職業に貴賎はない。
オフィスのあるビルの
トイレの清掃員は
年齢は30くらいだろうか。
青い作業服を着ていて
赤ら顔で正直もっさりとした
体型でおそらく田舎から出てきたのだろう。
上海人ではないのは明らかだ。
貧富の差がものすごい中国。
そのもっとも繁栄してる上海で
おしゃれな服とか化粧品とは
まったく無縁な生活をしているのだろう。
周りには流行の服やアクセサリーを
きた上海のOLたちが行きかっている。
そんなある日だが、
トイレの洗面台に、
ペットボトルを切って花瓶にして
どこかのオフィスから捨てられただろう
竹のような植物を水にさして
2つ、両脇に飾ってあった。
おそらくあの清掃員が誂えたのだろう。
彼女なりに
お金はかけられないけど
なんとか気持ちよく
トイレを使ってほしい
という気持ちが
そのペットボトルの花瓶から
強く感じられた。
絶望的に貧富の差が広がり
光と影の対比が他の中国のどの都市よりも
くっきりとしている上海で
その暗闇の中でも必死に生きてるのだろう。
なにか切なくもあり、でも心温まる一こまだ。
大きな幸せは無理かもしれないけど
せめて不幸なことなくこの街で穏やかに
暮らしていって欲しいものだ。
名前も知らないし、会話もしたことがないけど
彼女をみていると同情ではなく
逆にとても励まされるのだ。
人間て絶望さえしなければ
けっこうがんばれるんじゃないか、
たとえつらくても懸命に前にすすめば
必ずなにかをつかめるんじゃないか、
そんな気がしてくるのだ。
それこそ13億の砂つぶのひとつでも、
たしかに、しっかりと、
その13億分の1を形作っている
中国の人々の強さを垣間見た気がする。
