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クリスチャン新聞
ヘドロ悪臭たちまち消えた-
-微生物活性液EM散布 被災地で威力発揮
鼻をつまみたくなるような悪臭がたちまち消えていく。東日本大震災から4か月。日本全国からボランティアチームが被災地を訪れ救援活動を行っているが、まだまだ復興、復旧にはほど遠い。特に被災地では、津波によりこびり付いたヘドロの悪臭が悩みの種だ。ところが今、微生物の力で臭いを分解するEM(エフェクティブ・マイクロオーガニズムス)が威力を発揮。今、キリスト教支援団体で注目を集めている。
EMとは発酵食品に使われている乳酸菌や酵母などの微生物を集めた活性液で、微生物が悪臭の素となる腐った魚、石油、ヘドロなどを分解し、取り除く効果がある。
このEMを散布する活動を始めたのは宮城県気仙沼市在住の足利英紀さん(理想産業有限会社代表取締役、バプ同盟・日本バプテスト気仙沼教会員)。足利さんは20年間、EMを使って海をきれいにしたり、塩田、田畑の改良に応用してきた。
「EMは黒または茶色の液体で、通常、単一種類で扱われるのが普通だが、EMでは嫌気、微好気の微生物が複数共存している。80種類の微生物の組み合わせにより幅広い対象に有効で、酸化したものを中和し、不快な臭いを取り除く複合共生の微生物資材という点が特徴です」
足利さん自身、今回の大震災で津波に遭い、全財産を失った。途方に暮れる中、「あなたにはEMがあるじゃないの」と妻のひと言で我に返った。「EMを散布することで、悪臭を消し、復興支援のお役に立てればと思った」
今年4月、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会の被災地支援活動「アガペーCGN」を通じて気仙沼市に来ていたウェスレアン・ホーリネス教団復興支援委員会委員長の小寺隆さん(九十九里みぎわ伝道所牧師)は、そこで足利さんと出会う。市街地や保守バプ・気仙沼第一聖書バプテスト教会(嶺岸浩牧師)の信徒宅でEMを散布。臭いは見事に消えた。このうわさを聞いた同県名取市の教会の信徒から「自分の住む地域でも散布してほしい」との依頼があった。小寺さんも、復興支援活動の一環としてEM散布を行いたいと願った。
その後、同復興支援委員会は宮城南部復興支援ボランティア(MSR+)をクラッシュ・ジャパンとの協力関係で立ち上げ、6月、岩沼市にセンターを開設。EM散布で悪臭を抑えることを主な支援活動とし、これまで3回にわたり、亘理町逢隈高屋、荒浜、長瀞、吉田などの地区の民家約350戸にEM散布を実施した。
7月4日には足利さんの指導と支援を受け、MSR+と岩沼市のボランティアと一緒に、遺体安置所として使用されていた市体育館の天井、側面、床に高性能の噴霧機でEMを散布。線香の臭いなどがこびりつい体育館は、EM散布によって見事に臭いが消えた。
悪臭の除去は、消石灰を撒くのが一般的だ。だが「消石灰は強アルカリで良い菌も悪い菌も殺してしまう。土壌の消毒が目的なので、時間が経つとまた汚泥や瓦礫から悪臭がたちこめる」。それに比べ、EMは一度撒けば臭いは大方消え、しかもローコスト、ハイクオリティーで、環境や人体にも安全だという。
EM散布の効果が実証されたことで、多方面から依頼が来ている。また、クラッシュジャパンなど他のキリスト教支援団体と協力し、EM散布を実施している。
MSR+は、海水が入った水田や畑にも効果があるEMを、希望の見えなかった地元の農家の畑に試験的に散布した。水だけの処理では3、4年必要とされる塩害からの回復が、EM処理をすると1年で完了すると言われている。
MSR+は8、9月にもEM散布を中心としたボランティア活動を行う。
詳細はhttp://wh-sinsai.jimdo.com/ で。問い合わせはTel.090・4554・5362、Email miyagiem@gmail.com (担当・川上)まで。