水原奈央19才。
 
本日からグループホーム『こころから』に勤めることになった。

介護の仕事は初めてで、大好きだったおばあちゃんの死をきっかけに介護の道を目指した。

奈央の新人教育としてベテランでヘルパー2級を持つ山田幸子が担当となった。

山田はいわゆる近所のおばちゃんタイプで、奈央には「すぐに慣れるわよ。」ときびきびと教育したお陰で、わりと短期間で、心配していたオムツ交換にも慣れることができた。

奈央の勤めたホームは都内の5箇所にある。そのうちの
5年ぐらい経過したホームで2番目に建てられた。

ホームの作りは四階建てで、なんでも以前寮だったらしく、古くて、段差もあり、なんとも今のバリアフリーとは程遠い建物である。そこをホームにしてあるため、本当に軽い認知症がある方ぐらいか、ましてや車椅子なんかの利用者はそもそも無理
なのである。

奈央のホームは1階がデイサービス、二階、三階が10名の居室で四階は、事務所になっている。

事務所は簡易で、あまり、人気のない事務所で、社長なのどの幹部クラスは、品川にある本事務所で仕事をしている。

奈央はだんだんと、このホームに疑問をもちはじめていた。

風呂場も、普通の住宅と変わらないユニットバスなのに、なぜ車椅子の入居者が三人もいるのかと。

それに職員の口の悪さにも。