《土砂降りを愛する》


灰色の重い雲が
キレイ過ぎる青を隠すと
決まって何かを期待する
心の内奥からさざ波が打ち寄せる

空気が湿り出して
気付けば
ポツポツと跳ねる音
立ち上る土の匂い
世界は少しだけ色濃く
少しだけ寂しげに見えた


嗚呼、天(そら)の海が泣いてる


涙は次第に勢いを増して
何かをしきりに叫んでる
さざ波が大きく震えた
足は自ずからその中へ



全身を打ち付ける滝
痛みは痛みを打ち消して
僕に笑顔をもたらした


狂ったような叫声は
降り注ぐ轟音に掻き消され
心行くまま辺りを漂う


見たくもない風光は
細かなブラインドでぼやけて見え
この瞬間にだけ浸っていられる



強情で盲目的な僕を
冷たい刃が襲う
アザも痕も残さず
内側だけを切り刻む
大切だと信じてた、くだらないプライドも
キレイと感じてた、重すぎた翼も
絆の証と思ってた、まとわりつく鎖も
全ての枷を粉々に砕いていった


僕の装飾は奪われた
残っているのはずぶ濡れの身一つ
眼にたまっているのはどちらの涙か
天が泣き止むまで
枯れることはないだろう


愛(かな)しいくらいに眩しい光が
雲間からこぼれて
私を痛いほど射すけれど
涙が光を和らげて
世界は煌めきを帯びていた

一気に引いた土砂降りが
僕の心に残していったのは
軽くなった身と
心地良い痛さの愛しさと
目に見える弓なりの色達


*この七色の橋は、一体どこへ繋がってるんだろ…?*