ナイトクラブ | windance の亜米利加放浪記

ナイトクラブ

なぜかクラブは女性が7割を占め、黒髪で彫りの深いラテン美人が多く、時折ダンスを楽しみながら、テーブルでは友人達と楽しそうに談笑していた。僕はウマの合う先輩ひとりと毎晩クラブに出かけ、彼女たちに積極的に声をかけた。僕が英語に不自由しないという理由で、「おい、お前行って来い」というのが先輩の常套手段だ。二杯目のテキーラが効き始める頃から、僕も大胆になった。

 

ラテン文化では声をかけるのは社交辞令のうち、後ろめたさはない。ブエノス・ノーチェスとか、コモ・エスタ・ウステッドとか、ノ・アブロ・エスパニオール、メ~、ミ・エルマーナ・アブラ・エスパニオール・ムイ・ビエンとか、僕はちょっとだけ聞きかじったスペイン語を連発しながらアプローチした。彼女たちはキャッキャッと笑いこけ、満面の笑みをうかべながら相手をしてくれた。何度も言うようだが、日本の女の子のように「能面面で無視する」などという無礼な行為には決してお目にかからなかった。


クラブでの会話なんて、手振り身振りを混ぜれば何とでもなる。ウノ・モ~メント(ちょっと待って)やウン・ポコ(少しだけ)程度で十分だ。僕はこういったバー会話は大得意で、日本でも昔の彼女から教わったタガロ語を駆使して店の女の子を笑わせたりする。どちらが客がよく分からなくなることも多々あるが、天真爛漫な彼女たちをエンターテインするのは結構楽しいものだ。


中には、英語が多少できる女の子もいた。そのうちのひとりは非常に社交的で、次から次へとグループの仲間に僕達を紹介してくれた。男友達も皆礼儀正しく親切で、ノリが良かった。やがて彼女はテーブルに座っている女友達のところまで僕達を連れていった。艶やかな黒髪とエキゾチックな顔立ちのその友人は、まるで映画にでも出てくるような恵まれた容姿でありながら、実に率直な態度で僕達の会話に付き合ってくれた。問題は、まったく英語が通じなかったことだ。