Independent Study: ツールの選択
作図ツールとしては、建築業界ではダントツの人気を博しているAutoCADを使用することにした。AutoCADはもともと2次元CADの製品だったため、3次元モデリングが可能となった今でも「2.5次元ソフト」と呼ばれることが多い。建築家は、立面図や平面図を見ながら頭の中で3次元の構造物を組み立てることに長けた人種であるから、そもそも3次元ソフトなんて必要ないわけだ。マシンが自動的にデザインしてくれた3次元モデルを、直接AutoCADでいじりながら微調整できるようにしたいと考えた。
プログラミング言語には、LISPを使用した。AutoCADがAutoLISPと呼ばれるLISP言語を採用していたからだ。LISPは2番目に古い高級言語であり(最古はFORTRAN)、その表現力と柔軟性によって人工知能のコミュニティでよく利用された。ただし、ちょっと複雑な式を書くと括弧だらけになって訳がわからなくなるという特徴があり、構文チェックのついた専用のエディターでコーディングするのが普通だ。
LISPでナレッジ・ベースを構築するというのはなかなか大変だったが、ルールをどんどん増やしていけば、僕の「建築デザイン自動生成システム」は、どんどん賢くなっていくはずだった。システムが自己学習するフィードバック機能は入れてなかったので、LISPで多くの関数を定義し、デザイナーがひたすら自分の感性をルール化してインプットしていく作業を繰り返した。