《氷ノ月》

薄空の中に一人ポツンと浮かぶ
触れたら壊れてしまいそうな月
ガラスのように脆く
氷のように儚い
人は呼ぶ“氷ノ月”と

湖面の氷
素足で踏んだなら
崩れる音と共に冷たさが伝わる
体温に溶けて水に戻る
水中を舞う欠片も
やがて滴となるだろう


ソウ、ソレハマルデ月ノヨウ…


湖面に映る月と空の月
どちらの方が脆いだろう
弱風にでさえ揺れて掻き消されるか
陽光や雲で隠されてしまうか


薄空の中に一人寂しく浮かぶ
消えそうで寂々たる月
人の心のように脆く
夢のように儚い
人は呼ぶ“氷ノ月”と

熱き熱き涙が頬を流れて
月にぽつりと落ちた
氷の月は温かい光を放って
滴と共にスッと溶けた


*我願ウハ夏ニ舞ウ雪ノ欠片。熱キ氷ノ欠片*