現時点では、MicrosoftはWindows 11を永続ライセンスではなく、定期的なアップデートやサービスの提供を通じて収益を得るモデルとして提示しています。しかし、将来的にライセンスモデルや収益モデルが変更される可能性は常にあります。これまでの経緯から言えば、Microsoftはサブスクリプションベースのサービスや定期的な更新に力を入れている傾向があります。ですが、具体的な将来の方針についてはMicrosoftの公式発表を待つ必要があります。

 

Windows 11に興味はなくても 「ライセンス」だけは無視してはいけないのはなぜ

 

 Microsoft は自社製品/サービスにさまざまなライセンスを用意している。クライアントOS 「Windows 11」も例外ではない。ライセンスの豊富さは、ニーズに合ったライセンスを選択しや すくする半面、最適なライセンスを見極める作業を難しくする。 ■ 「Windows 11ライセンス」を考えることがなぜ重要か ライセンスの検討をさらにややこしくするのは、Microsoftがサブスクリプション形式のライセ ンスを積極的に推進していることだ。サブスクリプション形式のライセンスでは、契約期間中に利 用料金が発生し続ける。  買い切り型である永続ライセンスを、Microsoftが提供しなくなる日が来るのではないか。 Windows 11の利用には、いつかはサブスクリプション形式のライセンス契約が必要になるので はないか――。同社製品/サービスのライセンスを巡って、こうしたさまざまな臆測や混乱が生じ ている。  本稿執筆時点では、企 業 で稼働するPCの主要なクライアントOSは、依 然 として「Windows 10」だ。Microsoftは、Windows 10から Windows 11へのアップグレードプログラムを無償 で提供している。ただしアップグレードが可能なのは、該当のPCがWindows 11のシステム要 件を満たしている場合のみだ。満たしていない場合は、アップグレードのために新しいPCの調達 が必要になり、そのためのコストが発生する。  一般的に企業が利用するWindows 10のエディションは、いずれも企業向けエディションであ る「Windows 10 Pro」または「Windows 10 Enterprise」だ。Windows 10から Windows 11 へのアップグレードプログラムを適用すると、Windows 10 Proは「Windows 11 Pro」に、 Windows 10 Enterprise は「Windows 11 Enterprise」にアップグレードする。いずれの場合 も、基本的には既存のライセンスが継続することになる。  新しい PCを購入する、Windows 11 ProからWindows 11 Enterpriseへとエディションを 変更する、VDI(仮想デスクトップインフラ)を導入するなど、Windows 11のライセンスに影響 する可能性がある変更は幾つかある。こうした変更をする場合は、変更前後で必要になるライセ ンスの違いをよく理解することが必要だ。

 

 Microsoft 製品/サービスのライセンスは極めて複雑であり、微妙な違いを全て把握するには、 同社か認定パートナーに問い合わせる必要がある。その場合でも、ライセンス関連ドキュメントを よく見直して、全容を理解することが欠かせない。以上を念頭に置きながら、Windows 11のラ イセンスに関する幾つかの基本事項を学べば、文 字 がぎっしり書かれたドキュメントや機能一覧表 をチェックするときに役立つ。

 

■ Windows 11が永続ライセンスをなくして「毎月課金型OS」になる?

 

クラウドサービスの普及に伴って、従来型の永続ライセンスではなく、サブスクリプション形式 のライセンスが一般的になった。こうした中でMicrosoftが、Windows 11のライセンスをサブ スクリプション形式に一本化するのではないかという考えが生まれるのは自然なことだ。ただし、 その実現は難しい。 Microsoft は既にWindows 11の一部エディションで、サブスクリプション形式のライセンス を採用している。Windows 11の企業向けエディションとして、同社は永続ライセンスの 「Windows 11 Pro」に加えて、サブスクリプション形式のライセンスを採用した「Windows 11 Enterprise」を用意する

 

さまざまなPCベンダーが、自社が販売するPCにWindows 11をプリインストールしている。 こうしたプリインストールの Windows 11にサブスクリプション形式のライセンスを適用すると、 Windows 11ユーザーは定期的に追加の支払いが必要になる。こうしたサブスクリプション形式 のライセンスを、幅広いユーザー企業やエンドユーザーに受け入れてもらうのは、極めて困難な仕 事になる可能性が高い。 Windows 11に限らず、Microsoftは同社製品/サービスのライセンスを改定しながら、サブ スクリプション形式の移行を着実に推進すると考えられる。もっとも、それがユーザー企業のニー ズに合っているかどうかは別の話だ。Windows 11のライセンスがサブスクリプション形式に一本 化すれば、ユーザー企業やエンドユーザーの反感を生むことは避けられない。一部のコンピュー タ愛好家が待ち望んでいた、オープンソース OS「Linux」への大規模な移行を生む可能性さえ ある