発言のコツ
学部が異なるせいもあって「借りてきた猫」状態だった僕は、やがてひとつのコツを習得する。
こんな状況では考えをまとめている余裕などない。発言者が一息ついた瞬間に、適当なタイミングを見計らって、手を高々と挙げながら大声で第一声を発するのだ。ア~でもウ~でも言葉は何でもいい。そうすると、皆がびっくりしてこちらを振り向く。教授も、「ん?何だね?」といった感じで軽く指名してくれる。それがチャンスで、あとは、う~、う~、とつまりながら、わざと日本語訛りを誇張し、できるだけゆっくりとしゃべる。そしてしゃべりながら考えをまとめ、しゃべり続けるのだ。
ただし間違ってもアメリカン・アクセントの流暢な英語を使ってはいけない。特に僕の場合は、高校時代に身に付けたアメリカン口語なので馬鹿丸出しといった感じになる。You know… とか I mean… などと口にした途端、一斉に軽蔑の視線を浴びるのは目に見えていた。