自閉症スペクトラムの傾向をもつ人には、
脳の機能の特性として、コミュニケーションの障害があると言われます。
一言でいうと、「メタ視点」を持ちにくいのです。
「メタ視点」とは、意識を自分の外側に置いて、
自分や、自分と周りの人との関係をとらえる視点と言ってもよいでしょう。
この傾向は、普通の人にもある場合があり、傾向の強さもいろいろです。
メタ視点をもちにくいと、微妙な人間関係が読み解きにくく、
それが言葉で表され、会話が交わされるとさらにとらえにくくなります。
センスの良いユーモアは、微妙なニュアンスを含み、
言葉通りではない内容をもっています。
センスが良いほど理解できません。
せっかく積み上げられたジョークの落ちのところに、
割り込んで、まったく気づかないまま、
楽しい創造性を積み上げた人たちを、傷つけてしまいます。
ほんとうは迷惑なのに、言葉だけ歓迎、ということ、よくありますね。
例えば、「またね」と言っても、特別また会おうとは思っていない場合。
裏が読めないので、「また」が気になって約束を取り付けようとしたり。
また、その関係ならどのくらいの心理的な距離が適切か、
がわからず、不快に感じさせる距離に入っていたり、
大変失礼な言動をしていたりすることもあります。
周りの人がひやひやしているのを見かけること、あるのではないでしょうか。
本人は、全く気づいていません。
さらに、覚醒のレベルが低くなりがちな特性が伴ったり、
身体的に不器用な特性が伴ったりすると、
もっと状況をとらえられなくなり、空気を読みにくくなります。
社会的な立場によっては、こうした特性が致命的になることもあります。
そして、この特性は表れないこともあります。
弱い場合もあります。
メタ視点を使って仕事などができているときもあるのです。
そこで、危機になる場面に絞って対策を立てることができます
―メタ視点を持ちにくい特性への対策例―
1 メタ視点を、他の人に求める。
・理解してくれる人にお願いしておいて、合図を送ってもらう。
普段から、この場面でこうなっていた、こうすればよい、
を具体的に伝えてもらう。
・思いや感情と一致した表現をする人を見つけておき、
その人の表現を観察して手掛かりにする。
その人の表情が見える場所にいる。
・できれば、話し合いや行動を共にしている人たち全体が
とらえられる場所にいる。
2 セルフモニタリングする。
・どんな場面で、空気やウラが読めず困るのか、つかんでおく。
・特に空気やウラが読めなくなって行くときの、サインに気づき、
知っておく。サインが出たら慎重に。
例)気が緩んでいるとき・・・物を落とす、こぼす
嬉しくてハイテンションになった時・・・笑いが出てくる
あることに心がとらわれているとき・・・ドキドキしている
何かしなければと気を使っているとき・・・体がこわばる
3 予防する
・社会的に重要な場面を前にしたら、計画的に1、2を活用し、
危機を回避します。
・特に、2のサインが体に出たら、
体をほぐしたり、周りをよく見まわしたりして意識を目覚めさせ、
観察に基づいた慎重な言動を心がけます。
―周りにいる空気やウラが読めない人に―
1 ハッキリ具体的に指示してあげてください。
いつ、何を、どこに、誰が、どのように を簡潔に。
会話のセンスは、悪い方が伝わるともいえます。
2 気持ちと思いと、言葉や表情を、一致させて表現しましょう。
不機嫌なら、不機嫌な表情のままのほうが助けになります。
嬉しい時は、明るく笑ってあげてください。
3 本人が全く気づかず、不適切な言動をしていたら、
その場でストップさせて、
何が起きているのかを、具体的に教えてあげてください。
一番やりたくないことをしてしまっている場合もあるので、
伝えてあげた方が親切です。
~脳の機能特性で、背が低い人、高い人がいるのと同じです~
相手の特性を想像し、寄り添う能力を持っている人は、
場面と相手に応じて、
時には具体的で分かりやすい表現が役に立つかもしれません。
