長野駅前で起きた殺傷事件、ようやく犯人も捕まり、近辺の方はほっとされている事でしょう。
しかし北九州小倉で起きた殺傷事件同様「列に並んで後ろから刺す」という殺傷方法は
多くの人に恐怖を与えました。
「これは防ぎ用がない」
と感じたからです。
確かに真後ろから急に刺されたら防ぎ用がありません。
護身術というと技に囚われがちです。
しかし最も大切なのは
「不審者に気づくこと」
なのです。
今回の事件、凶器は刃渡り20センチの刺身包丁との事でした。
私たちが対刃物の稽古で使っている模擬ナイフと殆ど同じ長さです。
刺身包丁というともっと長いものを想像しますが、何故長いものを使用しなかったのでしょう?
これは推論ですが、人混みの中で凶器を使用する場合、長いと目立ってしまいます。
20センチの刃物でも持ち手を入れれば25〜30センチ近くになります。
大きなポケットがある上着か、内ポケットに忍ばせるしかない。
自分が傷つかない様何かに包まねばならない。
するとそれを守る様に歩く姿になる。
内ポケットか外ポケット、抑えて歩く姿。
これは明らかに異質な姿です。
次に、異質だと感じた人が実際に犯行に移るかどうかの判断はできませんので、
さりげなく目で追う。
自分に近づいてきたら離れる。
「いや、そんな事ないだろう」じゃなくて。
ここは車の運転と同じですね。
「大丈夫だろう」ではなく
「来るかもしれない」
面倒くさがらないのが大事です。
バス一本遅らせたって命とは比べ物になりませんから。
電車なら車両を移動する。
その「異質な人」がいつ刃物を出すのか。
後ろに並んでからだと気付けません。
私は後ろに人が居るのが駄目なので大概横を向いたり
何となく動いてますね。落ち着かない感じです笑。
剣護身術では「横から急に刺された時」の稽古もしていますので
一撃目を避けれたら逃げましょう。
もしもっと手前で刃物を取り出したら、
「叫ぶ」!
「刃物だ!」「ナイフだ!」「逃げろ!」
言ってみるとわかりますが「刃物」という言葉は分かりづらいです。
急に言葉を発する場合、人は聞く準備ができていない時、初めの音を聞き逃してしまうので、
何を言っているのかわからない。
「ナ」の方が通りやすいですかね。どちらにせよ、何度も言う。
たった1人でいい、1人気づく人がいれば、助かる命があるかもしれない。
だから気付くための感性を磨く。
「護身のアンテナ」を日常生活の中で何本立てられるようになるのか。
そここそが、護身を学ぶ最も重要な事だと私は考えています。
人はしょっちゅう緊張状態を作れるわけではありません。
仕事のこと、人間関係のこと、今日の夕飯、色んなことを考えています。
でも習慣になれば自然と「護身のアンテナ」は立てられるようになります。
稽古に来て、護身術を学び、考える。
じゃあ行き帰りにちょっと周囲に気をつけてみよう、
そこからでいいのです。
後ろに並んで全く関係ない人を刺す。
私は考えただけで怒りが沸騰します。
北九州と長野で亡くなったお二人に心からご冥福をお祈り致します。
勇気MAX!