パソコン高速化・最適化できるPCメンテナンスソフトといえば、Advanced SystemCareなどが有名ですが、今回はWindowsの純正無料メンテツール「PC Manager」を紹介してみます。

 

 Windowsを長期間利用していると、さまざまなジャンクファイルが蓄積され、動作速度に影響を与えたり、ストレージの容量を圧迫するようになります。Windows 11では「ストレージセンサー」という機能が搭載され、一時ファイルを自動削除してくれるようになりましたが、これをオンにしていても、数週間経つと何GBもの不要ファイルが貯まってしまいます。

 

 このほかWindowsでは、不要なプログラムがスタートアップに登録されているせいで、Windowsの起動が遅くなっていることもしばしばです。知識があればこうした設定の変更は自力で行えますが、初心者が下手にいじると、Windowsの機能が正常に動かなくなる危険もあります。またこうした設定画面はひとつにまとまっているわけではないため、定期チェックするにしても、どうしても見落としは発生しがちです。

 

 パソコン高速化・最適化できるPCメンテナンスソフトといえば、Advanced SystemCareなどが有名ですが、

 こうしたWindows全般のメンテナンスを簡単に行うためのマイクロソフト社純正ツール「PC Manager」のパブリックベータ版が、Microsoftからリリースされました。Windows 10以降であれば無料で使えるこの「PC Manager」について、今回はその特徴と使い方、そして実際にどのくらいの効果があるのかを紹介します。

ダウンロード:

 

 

アンチウイルス、PCクリーンアップ、コンピューター保護 | Microsoft PC Manager Antivirus, Cleanup PC, protection for your computer | Microsoft PC Manager

クリックするだけでWindowsのメンテナンスが!

「PC Manager」は、2022年11月現在、パブリックベータ版として無料公開されています。まだ日本語化はされていませんが、少し前までは中国語版のみだったところ英語版が追加されたことで、利用のハードルはぐんと低くなりました。  ホームページからプログラムをダウンロードし、インストールを終えて起動すると、Windowsのデスクトップ画面の右下、タスクバーコーナー付近に、メニューが並ぶホーム画面が表示されますので、その中から必要な機能を選んで実行します。全ツールを順番に実行するウィザードのようなものはなく、個別に実行する仕組みです。

まず試してみたいのは「ブースト」ボタン

 まず試してみたいのは、右上にある「ブースト」ボタン。これは不要なプロセスを終了させたり一時ファイルを削除する機能です。実行前と実行後、それぞれのメモリ使用量や一時ファイルの容量が表示されるので、効果を手軽にチェックできます。「動きが重いな」と感じたらこれを押す癖をつけておくとよいでしょう。  続いて「ヘルスチェック」機能。前述の一時ファイルを削除する機能に加えて、スタートアップに登録されているアプリの中からいらないものをオフにする機能が用意されています。  各スタートアップアプリには、PCへの負荷の高さが4段階で表示されているので、高いものを中心に自動機能を停止すれば動作を軽くできます。ただし必要なものまでオフにすると動作に悪影響が出る可能性があるので要注意です。こればかりは試行錯誤しながら様子見するしかありません。  次はストレージマネジメント。前述の「ブースト」ボタンでは無害なファイルしか削除しなかったのに対して、こちらはWindows UpdateのファイルやPrefetchファイルなど、通常では削除できない一時ファイルを消すことができます。多少リスクはありますが、ストレージ容量が切迫している時は試してみてもよいかもしれません。このほか大容量ファイルを検出する機能もあります。  さらにこのストレージマネジメントには、アプリのアンインストール画面、ディスク領域を自動的にクリーンアップするストレージセンサーへのリンクもあります。「PC Manager」オリジナルの機能ではなく、もともとWindowsに備わっているツールを起動するだけのショートカットですが、空き領域を増やす目的のもと、同列に並べてアクセスしやすくしているようです。

