レスキュー女子es番外 『料理でコーチング』 -154ページ目

先生に贈呈する花束

 

 

 

 

卒園式が無事に終わり、お昼過ぎから、会場設営の担当者数名で夜に開催される謝恩会の準備を始めました。

 

 

 

 

会場装飾の担当者は飯山さんの奥さんでした。

 

 

 

 

もちろん、彼女の立候補です。

 

 

 

 

古着や小道具が大好きな彼女は、休日のたびにフリマに赴くような女性でした。

 

 

 

「センスには自信があるので任せてください」

 

 

 

 

会場装飾で、一番重要なのが花の手配です。

 

 

 

 

緑子さんは、保育園の近くにあって、隣の小学校にお花を納入している代々地元の商店街で営んでいるお花屋さんにお願いすることにしました。

 

 

 

 

「値段にくらべて、かなり豪華に装飾してくれそうです」

 

 

 

と、飯山さんの奥さんに伝えました。

 

 

 

緑子さんは事前にお花屋さんに、

 

 

 

「会場装飾用のお花と、園長先生と担任の先生二人に渡す花束をお願いすることになると思います。

担当の飯山さんが来た時によろしくお願いします」

 

 

 

と、伝えていました。お花屋さんは、

 

 

 

 

「謝恩会で渡す花束はそれなりにお金がかかりますよ。

予算はいくらでお考えですか?」

 

 

 

「お一人3000円以内でお願いします」

 

 

 

 

「3000円以内か〜。

まあ、普通は5000円くらいかかりますけど、いつも利用してくれる緑子さんからの頼みですから、頑張ってなるべく豪華にお作りしましょう」

 

 

 

 

そう言ってくださったのです。

 

 

 

その数日後、飯山さんの奥さんからの電話が緑子さんのもとに…。

 

 

 

 

「あの花屋さんに行ってきたんだけど〜、あんな小汚い花屋で大丈夫?

日比谷花壇とか、青山フラワーとかで頼んだほうがよくない?」

 

 

 

 

いきなり、そう言います。

 

 

 

 

「見た目は小さなお花屋さんですが、地元だし、3000円でかなり豪華に装飾して

くださるそうなので、お得だと思いますけど」

 

 

 

 

「日比谷花壇や青山フラワーだと、3000円で赤いバラ3本をおしゃれに包んでくれるみたいなんだけど、わたし、そういうほうがセンスがあってカッコイイと思うんだけど、そっちで話を進めていい?」

 

 

 

 

「いや、ちょっと待ってください。

バラ3本だけってさすがにそれは…。

見栄えはどうなんですかね〜?」

 

 

 

 

「あんな小汚い名もない花屋の花束のほうがダサいわよ。

やっぱりバラを渡さないとね」

 

 

 

 

「それは理想ですけど、3000円の予算じゃ難しいですよ」

 

 

 

 

「でしょう?

だから、オシャレなお花屋さんのほうがいいんじゃない!」

 

 

 

 

「もうちょっと待っていただけますか?

もう一回、お花屋さんに聞いてみます。

バラだと3000円でどれだけ包めるのか聞いてみます。

多ければ多いほうがいいですよね。

なるべく豪華に見えた方が」

 

 

 

 

 

「いいけど、ダサい花屋でつくっても、どうせダサいわよ。

まあ、いいけど」

 

 

 

 

花屋さんは、

 

 

 

 

「うちだったら5〜7本は用意できますが、謝恩会の花束を先生に渡すのに、そんな見すぼらしいものはうちではつくりませんよ。

花束の贈呈はパーっと豪勢に見えることが大事なんですよ。

先生だって、いくら日比谷花壇のバラでも3本だけじゃ白けちゃうでしょう。

その人どういうセンスしてるんですか?

