EM散布で悪臭が緩和  -脱臭効果は明白で、ハエの発生抑制にも効果- | EM(有用微生物)の力で子供達に未来を!

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EM散布で悪臭が緩和 三陸新聞

em散布で悪臭が緩和
 東日本大震災から80日が過ぎ、行方不明者の捜索とともに、がれきの撤去が進む中、営業再開をする商店や企業が増えつつあり、復旧・復興の兆しが見えてきている。ところが気仙沼市は”さかなのまち”だけに、がれきの中にはヘドロや大型冷凍・冷蔵庫に保管されていたサンマ、サバ、イカ、イサダ、メカ、ヨシキリのすり身などの魚類が大量に混じっている。

 市内の冷蔵庫には大量の魚が保管されていたそうで、散乱した魚は膨大で、暖かい日が続くようになって、このところ発生する悪臭やハエなどに周辺ばかりでなく、広範囲の住民が、この解決策に頭を痛める毎日だ。


 特に厳しいのが市内波路上内田囲い。約14haの水田のうち、約10haが津波の被害を受け、1000トンを超える魚類が、がれきなどに混じっているとされ、被災見舞いに訪れた人も数分で帰ってしまうほど周辺集落には酷い悪臭が漂う。市や保健所などにも再三相談したが”たらい回し”で埒が明かない。

 このため、周辺の人たちが関係者(地主を含む)と階上大谷土地改良区、地区水利組合の了解を得て先月21日、津波の被害を受けた内田囲い約10haで「EMアグリ・フィッシュ・クリーン大作戦」を展開、EMを散布した。

 EMは微生物の一種でミルクを発酵させてチーズやヨーグルトに返信させる”善玉菌”といわれる有用微生物群で80種以上の微生物が混合され、総称して「EM」と呼ばれている。

 30年ほど前、琉球大学農学部の比嘉照夫教授が開発した。当初は土壌改良や作物の品質向上などに活用され効果が実証されていたが、さまざまな個性を持った微生物が抗酸化作用を発揮することから日常生活の多くの分野で活用されるようになっているという。

 EMは市内牧沢の理想産業・足利英紀さんから約100トン(希釈液)と粉末数十袋を提供してもらい、JA南三陸の協力で物見生産組合、鹿折東中才地区の有志などから大型噴霧器を4台借り受け、小型噴霧器数台(参加者持参)も用意した。

 散布作業には、茨城県から深夜に出発してきたというボランティア26人をはじめ、周辺の原自治会、上町自治会、市内の有志、土地所有者、同級生や友人など合わせて約70人が参加、善意と団結、絆の深さにあらためて感謝、感激する。

 散布は噴霧機隊と手まき隊に分れ、手まき隊は如雨露やプラスチックのバケツにEMを入れ、噴霧器が入れないところにくまなく散布した。散布すると鼻を突く悪臭は和らぎ、変色した水は徐々に透明度を増していく。

 驚異的な効果にボランティアの皆さんをはじめ、参加者全員が感激
。作業前に効能を述べていたEM提供者の足利さんは”したり顔”でいる。

 午前10時から休憩を挟んで午後3時には約10haへの散布が終了。ホッっと胸を撫で下ろす。EMの効能は聞いた事があるが、体験したことがないだけに、何も手を打たないでいるよりは…という軽い気持ちだったが、翌日の早朝はEMの効果を実感した。


百聞は一見に如かず

 何と、あれほど鼻をついた悪臭は、大幅に和らぎ、マスクをしなくても苦にならないほどになっていた。散布から2週間、悪臭は相当に和らぎ、白壁が真っ黒になるほど発生していたハエも徐々に減っている。足利さんは「ウジは死なないが、ハエにならない」と話していたのを思い出し、あらためて納得した。

 この微生物集団が作り出す酵素や抗酸化物質は、日常生活のあらゆる分野で有効であることが分かり、現在では農林水産業、畜産業に止まらず、病院、理美容店、園芸、ペットショップ、食品加工業、清掃業、一般家庭などで活用されている

 気仙沼市内でも数年前から小学校や幼稚園のプール浄化、河川浄化などに活用されて成果を上げており、今回の東日本大震災でも青森県の八戸市をはじめ、岩手県のほぼ全域、気仙沼市内でも水産加工場や冷蔵庫、田中前地区などで「悪臭が消えた」と評判だ。

 足利さんによれば、海底のヘドロや重油、冷蔵庫や冷凍工場の原魚、加工魚、サメ類の腐臭、終末処理場の崩壊臭、死臭、その他の腐敗臭などの脱臭に効果があるそうだ。今回の震災で避難所のトイレから始めたEM散布ボランティア活動を聞きつけたフカヒレ工場や商店街などからも依頼が舞い込んでいる。

 EMを散布してもらった新中央商店街の赤間会長は「悪臭に悩まされていたが、効果ははっきりでた。被災地全体で活用して欲しい」と話している。波路上内田囲い焼く10haの水田では特別に調合したEM約100トンを散布した後の脱臭効果は明白で、ハエの発生抑制にも効果があるようだ。

 散布後は報道関係者や県・市、県議会、市議会関係者も注目し、連日視察に訪れている。取材に訪れた朝日新聞下関支局の白井記者は、悪臭は残っているが、鼻を突く強烈な悪臭は感じられない。ガレキの間の腐った魚にハエが止まっていないのも不思議
とEM効果に感心していた。

 まさに「百聞は一見に如かず」を実証したEM散布だった。茨城から駆けつけたボランティアの皆さん、散布に参加した地域の人たちの団結と絆の深さ、それにEMにあらためて感謝したい。