初心者~中級者にわかりやすいツールが多数

 残りの機能をざっと見ていきましょう。「プロセスマネジメント」では、実行中のアプリを終了させたり、「スタートアップアプリ」では自動起動の設定を変更できます。  このあたりはWindows標準の「タスクマネージャー」の見せ方を変えているだけで、目新しさはないのですが、「End」ボタン一発でプロセスを終了できたり、すべてのスタートアップアプリを読み込むのに必要な時間が表示されたりと、操作しやすく工夫されているのが特徴です。初心者から中級者には扱いやすいでしょう。  また画面下部のタブを「セキュリティ」に切り替えることで、Windows Updateの設定を確認したり、ブラウザの保護状態を確認したり、ポップアップブロックの可否を設定することもできます。こちらは全体の中からすると「おまけ」というイメージで、プライオリティは高くありません。長期間メンテナンスをしていない人は試してみるのもアリ、といったところでしょうか。

実際の効果はどれくらい?デメリットは…

 さて、肝心の効果はどのぐらいあるのでしょうか。筆者のPCは、このツールで行えるようなメンテナンスを月1回ペースで定期的に行っているせいで、あまり直接的な効果は期待できないのですが、6つのベンチマークソフトを使って施行前・施行後のスコアを比較したところ、うち5つではスコアが向上し、最大110.3%の伸びが見られました。  この結果だけ見ると「なぁんだそんな程度か」で済まされそうですが、月1回メンテナンスを行っている筆者のPCでまだ高速化の余地があったことを考えると、購入してから一切メンテナンスを行っていないWindows PCでは、相当な高速化が見込めそうです。特に今回手を触れなかったスタートアップまわりの設定変更を行えば、劇的な改善も期待できます。  ちなみに本アプリと同様のツールはサードパーティーからも複数リリースされていますが、Windowsの不要なファイルを消すという建前ながら、必要なファイルやレジストリまで削除してしまい、Windowsの動作がかえって不安定になることもありました。また多くのツールは広告収入のバナーやポップアップだらけで、無関係なアプリのインストールを促すなど、あまり行儀のよくないツールもあります。  その点、本ツールは完全無料で、広告も(今のところは)表示されません。このことは大きなメリットです。  ただし一方で、Microsoft純正であるがゆえのデメリットもあります。それは他社製のアプリに原則対応しないことです。例えばGoogle製のブラウザ「Chrome」のキャッシュは、Chromeからだと設定→「プライバシーとセキュリティ」→「閲覧履歴データの削除」で削除できますが、本アプリからの削除は不可能でした。  こうした他社製アプリのメンテナンスまで考慮すると、ベンダーを問わず著名なアプリを網羅しているサードパーティー製アプリのほうが、幅広い効果が期待できます。  以上のように、同種のメンテナンスツールの中では、純正であるがゆえの安全性重視の設計が特徴で、パワーユーザには物足りなく感じるかもしれませんが、言い替えると初心者でも使えるハードルの低さが売りということになります。  現時点ではパブリックベータ版という位置付けのせいか、Microsoft自身、このツールの存在を大々的にアピールしていませんが、今回試した限りでは不安定さはなく、英語が苦手な人にとっても難易度は高くありません。Windows PCを使っている人は、いちど試してみる価値はありそうです。

 

2024年2月20日、Microsoftが無償提供しているシステム最適化ソフト「PC Manager」が、「Microsoft Store」から入手できるようになりました。

主な機能:

・システムのメモリをワンボタンで開放する「ブースト」(Boost)。不要な一時ファイルの削除も 

・ブーストを自動で行う「スマートブースト」(Smart Boost)(既定で無効) 

・「Microsoft Defender」ウイルス対策でシステムをスキャン

・「Windows Update」の状態をチェック 

・タスクバーやデフォルトアプリの初期化

・アプリのポップアップブロック 

・巨大なファイルやジャンクファイルを削除する「ディープクリーンアップ」(Deep cleanup) 

・ストレージを占有している巨大ファイルを「エクスプローラー」で列挙 

・アプリのプロセスとスタートアップアプリの管理 ・プロセスの管理 ・スタートアッププログラムの管理 ・便利機能を集めた「ツールボックス」(Toolbox)