数寄屋造りの特徴がみられるそうだ。

国宝の茶室三亭のうち、公開されているのは京都山崎の「待庵」と名古屋犬山の「如庵」だけで、京都大徳寺にある「密庵」は非公開で、期間限定の特別公開もされていない。

2015年に、スウェーデンのお茶室「瑞暉亭(ずいきてい)」の修復のためにストックホルムに来られた数奇屋大工職人さんから「密庵の補修に行った」と聞いて、羨ましく思ったものだった。

「如庵」は一時期、東京の三井本邸にあったが、その頃、実業家でもあり、昭和の大茶人と言われた益田孝が愛用していたと言われている。

益田孝は初代瑞暉亭をスウェーデンに寄贈した藤原銀次郎を茶の湯の道に誘った人物。

もしかすると、この「如庵」で開かれた茶会に藤原銀次郎が招かれたことがあるかもしれない・・

そんなことを思うと、この空間でどのような人物たちが顔を合わせ、どのような会話が交わされていたのか?と想像が膨らむ。

「如庵」の内部は撮影禁止であったが、たまたま居合わせたガイドの方に詳しいお話を伺えて、ラッキーであった。

二畳半台目という小さな空間を、床の間を狭くして茶道口に向かって壁を斜めにすることで、動きやすくしている、面白い間取りだ。

窓も多く、光が差し込み、
要所に武家らしさも感じられ、明るい印象を持った。

「如庵」の前庭は、京都建仁寺にあった当時を復元しており、有楽斎が晩年、どのような思いで暮らしていたのだろう?と思いを馳せた。

4~5年前に見学した「待庵」は
薄暗く、重みのある空気感で
それを思い出すと
如庵の明るさ、軽やかさが際立つ。

「如庵」を模した茶室が東京日本橋にある三井記念美術館の中に建てられていると聞き
日本橋に足を運ぼう、と次の目標ができた。

「如庵」は、数年前に建った「ホテルインディゴ犬山有楽苑」に続く日本庭園「有楽苑」の中にあり、
「如庵」の他にも「元庵」と「弘庵」の二亭の茶室がある。

「待庵」の見学は、事前の申込みが必要だが
「如庵」は有楽苑の入場料を払えば、誰でも外部の見学ができる。

※内部特別見学は申込みが必要

国宝の茶室が
こんなにも気軽に見学できるとは!

有り難き機会に感謝💗

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