朝、目が覚めたときにおぼろげに夢を覚えていた。いつもなら夢のかけらさえ残ってないのに。
どこかの工房らしいところでわたしが作業を手伝っている。何かを作るためのしっかりとした生地を、まとめてタルのような物で洗って「よいしょ」と取り出す。
工房の主人らしい人が「彼にこの工房を継いでもらおうと思っている」と誰かに伝える声が聞こえる。慌てて「そんなつもりはないんですよ」と申し出る。
「君の並々ならぬ覚悟を最初から感じていた」と工房の主人は言うのです。「けっして若くはない自分なのに...そんなつもりは...」と言いかけて、言葉に詰まったところで目が覚めた。うっすらと目尻を濡らしていることに気づく。
夢診断だと何かがわかったりするのだろうか。でも、そんなことを詮索する気も不思議となかった。
ただ、ただ、うれしくて、あたたかくて、これまでのことが肯定された感じがした。肯定してくれた工房の主人は、自分自身だったのかもしれない。
等身大の自分。ありのままの自分。認めてあげるのは自分なのだから。
おやすみなさい。