デザイン・サイエンス
この意味で、「デザイン・サイエンス」という学科は非常に興味深かった。
二次元空間を不可思議なパズルで埋め尽くすM.C.エッシャーの作品群をテーマに、僕たちはその裏に隠された多くの「謎」を紐解いた。閉じた空間、ねじれた空間、形状の表と裏・・・ 三次元や四次元空間の構造を、二次元の作品に巧妙に表現したエッシャーの才能にはただ感心するばかりだった。
この学科の自由課題で、僕はフラクタル幾何学を取り上げた。IBMにフェローとして迎えられた数学者マンデルブロー博士が体系を作り上げた不思議な数学理論で、これを応用して作成した図形は、自然界に存在する地形や生物の姿に酷似する。
詳細な説明は割愛するが、シンプルな作図ルールをミクロのレベルからマクロのレベルまで繰り返し重ねることによって、葉脈、樹木、雪の結晶、珊瑚など、我々が目にする多くの自然物の形状を自動生成することができる。入り組んだ海岸線や侵食された地形などを連想させる作図事例もあり、地球そのものにも生命と意思が存在するのではないかと感じてしまう。