レスキュー女子es番外 『料理でコーチング』 -175ページ目

突然の宣戦布告 ~鳴かぬなら鳴かせてみせよう~

 

パンジー会の役員決めのその夜、緑子さんのもとに同級生のお母さんからメールが届きます。

 

 

緑子さんは、その瞬間、熱が下がらない子供の氷を変えていました。

 

 

「緑子さんはパンジー会の広報になりました」

 

 

 

緑子さんは慌てて相手に「どういうことですか?」と、返信しました。

 

 

すぐにメールがきます。

 

 

 

「わたしはただ連絡するように言われただけだから、前学年の係の方に聞いてください」

 

 

「わたしはそもそもパンジー会にも入っていません」

 

 と、送ると、

 

 

 

「緑子さんは特例でパンジー会に入会していなくても係をやってもらおうということになりました」

 

 

 

「仰っていることが無茶苦茶です。責任者は誰ですか?」

 

 

 

 緑子さんのメールの内容は至極当たり前です。それにたいし、

 

 

「お子さんのためにやろうという気にはならないんですか?」

 

 

 

(子供のためってなんなのそれ…。脅し文句のつもり?)

 

 

 

 このメールで、緑子さんはもう返信する気力をなくしていました。

 

 

(そういうことじゃなくて…)

 

 

 

緑子さんは、さすがにこのメールには、心が折れました。

 

 

 

と、いうのも、このメールにはそれはそれは多くのメッセージが秘められているからです。

 

 

 

その会議には、緑子さん以外の同級生のお母さんが全員参加していたわけです。

 

緑子さんの子どもが扁桃腺炎で高熱が下がらず一週間も保育園を休んでいるという事情もみなさん知っていました。

 

仲のよいお母さんもいます。

 

その中で誰一人として、反対の意を唱えたお母さんはいなかったのでしょうか?そもそもパンジー会に入ってもいないのに、

 

 

 ”特例”

 

 

 

などという、わけのわからない言葉を持ち出して、

 

 

 欠席裁判

 

 

をして広報に仕立て上げたのです。

 

 

 

その経緯で誰も異を唱えなかったのだろうか?おそらく唱えなかったのだろう。だから、こんなメールが届くのだ。子ども体調が良くないということを知っているのに、こういうメールを送りつけることに、躊躇(ちゅうちょ)はなかったのだろうか?この人たちは、いったい、どういう神経をしているのだろう…。)

 

 

 

 

緑子さんは、今まで、他の学年でのママ友のひどいトラブルの話を何度も聞いていましたが、自分たちの代ではそういうことは一度もなかったので、この学年はいい人が多くて本当によかったと思って過ごしてきました。

 

 

パンジー会に入らないことで、子どもや自分が仲間外れにされるようなこともありませんでした。

 

 

 

だから、そのショックは計り知れませんでした。

 

 

 

と、いうか、

 

 

 

 

(どういう経緯で、わたしがパンジー会の広報になったんだろう?真実が知りたい。そうじゃないと納得できない)

 

 

 

 

 

(よし!やってやろうじゃないの。だったら、とことん言いたいことを言わせてもらおう。どうせ、最後の1年だ。とことん戦ってやろうじゃないの!)

 

 

 

これも、また、女性の不思議なところです。

 

 

 

 ”女の意地”

 

て、やつでしょうか。

 

 

 

とにかく、緑子さんは、広報を引き受ける決意をしました。

 

 

 

しかし、その前に、まず解決しなくてはいけない問題があります。

 

 

 

「なぜ、わたしが、広報に選ばれたのか?」

 

 

緑子さんは、とりあえず、同級生のお母さんたちに電話をかけて事情を聞いてみることにしたのです。

 

 

 

緑子さんのご主人は、反対しました。

 

 

「詳細を聞いたところでもうやると決めたことだし、もしこれが原因で子どもに嫌がらせされても困るから、ここは我慢したほうがいい。きみも入会しないで係をやると決めたんだから、それでもう十分じゃないか」

 

 

 

しかし、緑子さんの決意は変わりません。

 

 

 

「このままだと気持ち悪い。わたしは事の経緯を知って、納得したいだけだから」

そう言い張りました。

 

 

 

「聞くだけ後悔が大きくなるよ。今まで何を言われても何が起きても知らんぷりを決め込んでいたから、被害が大きくならなかったんだよ。ここで、聞き出すようなことをしたら、本当に事が大きくなるよ。しかも、真実がわからないまま、誤解されたまま。きみが一番わかっているはずだよ。ママ友の恐ろしさを。それでもいいの?」

 

 

 

「それでもいい。広報はやると決めた。でも、真実はぜったいに知りたい。わたしは我慢はしたくない」

 

 

 

 

そして、ご主人が制止するのも聞かず、緑子さんは、前学年の係のママに電話をしたのでした。

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

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