て、いうか、センス以前に人としての常識がないな。

直接、うちに来るように行ってください。

バラを入れたパターンと、安いお花でも豪華に見せているパターンをお作りして、きちんと説明しますから。

それで、どちらがいいか選んでくれたらいいと思いますよ」

 

 

 

 

「すみません。じゃあ、飯山さん本人にそう伝えます」

 

 

 

 

緑子さんはすぐに飯山さんに伝えました。

 

 

 

 

その二日後、お花屋さんから緑子さんに電話が入ります。

 

 

 

 

飯山さんが一向に現れないと言うのです。

 

 

 

 

緑子さんはすぐに飯山さんに電話しました。

 

 

 

 

 

「わたし、あの花屋、なんか苦手。

やっぱり緑子さんに任せるわ。

どう決まってもわたしは関係ないからさ。

緑子さんのお好きなように。

よろしく」

 

 

 

 

 

結局、騒ぐだけ騒いで、彼女は何一つ行動せず、決めず、責任も取らず、謝りもしない。

 

 

 

 

最後の最後まで、飯山夫妻は、ある意味、期待を裏切らないクレーマー夫婦でした。

 

 

 

 

当日の会場設営

 

 

 

会場設営も、飯山夫妻にお任せしましたが、最初にかかってきた電話が、

 

 

 

 

「壁に釘を打ったら怒られて弁償しろと言われたんだけど、弁償しなくてもいいように会場のオーナーと話をつけてほしいんだけど」

 

 

 

 

もう緑子さんのご主人も慣れました。

 

 

 

 

「会場使用の説明をオーナーさんのところに一緒に聞きに行きましたよね。

壁には打ち付け用の箇所があるから、そこ以外には画鋲を打つこともダメだときちんと言われましたよね。

それは飯山さんの責任です。

そちらでオーナーさんと話をつけてください。

仮に弁償と言われても、それはそちらで対処してください」

 

 

 

 

「いやいや、それはないでしょ。

冗談きついわ〜」

 

 

 

 

結局、緑子さんのご主人がオーナーさんに謝罪し、事なきを得ました。

 

 

 

 

そしてようやく謝恩会。

 

 

 

 

飯山さんのグループの2家族は、堂々と遅刻です。

 

 

 

 

先生方をみんなでお迎えするというのを決めたのに台無しになりました。

 

 

 

 

子どもの思い出DVDをいざ見ようとすると、飯山さんがヅラをかぶって子供の列の真ん中に座って、自分へ気を引かせようとします。

 

 

 

 

子供達は、彼ばかり見てDVDを見ません。

 

 

 

そして、挙句の果てには…。

 

 

 

 

謝恩会は3時間を予定していましたが、来て1時間しか経っていない時点で、突然、飯山さんは立ち上がり、

 

 

 

 

「みなさん、残念ですが、先生方はここでお帰りになられます。

みなさん、盛大な拍手でお見送りください!」

 

 

 

と、マイクを使って宣言したのです。

 

 

 

 

最後までいる予定で時間を空けてくださっていた園長先生と二人の担任先生は呆然自失。

 

 

 

緑子さんも他のママたちも言葉を失い、緑子さんのご主人が、飯山さんのところに、

 

 

 

「ちょっ、ちょっと…」

 

 

 

 

と、駆け寄ろうとすると、先生方が立ち上がり、緑子さんのご主人を止め、

 

 

 

 

「いいです。

大丈夫ですから。

わたしたちはここで帰りますから」

 

 

 

「でも…」

 

 

 

「いいんです。

大丈夫です。

わたしたちもいろいろ事情は聞いてますから。

お願い。

最後だから子供たちの前でもめないで。

わたしたちは帰ります。

本当に楽しかった。

ありがとうございました」

 

 

 

 

先生方も、飯山さんが黄見栄さんのご主人に暴力を振るったことを知っていました。

 


 

 

「すみません。

せっかく来ていただいたのに、こんな失礼な形で最後を迎えるなんて…。

本当にすみません。

お詫びのしようがありません」

 

 

 

 

「いいんです。

子供たちと最後の時間を過ごせたんですから。

ありがとうございました」

 

 

 

 

そして、飯山さんは、先生を追い出すように、

 

 

 

 

「はいはい。

ありがとうございました。

先生、さようなら〜」

 

 

 

と、マイクで叫び続けたのです。

 

 

 

 

飯山さん手下の2家族は拳を上げてウェ〜イ!などと奇声を上げています。

 

 

 

 

こいつらは頭がおかしい。

 

 

 

誰もが、そう思った瞬間でした。

 

 


 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

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