《鏡》

うつむいて歩いた
人通りもない静かな町
聞こえない
何も
次第に足取りも重くなる
濡れた靴のせい?

そして立ち止まってしまう
大きな水溜りの前で
見つめた
目の前をふさぐ相手を
やがて気づいた
世界を映す鏡だということに

顔を上げた
見えた
空を覆う白い雲
風はない
耳に届くのは
傘を叩く雨の旋律

走った
水溜りを突っ切って
鏡の中の世界が揺らいで見えなくなる

私がいなくなった後
鏡はまた
鮮やかな世界を映し出す

*雨の日にしか見えない世界が、ここにはあった*